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異界渡りシリーズ

改造バイクとシフォンケーキ

作者: 星宮雪那

婚約破棄された悪役令嬢レイラは、何故かヤンキー高校に転移されてしまう。

レイラは好物のシフォンケーキを食べながら、フルーツティーで喉を潤す。

優雅に、上品に。

ナーザンド公爵令嬢たるわたくしが、いかような時でも冷静に、冷静に。

パラリラパラリラ。

冷静に…。

パララリラリレラリラリラー。

(ゴッドなパパンなテーマ)

冷せ…。

パラリララッパー!

(LVが上がった効果音)

「煩いですわ!

しかも、なんでそんなに器用に!

何曲も奏でますの!

しかも、レベル上げないで下さいまし!」

お嬢様は、異世界から日本のど田舎ヤンキー高校の校庭に迷い込んだ!

お嬢様は、逃げ出した!

だが回り込まれてしまった。

「ちょー、なにこの女。

電波かと思ったら、結構マブいじゃん。

俺といい事しよ…ぶへらっ!」

ヤンキーはお嬢様のオリハルコン入りの傘で殴られて吹っ飛んだ!

傘もお嬢様も無傷である。

「馴れ馴れしく、話しかけないで!」

お嬢様は、逃げ出した!

だが回り込まれでしまった!

(以後ループ)


1時間後

「姐さん、俺ら付いて行きやす!」

どうやらお嬢様は、このヤンキー高校を制圧した様だ。

「嫌です、付いて来ないで下さいまし!」

彼女の死な無い程度のお仕置きは、彼等にとって魅力的?だったようで。

彼女の意見は聞き届けられなかった。

「ああん、いくらわたくしが婚約破棄されたからって、何故このような事に。」

今朝、婚約者のカレク王子から、言われの無いでっち上げで。

彼の浮気相手の平民の少女に、イジメや嫌がらせをしたからと婚約破棄され。

異世界転移されてしまったのだ。

ちなみに、転移させたのは平民の少女に惚れて居た取り巻きの神官だ。

とんだ生臭坊主である。

気は強いが、真っ直ぐな性格のお嬢様が陰険な嫌がらせなどするはずも無いのだが。

異世界転移とか後の祭り過ぎる。

まあ、あの顔だけアホ王子なんてどうでも良かったのだが。

仲良しの友人や家族や家臣に別れも告げられなかった事だけが悔やまれる。

取り敢えず。

優秀なお嬢様は、言語通訳魔法を覚えて居たので。

現地のヤンキー達とも会話は可能だった。

取り敢えず、今後の身の振り方も考える為にも、大人しくなったヤンキー達に、この世界に来た理由を告げて見る。

異世界云々は信じないかな?と思ったが。

日本と言う国は、不思議な事に娯楽の書物文化、オタク的なフィクションの物語としてだが。

異世界や魔法と言う知識が有るようだ。

確かに、こちらの世界では、精霊もあまり見えないし。

魔法も使用キャンセルが掛かるようだ。

と言ったら驚かれた。

魔法の代わりに、科学が発展した世界だそうだ。

色々見せてもらって驚いたのは車と家電製品と水洗トイレだろうか?

魔法とは違った進化を遂げて居る事に、興奮したものだ。

暫くは、ヤンキーのリーダーで、金持ち息子の朝霧義貞の持って居るマンションに居候させてもらった。

彼はお金も好きな物何でも与えられるが。

家族からの愛だけは得られず。

いつも孤独に過ごして居るらしい。

ヤンキーになったのも、親に反発してなのだそうだ。

家族との日々は、わたくしにとっては幸せでしたから、彼の気持ちは分かりません。

けれど、婚約破棄の裏切りよりも辛い物だという事は分かりました。

ヤンキーと言うのが、私の居た世界で言う愚連隊とかチンピラのようなものかな?

というニュアンスは分かった。

言語通訳魔法は覚えて居たが、細かい言語がわからなかったので。

この世界の辞書や絵本などを少し用意してもらった。

「へへっ、絵本よりいい物があるぜ?」

義貞はそう言うと。

薄型テレビとBlu-rayとか、わたくしに色々用意してくれた。

暫くすると、アニメに没頭してましたの。

ファンタジーと言うジャンルは、まるで故郷のようでしたから。

つい懐かしく思います。

でも、不思議です。

この世界は魔法が無いのに。

もしかしたら、太古にはあったけれど。

何かで喪失した分野なのかも知れませんね。


時々義貞は街を案内してくれました。

どう言うわけか、私と外出する時。

彼はヤンキーの格好をしません。

わたくしにもカツラを被せ、変装させます。

まあ、漆黒の黒髪が多いこの国では、わたくしのこの銀髪は目立ちますものね。

初めはぶっきらぼうだった義貞は、だんだん優しく会話してくれるようになりました。

彼は本来優しい穏やかな方だったようです。

そうした平穏なある日、マンションに見知らぬ人がやって来ました。

ただのお客様ではなかったようです。

普段は私はマンションに見知らぬ人は入れ無いので、焦りました。

お風呂上がりで、全裸だったのです。

悲鳴を上げる前に薬で気絶させられました。

目覚めた時、私はマンションでは無く、豪華な一室の、見知らぬベッドの上で柔らかな夜服を身に纏って寝て居たのです。

「やっと見つけたよ、僕のレイラ。」

ゾクッする嫌らしい笑顔で、わたくしに近付いて来られたのは、なんとアホのカレク王子でした。

身体が痺れて動けません。

「殿下…何故?」

かろうじて絞り出した声は、かすれて居た。

「あの平民の娘に、我らは騙されて居たんだよ。

心細かっただろう?

あんな野蛮な世界に送るなんて、僕のレイラが僕を裏切るはず無かったのに。」

「い、嫌です…来ないで。」

「ふふ、皆がね、君が妃にならないと王位継承権剥奪するって言うんだ。

だから、これから君はね、僕の物になるんだよ。」

嘘くさい笑顔が気持ち悪い。

甘い言葉が毒のように、狂気を感じさせた。

どうやら腕に付けられた腕輪は、魔力封じと力封じのようだ。

しかも、痺れ薬か眠り薬でも飲ませたのか。

まだ口の感覚がおかしい。

なんて事。

脳裏に義貞の少しぶっきらぼうな笑顔が、ふと浮かぶ。

勇気が湧いて来た。

「るっせーんだよ、このクソガキ!

きめえんだってえのがわかんねえのかよ!」

こちらの言葉で罵る。

あちらで覚えたヤンキー言葉だ。

「レイラ?」

レイラに触れようとして居た王子の動きが止まる。

「何が僕のレイラだ、人の話は聞かねえし、女の尻追いかけ回すし。

挙句でっち上げに引っかかって勝手に捨てたんだ。

もう関わりたくねえんだよ。

分かれよボンクラ王子!」

「レイラ?何言ってるの?」

「ああん?

あんたなんか嫌い、顔も見たくないし触れられたくもねぇよって言ってんだよ!」

ガ!っと腕輪をベッドの硬い所にぶつける。

何度も、何度も。

すると、パリパリっとひび割れた宝珠が割れると、魔力と力か戻ってきた。

「あ!」

ぶわっと高い魔力が戻って来たので、部屋ごと雷魔法で破壊する。

そして、動き易い義貞が良く着ていた紅蓮の特攻服を魔法で纏う。

ドレスも特攻服も、戦闘服だとレイラは思って居る。

だから、これはこの場に相応しい。

騒ぎを聞き付けた王宮騎士達と、王様が唖然としてわたくしを眺めていた。

「カレク王子はご乱心だよ。

寄りによって、てめえで難癖付けて婚約破棄して異世界に送った癖に。

謝るどころか、体の関係求めるなんて。

前から思ってたけど頭悪いなこいつ。

王様教育間違ってんじゃね?

これ国王にしたら、あっという間にこの国は潰れるぜ?」

一気にまくし立てて、王子を一瞥する。

チビって気絶していた。

やはりキモい。

「所で陛下、わたくしが異世界に転移された事、家族は事の顛末知っておられるので?」

口調をお嬢様言葉に戻す。

呆然としていた王様が、慌てた様子で土下座をした。

「我が子ながら、申し訳ない事を…。

ナーザンド公爵家には全て話して有る。

異世界転移後は平穏に過ごされて居るレイラ殿の事は、定期的に密偵に調べさせ。

そなたが落ち着いた頃に、そちらの異世界の異界渡りの者達に頼み。

やり取りをさせる手筈だったのだが…。

愚かにも、こやつめがそなたを攫って来ようとは…。」

「異界…渡り?」

「あの異世界の日本には、異界渡りの能力者集団の商会が有るのだよ。

そちらの方々と、稀に異文化交流を時折するのだが。

こやつめはそれを知り悪用したのだ。」

「そ、そうなのですか…。」

「異界渡り方々との交流は、神の掟に縛られておる。

それを破るは禁異とされておるのに…。」

王様は、神の怒りを大層怯えていた。

「重い罰が有るのですか?」

「うむ、何より受肉なさった神々が、直接動かれる事も有る。

此度はどうなる事やら…こやつは二度めだからな。

王位継承権剥奪と廃嫡は確定だ。」

やれやれと首をふる。

「あ、あの…わたくしはどうしたらいいのでしょうか?」

「レイラ殿は被害者じゃからの、おとがめは無い。

実家に帰還するもよし、渡った異世界に戻るもよしじゃ。

ただ、一度異界渡りの者達と交渉せねばならぬから、一度実家に戻られよ。」

そうして、実家に帰宅した。

家族は泣いて喜んだが、わたくしはマンションから消えた後の義貞が、気になって仕方なかった。

だから、気もそぞろだったのが母にはばれてしまった。

父に内緒でコッソリ追求され、助けてもらった経緯を話すと母に言われた。

「それは恋ね、素敵ねえ

異世界の人と恋なんて。」

楽しそうに語る母には悪いが、恋かどうかなんて、わたくしには分からなかった。

「あら、その人と共にいて楽しい。

その人が、他の女のコと仲良しだとさみしくなったりイライラしたり。

その人の事ばかり考える。

その人が幸せそうだと自分も幸せ。

そう感じたら、恋なのではなくて?」

うん、母には叶いません。

次の日、父がわたくしの異世界の恋?話を母に聞かされたらしく。

葬式みたいな顔になっていた。

「ま、まだ早いぞー。」

とかなんかブツブツ言っている。

数日して王宮に招致される。

異界渡りの者達が訪れたようだ。

とんとん拍子でわたくしは、日本に戻る事となった。

転移先に、見覚えの有る人がいた。

わたくしが何か言う前に、ギュッと抱きしめられた。

「無事で良かった。」

優しい声は、耳元で甘い。

「義貞君、無事お届けしたから。

じゃあ後は頼むね。」

「はい、家康先輩!」

ここまで連れて来てくれた人は家康って言うのですか。

義貞もそうですが、歴史に関する名前の方が多いのかしら?

その後分かったのは、義貞も異界渡りのお仕事についたのだそうだ。

「レイラもここに勤めれば、たまに実家の異世界に転移出来るようになるよ。」

「まあ、素敵ね。」

そうして、寄り添いながら。

わたくしは義貞と共に、いつものマンションへと帰宅した。

それから異界渡りのお仕事に着いて。

数年置きに異世界へと帰国して居る。

夫婦異界渡りとして。




田舎のパラリラパラリラは、たまに音にこだわるのか。

ゲームやアニメから、ゴットファーザーとか結婚行進曲とか。

鳴らしてくるのが居る。

いやマジで。

それが書きたくなった。


異界渡りの本編は、もう少しお待ち下され。

脳内で選択肢が二つ出て居て。

ヤンデレから書くか。

セクシーお姉さんから書くか。

迷ってるだけなんじゃよ。

ではまた。

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