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青の時代 2  作者: 森 鉛
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第二章 亡国の王女 第四話

 クレアがウォルフの元で暮らすようになってひと月程経ったある日、事件は起こった。

 いつものように畑仕事をするウォルフを眺めながら、クレアは納屋の中で繕い物をしていた。ふと気付くとウォルフがこちらに向かってゆっくりと歩いて来る。納屋の中に入ったウォルフは、手に持った鍬を鎌に持ち帰ると、低い声でささやいた。

「誰か来た、隠れろ」

 クレアはあわてて納屋の隅の箱の影に身を潜める。ウォルフは来た時と同じように、ゆっくりと出て行った。自分の心臓の大きな鼓動を聞きながら、クレアは外の様子に耳を澄ませた。ウォルフは下草を刈りながら、近付いて来た男に気付いた振りをして、自分から声を掛けた。

「なんだいあんた、こんなとこまで。道にでも迷ったのか」

 ウォルフの住処は街道から外れた山中にあり、歩けばウォルフでも二時間以上はかかった。馬の通れる道など無く、猟師でもなければこんな所に姿を現わす者は居なかった。近付いて来たのは、軽装の旅人に見える服装をした、髪の短い若い男だった。ウォルフ程ではないが背がひょろりと高く、腰に短剣を吊っていた。

「あんた一人かい」

 男は挨拶も無く、にやにやと口元に笑みを浮かべながら無遠慮にそう言った。身のこなしに隙が無く、おそらく傭兵の類いだろうとウォルフは思った。

「ああそうだ。この先は何にも無いぜ、道は今来た一本道だけだ」

 それには答えず、男は家に近付き、中を覗こうと扉に手を掛けた。その肩をウォルフの手が押さえる。

「何の用だ」

 男はぱっと身体を離し、少し驚いた顔をしていた。ウォルフがいつ近付いたのか分からなかったのだろう。それまでの表情が一変し、腰に吊った短剣に手を掛ける。

「もう一人居るだろう、隠しても無駄だぜ」

 そう言って短剣をウォルフの鼻先にちらつかせる。ウォルフは全く動ぜず、静かな、低い声で男に告げた。

「俺一人だ。犬と山羊が居るだけだ。用が済んだら帰んな、ここらは夜になると狼が出るぜ」

「そんな脅しは効かねぇなぁ。……正直に言いな、女が居るってのは分かってるんだ」

 その言葉にウォルフの目がすうっと細くなる。男が低く呟く。

「痛い思いしたくなかったらさっさと教えな。命までは取るつもりはねぇし、……なんならいくらか払ってやってもいいんだぜ………!」

 男の視線がわずかにウォルフから外れ、背後に向けられた。その瞬間、ウォルフの手が男の腕を素早く掴み、捻り上げ、短剣を叩き落とす。そのまま男を地面に組み伏せ、背中に体重を掛けると、腕を後ろに締め上げる。視界の隅をクレアの銀髪がちらりと横切る。クレアはウォルフを心配するあまり、納屋から顔を覗かせてしまったのだ。

「中に入ってろ!」

 銀色の髪がふわりと納屋の中に消えた。声を上げる間も無く組み伏せられた男は、驚きと痛みに顔をしかめながらも呟く。

「……やっぱり生きてやがったのか…、痛てて。…おいあんた、ちょっと話を聞けよ、痛てっ。…いい儲け話があるんだよ。…あいつには賞金が掛かってるんだぜ、山分けしようぜ、なっ?……痛てぇっ!…おいって!」

「……殺す」

 ぞっとするような声が背後から聞こえ、男は無理矢理首を回し、視線を向ける。それまでと別人のような表情で男の顔を見下ろすウォルフ。目の奥に光る暗い炎は、今までに数えきれない程の人間を殺して来た者だけが持つ、陰惨な殺気に満ちていた。全身が凍り付くほどの恐怖を感じた男は、必死で命乞いをする。

「ま、待て!やめてくれ!殺すなっ!…あいつを連れて行けばいくら貰えると思って……待てっ!!誰にも言わねぇからっ。殺さないでくれっ!!」

 男の言葉など耳に入っていないかのように、ウォルフは落ちていた短剣を拾い上げ、男の首に向ける。一連の動作に逡巡は無く、滑らかなその動きは、今から行う行為に対し、何の感情も持ち合わせていないように見えた。

「やめてっ!」

 クレアの叫びが響く。地面に頬を擦り付けたまま、男は声のする方に目を向けた。長く美しい銀色の髪の少女が、粗末な衣服を纏い、涙を流して立って居た。

「出て来るな、入ってろ」

 ウォルフは男から一瞬も視線を離さず、声だけで状況を判断した。完全に有利な状況にあるにも拘わらず、身に染み付いた彼の戦闘体験は、わずかな油断をも許さなかった。

「お願いウォルフ、もうやめて!殺さないで!……もう誰かが死ぬのは嫌なの、……お願い」

「この男は多分賞金稼ぎだ。生きて返せば必ず追っ手が来る、今殺すしか無い」

 頭の上で響く冷徹なウォルフの声に、男は再び助命を請う。

「待ってくれ。言わねぇ、絶対言わねぇから。…助けてくれ、……たすけて、…たのむ。…おねがいだぁ、ころさないで…くれぇ…」

 最後の方は泣き声が混じっていた。だがその男の願いにも、ウォルフの力が緩む事は無かった。首筋に冷たい金属がめり込んでくるのを男が感じた時、少女の声が静かに響いた。

「ウォルフ、もし追っ手が来たらわたしを殺して。あなたの手でわたしの首を落として。…それを差し出せば、あなたに危害が加わる事は無いわ。…お願いだからもうやめて、これ以上人が死ぬのを見たくないの」

 その言葉に初めてウォルフの手が緩んだ。短剣の刃が男の首から離れ、ウォルフはクレアを見ていた。

「………分かった」

 ウォルフは注意深く男の手を離し、短剣を向けたまま立ち上がるとクレアを背中に庇った。その背中にクレアがしがみつく。

「ごめんなさい、ごめんなさいウォルフ。…もう嫌なの、…もう誰にも死んでほしくないの。ごめんなさい…」

 背中で泣きじゃくるクレアの手を握り、ウォルフは静かに男に告げた。

「行け。二度と顔を見せるな。……今度会ったら殺す」

「……す…すまねぇ」

 男はへっぴり腰で後ずさりし、おっかなびっくり立ち上がると、一目散に逃げ出した。逃げていく途中で、男は自分が小便を漏らしている事に気付き、情けなさで涙を流しながら思った。

(…なんだよ、…なんだってんだよあいつら。わけ分かんねぇよ…。ちくしょう、カッコ悪りぃ。……あの子なんだってあんな事、全然分かんねえよ…)

 男は自分に理解出来ない少女の行為に、不思議な感情が沸き上がるのを覚えながら、山道を必死で駆け登った。自分を見下ろしていたウォルフの視線が、今でも背後から追って来るような気がして何度も振り返る。今迄の人生で味わった事も無い、背筋を凍り付かせたその凄まじい恐怖が、いつまでも男の身体から消えなかった。


 ウォルフは男の姿が見えなくなった事を確かめると、何も言わず家の中に入り、荷造りを始めた。身の回りの物と食料を手早くまとめ、クレアの服と共に粗末な袋に詰め込む。納戸の中からも何か取って来ると同じように袋に詰めた。山羊の小屋を開け放ち、ラウに声を掛け、まだ泣きじゃくっているクレアを抱き上げると、ゆっくりと歩き出した。

 その道はクレアの通った事の無い道だった、黙々と歩くウォルフの後ろを、ラウは迷いもせずついて来ていた。クレアはウォルフの背負った袋の口から、大振りの剣が突き出ている事に気付いた。そんな物がある事など、今まで気付かなかった。もう一度男の過去を訊ねてみようとクレアは思った。そして、もしもの時はこの剣で自分の首を落としてくれるのだとも思い、不思議と心が落ち着いた。

 道は途中で無くなり、ウォルフは生い茂る草の中を歩いて行く。川の浅瀬を二度渡り、辿り着いた場所は樹に覆われた洞窟だった。薄暗いその奥に小さな木箱が置いて有り、ウォルフは中から毛布とランプを取り出す。ランプに火を灯し、毛布を敷き、小さな明かりの中でクレアの身体を抱き寄せると、その上に寝転んだ。ラウは入り口近くにぺたりと座り込み、静かに外を見ている。長い沈黙の後クレアが口を開いた。

「…ウォルフ、ごめんなさい。怒ってるわよね…。わたし、あなたの暮らしをめちゃくちゃにしちゃって……、ごめんなさい」

 ウォルフは何も言わずにクレアの髪をなで、指でそっと頬をなぞった。その指が少女の唇に触れ、やがて唇が重ねられた。クレアは少し驚いたが、抗う事無くじっと男の口付けに身を任せた。唇が離れ、ウォルフは少女の頭を胸に抱き締め、ぽつりぽつりと話し始めた。

「……怒ってなんかいない。驚いただけだ。…お前にそんな覚悟があったなんて、考えてもみなかった。…ここは俺の隠れ家だ。しばらくここで暮らす事になるが我慢してくれ。あの男が知らせたとしたら、三日程で追っ手が来るだろう。ほとぼりが冷めるまで身を隠すしか無い」

「…ありがとう、ウォルフ。…でも…わたし。………わたしの首を差し出せば…あなたは助かるわ。…だから」

「そんな事言うな。俺にはそんな事出来ない。…もう…女を…惚れた女を失うのはたくさんだ」

「ウォルフ!…今…なんて。………ウォルフ、…うれしい。…うれしい」

 クレアはウォルフの胸に顔を擦り付け、何度もそう繰り返した。

「お前…前に俺の昔の話を聞きたがったよな。今でも聞きたいか?」

「うん…あ、でもウォルフが嫌なら…」

「いいさ。…俺はプロタリアの生まれだ。三年前まで軍隊に居たんだ。プロタリアの皇帝騎士団『赤の竜騎士団』に…」

 その名前はクレアも聞き覚えがあった。

「それって、…あの」

「そうだ、悪名高い『レッド・ドラグーン』だ」



 ウォルフ・エルスハイマーは、田舎町の鍛冶屋の三男として生を受けた。幼い頃から体格が大きく、乱暴者のウォルフに手を焼いた両親は、彼が十三歳になると、見習いとして地元の軍隊に放り込んだ。軍隊の規律ある生活と、厳しい訓練に鍛えられた彼は、みるみる頭角を現わし、やがて帝国の騎士団に入団する。そこでも軍功を上げた彼は、ついに皇帝直属の竜騎士団に迎えられた。


 赤の竜騎士団『レッド・ドラグーン』は、各国の軍隊の恐怖と憎悪の対象だった。通常の騎士団の半数にも満たぬ人数で構成されたそれは、帝国の国中から選りすぐった精鋭を集めて組織され、大陸最強の竜騎士団の名をほしいままにしていた。通常は貴族か准貴族でなければ騎士の叙任を受ける事は出来ないのだが、皇帝騎士団に限っては身分に関係なく騎士章が与えられ、それは野心を持つ平民の男にとって大きな目標となっていた。そしてそれ故に、さげすみの目を向ける高官なども居り、『暴虐な殺戮集団』と陰口を叩かれたりする事もしばしばだった。

 真っ赤な竜が染め抜かれた黒いマントと、長大な槍を持って神速で殺到するその姿は、数倍の兵力に及ぶ敵騎士団をも恐慌に陥れた。一糸乱れぬ進軍はひと固まりの巨大な竜にも例えられ、分厚い敵陣をなんなく切り裂いて指揮官の首を切り落とした。敵軍は命令系統を断たれて烏合の衆と化し、もはや戦闘にもならずに、一方的な惨殺が行われるのみであった。命乞いする者を串刺しに屠り、降伏を認めぬ彼等の通った後に、生き残っている者は只の一人も居なかった。その背中の真紅の竜は、殺した敵兵の血で描かれているのだと人々はまことしやかに囁く。死神と共に戦場を駆け抜ける禍々しい黒と赤の竜、『レッド・ドラグーン』はプロタリア帝国の騎士団の要であった。

 ウォルフもその中の一人だった。勝つ為に殺し、負けぬ為に殺し、生きる為に殺した。ここでも数々の功績を上げた彼は、三十歳を迎える前に准将に昇格していた。次の騎士団長はウォルフだと、誰もが信じていた。


 ウォルフは准将に昇格すると同時に妻を娶った。宿舎の近くの定食屋の娘で、名前をヒルダといった。ウォルフは五つ程年下の彼女を気に入り、足しげく店に通った。長い三つ編みを揺らし、いつもにこにこと料理を運ぶヒルダは、少し頭が足りないのか、言葉がうまく話せなかった。その事をよく客にからかわれ、それを見咎めたウォルフが彼女を庇い、喧嘩が絶えなかった。大勢を相手に立ち回り、傷だらけになった彼を、ヒルダは不器用に手当てしてくれた。

 真新しい准将の軍服を身に着け、今までに一度も口にした事の無いような台詞でつっかえつっかえプロポーズしたウォルフに、ヒルダはにっこりと笑いかけ、大きく頷いてくれた。


 二人は彼女の実家のすぐ近くに新居を構える。家を留守にする事が多かったウォルフは、自分が居ない間はヒルダを実家の定食屋に帰らせていた。とにかく彼女は見ていて危なっかしく、一人で置いていくのは心配でたまらなかった。

 仕事を終え、家に向かって歩いて来るウォルフを見つけると、ヒルダはいつも子供のように駆け寄り、彼に飛びついて来た。ウォルフは顔を赤くしながらも彼女を抱きかかえ、嬉しそうに微笑むヒルダにキスをした。荒くれた人生を歩んで来た男の、それは初めての安らぎだった。


 いつものように家に向かうウォルフ。通りの反対側から彼の姿を見つけたヒルダが、大きく手を振り、彼に駆け寄る。その時、人込みの中から一人の若い女が飛び出して来た。手に持った長剣が、ウォルフに向かって突き出される。日々の訓練が身に染み付いたウォルフは無意識にその剣をかわしたが、そこにヒルダの身体が飛び込んで来た。長剣はヒルダの胸に深々と突き刺さり、鮮血が彼女の小さな身体を染め上げる。刺した女はしばらく呆然としていたが、何か分からない事を叫びながら走り出し、人込みに消えて行った。

 血に染まったヒルダを抱きかかえ、彼女の名前を何度も叫ぶウォルフ。ヒルダはいつもの微笑みを見せ、小さく彼の名を呼ぶと頬に手を伸ばす。その手が届く前にヒルダの目から光が失われ、力を失った白い手がだらりと垂れ下がる。辺りは混乱を極め、怒声と叫び声が交錯する中、ウォルフは妻の亡骸を抱え、慟哭した。


 葬儀は皇帝騎士団の名において盛大に行われた。犯人はすぐに逮捕され、処刑された。騎士団に夫を殺された恨みによる凶行で、特にウォルフ個人を狙った訳では無く、皇帝騎士団の軍服を着た者なら誰でもよかったと、その女は話した。あの人を殺すつもりなんか無かったと、女はヒルダに何度も詫びた。


 ウォルフは抜け殻のようになって部屋に閉じ篭って居た。葬儀にも出ず、ヒルダの遺髪を握りしめ、食事を取る事も無く、ただ部屋の隅にうずくまって居た。将軍や同僚の騎士の説得にも耳を貸さない彼に、ヒルダの両親が語りかけた。二人はウォルフの事を少しも恨んでいないと告げ、ウォルフと結婚したヒルダが、嬉しそうに彼の話をするのを、毎日楽しみにしていたと語った。頭の弱い娘をいっときでも幸せにしてくれて、感謝していると言った。扉越しにその話を聞いたウォルフは、声を上げて泣いた。

 涙が枯れる程泣いた彼は、その夜、国を捨てた。誰にも告げず、何も残さず、騎士団のマントを纏い、あても無く夜の闇に馬を駆った。やがて馬が力つき、一昼夜、山中をふらふらと彷徨い歩いた彼は、みすぼらしい小屋に辿り着く。打ち捨てられた廃屋と思われるその小屋の中で、彼はやっと眠りに就く事が出来た。



「……ウォルフ」

 クレアは涙を流す男の頭を胸に抱きかかえ、優しく髪を撫で、囁く。少女の瞳も潤んでいた。

「…辛かったね。…大変だったね。……でも、…奥さん…ヒルダさんは幸せだったと思う。…だって…愛している人に抱き締められて、死んでいく事が出来たんだから…。ごめんね、変な事言って。……でも、そう思うの。……わたしも…そうやって…死にたいから」

「今なら…分かる。…そうだったのかもしれない。…でも、俺の手は血まみれだ。…この手がヒルダを殺したんだ。……あの時はそうとしか思えなかった。…クレア、聞いてくれてありがとう」

 もうウォルフは泣いてはいなかった。彼の流した涙はわずかな量だった。三年の年月で、彼も幾らかは気持ちの整理を付ける事が出来たのだろう。

「ううん…、わたしの方こそ、辛い事を話してくれてありがとう。……わたしヒルダさんが羨ましい。そんなにウォルフに愛してもらって…」

「…クレア」

 ウォルフはクレアの頬を両手で包み、何度も口付けた。少女はうっとりと男のキスを受け入れ、ただ男の愛撫に身を任せていた。クレアの身体を覆い隠す布を全て剥ぎ取り、自らも服を脱ぎ捨てると、少女の身体に覆いかぶさった。無骨な指が白い肌をなぞり、震える唇が余す所無く触れられる。男を迎え入れた少女は、激痛に涙を流しながらも、ウォルフの身体にしがみつき、彼の名を呼び続けていた。



 街道筋のメアリの宿屋で、若い男が昼間から飲んだくれている。ウォルフに脅されてほうほうの体で逃げ帰った賞金稼ぎの男、ロスだった。

 数日前から滞在している傭兵上がりだろうこの男を、メアリは不審に感じていた。何処に向かうでも無く、仕事を探している風でも無い。旅の商人達の話に耳を傾けてはいるようだが、積極的に話の輪に加わる様でも無かった。姿が見えないと思えば、洗ったとおぼしきズボンをぶら下げながら帰って来たりもする。川で釣りでもしているのかとも思ったが、道具を持っている訳でも無い。

 宿屋の親父も村の男達も、腰に剣を吊っているロスを幾分警戒していたが、それは最初の内だけの事だった。長年の商売で傭兵や騎士を数多く見て来た親父は、メアリにこう語った。

「あの若いのは格好だけだ、腕は大したこたぁねぇ。まだ小僧っこみてぇなもんだろう。ウチの村の連中が三人もいれば片付けられる」

 野良仕事で鍛えられた逞しい村の男達だったらその通りだろうと、目の肥えた父親の話に頷きながら、メアリは確かに言われてみれば頼り無さそうな所や、幼げな表情をする事があると感じていた。ひょっとして自分と大して歳も違わないのではと思い、声を掛けてみようかと思い立った時、当の本人が慌てた様子で出立を告げに来た。

 手持ちが足りなかったのか、さんざんに値切って親父の機嫌を悪くさせ、ロスは馬に跨がって西に向った。食堂に居た商人達が誰とも無しに言う。

「ありゃあ多分戦に行くつもりだぜ。ダルガル将軍が義勇兵を募ってるって話をしてたら、急に立ち上がって支度を始やがった」

 リグノリアに残された最後の将軍は、グローリンド国内の貴族の領地に身を寄せていた。生き残った数少ない兵を纏め、叛旗を翻すべく準備を進めている。イグナートは抗議を行っているようだが、大国グローリンドに対して強い態度には出られないようだった。外交巧者のグローリンド国王は、勝ち負けどちらの結果が出たとしても自国の有利に働くよう画策している。ダルガルが勝利を得ればリグノリアに大きな貸しを作れたし、敗北したとしても、将軍の居る領地は国の直轄では無く、どうにでも言い逃れが出来るだろう。既にその布石は打っており、イグナートに対する外交カードを幾つも用意していた。

 メアリは表に出ると、ロスの走り去った方角に目を向けた。もう彼の姿は見えなくなっていた。彼女の背後で親父がぼそりと呟いた。

「……出世したいのかどうか知らねぇが、若ぇもんが命を粗末にしやがって。誰が見たって今度のは負け戦だ……」

 やれやれと店に戻る父親のその言葉が耳に届いたのかどうか、メアリはただ黙って街道の先を見つめていた。



 十日程が過ぎ去った。ウオルフとクレアは洞窟で寝起きをしていた。昼は注意深く周囲を見回し、夜は互いを求めて愛し合った。クレアは片時もウォルフの傍を離れようとせず、男の胸にすがり、不安げに身体をすり寄せた。

 食料が残り少なくなって来た事もあり、ウォルフは一旦家に戻ってみる事を決めた。クレアをここに置いて行こうと思ったが、少女は決して彼の手を離そうとしなかった。

 来た時と同じようにクレアを抱え上げ、ラウを連れて慎重に道を辿った。樹の影に隠れ、住処を見渡す。山羊が周囲をうろつき、外からは何も変わったようには見えなかった。

 ウォルフは片手でクレアを抱え、片手で剣を握り。家の中に入る。荒らされた跡も無く、出て行った時と変わらぬ部屋があるだけだった。ウォルフは拍子抜けした。あの賞金稼ぎの男は本当に何も言わなかったのだろうかとウォルフは疑っていたが、クレアは素直に喜んだ。彼女は風呂に入りたがっていたのだ。


 湯を沸かし、身体を流し、髪を洗うと、クレアはまたウォルフの髪を洗ってやった。濡らしたタオルでウォルフの身体も丁寧に拭く。ウォルフは少し照れていたようだが、クレアは彼の世話が出来て嬉しそうだった。

 久しぶりにベッドで眠れると、クレアははしゃいだ。二人でシーツに潜り込むと、白い裸身でぴったりとウォルフの身体に寄り添い、クレアは口付けをせがんだ。ウォルフはそんな少女の耳に囁いてやる。

「お前、けっこうスケベだったんだなぁ」

「だって…ウォルフがあんなに……」

 二人は赤くなって顔を見合わせ、くすくすと笑う。やがてどちらからともなく唇を求めあい、肌を重ねた。明日の事など考えずに、ただお互いの温もりを感じたかった。その夜は幾度も愛し合い、疲れ果てて眠りに就いた。



 それからの数日は何事も無く過ぎて行った。ウォルフは情報を仕入れに、また宿屋に出向こうかと考えていたが、クレアを連れて行く訳にはいかないと思っていた。賞金稼ぎが来たのは、クレアを街道に出したすぐ後だった。あの時に見られたのは間違い無いと思っていた。しかしクレアはもうウォルフの傍を一瞬たりとも離れようとせず、置いていこうとすれば相当に反発するだろう。クレアを一人にする事にも抵抗を感じたウォルフは、結局宿屋には向かわぬことに決めた。


 ウォルフは悩んでいた。このままクレアを手元に置いておけば、また同じような危険が生じるかもしれない。行方が分からないとされるダルガル将軍を探し当てるか、他のリグノアリの貴族や軍人を訪ねるか、もしくは第三国に保護を求めるか。いずれにしてもこの場を離れて動かねばならないだろう、それはさらにクレアが発見される確率が上がるように、ウォルフには思われた。

 他国であてになりそうなのは、正式に抗議文を送ったとされるトランセリアか、中立を重んじる南の大国グローリンドか。だがどちらにしろ保護してくれる確証は無いのだ。下手をすれば、外交カードとしてクレアの身柄を引き渡されてしまう可能性もあった。

 運良くダルガルに接触出来たとしても、リグノリアが国を取り戻す事が出来るとは限らない。むしろ再び敗北の憂き目を見る可能性の方が高いだろうと思われた。最後の王族であるクレアが、お飾りとはいえ新たな王として祭り上げられ、戦火に巻き込まれるのもウォルフは惨い事だと感じていた。

 この家を出て、イグナートやリグノリアとの国交の少ない国に行き、クレアの名を捨てさせ、何処かの田舎町で暮らす事もウォルフは考えた。長い銀髪を短く切り、街道を避けて旅をすれば、追っ手に見つからずに大陸中央から遠ざかる事が出来るだろう。クレアに自分の考えを話すと、少女は遠慮がちに口を開いた。

「……ウォルフが…そうした方がいいと言うなら、…わたしはついて行きます。名前や髪の毛を無くすのは少し…さみしいけれど。……でも、国の事も気になるの。…王族であるわたしが、知らん振りをして逃げてしまっていいのかしらって。…わたしに何が出来るって訳じゃないけれど。……国はどうなっているのかしら。…民は…酷い目に遭っていないかしら。……こんな風に、今までは考えた事も無かったけれど、もうリグノリアの王族は、わたし一人に…なってしまったのだから……」

 話しながら涙を溢れ出させたクレアの髪を、ウォルフの大きな手が優しく撫でる。男の分厚い胸に顔をうずめ、クレアは一番言いたかった言葉を飲み込んだ。

(一緒に…来てほしい。国を取り戻す手助けをしてほしい。……もし、戦に敗れるような事になったら、その時はあなたの手で、この命を断ってもらいたいから…)

 それは言ってはいけない事だと少女は思っていた。助けてもらったばかりか、今では自分の存在がウォルフの身を危険にさらしてしまっている。これ以上彼に何かを望む事など、クレアには到底出来なかった。暖かく大きな胸に抱き締められているこの瞬間だけが、今の彼女を支えるたった一つの拠り所だった。

 クレアの小さな身体をしっかりと腕の中に包み込み、つややかなプラチナブロンドをそっと指ですくいながら、ウォルフは思いを新たにしていた。彼の胸で泣きじゃくる少女は、いつの間にか王族としての責任の一端を意識するようになっていた。それ迄はおそらく何の苦労もせずに生きて来たであろう王女の身に、降り掛かった残酷な運命が、皮肉にも彼女を人間的に成長させる要因となっていたのである。


 帝国の准将であったウォルフには、少女の祖国の様子が大方予想出来ていた。そしてそれはほぼ正確に、現在のリグノリアの状況を言い当てていた。

 イグナートの派遣軍に制圧された王都は、全てが敵国の管理下に置かれ、裕福な商人や貴族の財産は全て没収されていた。国外に逃亡しようとした貴族が捕らえられては処刑され、その首が城壁に晒された。破壊された街はどの通りも閑散とし、武装したイグナートの兵だけがぽつぽつと目につく。わずかな数の商店や食堂が店を開いてはいたが、市民達は皆息を潜め、無事にその日をやり過ごす事のみを考え暮らしていた。

 国境を封鎖された国内は交易も途絶え、飢えがじわじわと市民に忍び寄って来ていた。襲撃当初は我が物顔で街を練り歩き、狼藉を働いていたイグナート兵も、長引く駐留に次第に覇気を無くし、人々は先の見えぬこの国の未来に、陰鬱なため息をつくばかりであった。華やかだった文化と富の中心地は、今や見る影も無く寂びれ果てていた。


 ウォルフは結論を先送りにした。あの男が現れてから二週間が経ったが、これ迄と変らぬ毎日が過ぎていくだけだった。

 畑仕事をする間もウォルフは剣を手放さず、自分の目の届く納屋の中から出ないようにとクレアに言い含め、それなりの用心を怠らなかった。クレアは時折何かを考え込んでいるようであったが、結局二人はその後も先行きを話し合う事をしないでいた。

 少女は赤児の様に男の胸にすがりつき、男はただそのか細い身体を抱き締めてやる事しか出来なかった。答えを出せぬまま、日々は過ぎて行った。



 不安な均衡は突然の訪問者によって破られた。夕食の支度をしているウォルフの耳に、大勢の足音が聞こえてきた。剣を構え、怯えるクレアを庇い、部屋の中央に立つ。ラウが低いうなり声を上げて、部屋をぐるぐると歩き回る。

「……ウォルフ、わたしを殺して。あなたは生き延びて、…お願い!」

 ウォルフの背中にしがみついたクレアが、悲痛な声で告げる。ウォルフは静かに答えた。

「…嫌だ。死ぬ時は一緒だ」

 やがてドアがノックされ、年老いた男の声が響いた。

「夜分に失礼する。自分はリグノリア王国の将軍、ダルガルと申す者。こちらにクレア王女がおられると聞き、伺った次第だ。王女はおられるか?」

 二人は一瞬顔を見合わせる。しかしウォルフは疑いを解けず、答えた。

「あんたが将軍であるという証拠はあるか?」

「王女は自分の顔をご存じでいらっしゃる、顔をご覧頂ければお判りになる」

「あんたが寝返ったという可能性だってあるぜ」

「……いずれにしろここを開けて頂かねば証明のしようも無い事だ。如何か」

 ウォルフは迷った。どちらにしろ囲まれている事は間違い無い。それに敵だとしたら有無を言わさず切り込んで来るだろう。今の所、彼等の態度は紳士的といえた。ウォルフは腹を括った。

「……分かった、扉を開ける。あんた一人だけ入って来てくれ。それ以外の人間が入ろうとしたら問答無用でたたっ切るぜ」

「あい分かった。約束する。自分一人だけが向かう。剣も持っておらん」

 クレアを背中に庇ったまま、閂を外す。油断なく剣を構え、ゆっくりと扉を開いて行く。静かな足取りで、一人の大柄な老人が入って来た。彼は自ら後ろ手に扉を締め、膝を付き、白髪の頭を垂れた。

「クレア様。ダルガルでございます。遅くなって誠に申し訳ございませぬ。お迎えに上がりました」

「ああ…ダルガル、…生きて…生きていてくれたのね……ああ、…ああ」

 クレアはその場にへたりこみ、涙をぽろぽろと流した。ウォルフはほっと息をつき、しかしまだ油断せず、剣をおさめぬまま、クレアの隣に立った。ダルガルは目に涙を浮かべ、クレアの手を押し抱くと、自分の額に押し当てた。

「……生きておられて、……ご苦労をお掛け申した。……申し訳…申し訳なく、…姫」

「いいえ、いいえ、……よく生き延びていてくれた、…他の者は、…王家の者は…」

 クレアの問いに老人は力無く首を振った。

「……王族は、…姫様だけが…。……将軍達もほとんどが倒され、行方が知れているのは、二人の准将のみでございます…。誠に…申し訳なく」

 床に座り込んだクレアをベッドに座らせ、ダルガルに椅子をすすめると、ウォルフはようやく剣を鞘に収めた。

「クレア様をお守り頂き、有難うございました。感謝の言葉もございません」

 ダルガルはウォルフに向かって深々と頭を下げた。ウォルフはぶっきらぼうに答える。

「いや、大した事はしてねぇよ。…それより一つ聞きたい、何故ここが判った」

「賞金稼ぎがわしの元を訪ねて来て、情報を買ってくれと言って来た。その男からこの場所を聞き出しました」

「そいつは背がひょろっと高くて、茶色の短い髪で…」

「その男です。名前を……ロスと言ったか」

「あいつが……」

 ウォルフはクレアと顔を見合わせた。ウォルフがクレアに向かって呟いた。

「お前はすごいな、あいつはきっとお前の覚悟を見て、気を変えたんだ。……クレア、お前は…」

 クレアはにっこりと微笑み、そっとウォルフの手を握った。その様子をダルガルは注意深く見ていた。


 ダルガルは、クレアに着替えを用意してあると告げ、侍女達を招き入れる。外で待つ間、ウォルフはダルガルに訊ねた。

「将軍、聞きたい事がある。リグノリアは兵を何万集めた」

「……三万だ。おぬしそれを聞いてどうする」

「イグナートは王都の守備に五万…いや七~八万は居るかもしれん。勝ち目は無いぞ」

「戦は蓋を開けるまでわからんよ。……確かに勝ち目は薄いかもしれん、だがわしらにもう道は残されておらん」

 ダルガルは吐き捨てるように言った。少しの沈黙の後、ウォルフが低い声で告げる。

「…また人が死ぬぞ」

「王都では今も民が苦しんでおる。見捨ててはおけん」

「……クレアも…死ぬんだぞ」

「姫の命はわしが守る。……おぬし、…どこかで。……名前を聞かせてもらえんか」

「……ウォルフだ。…ここで鍛冶屋をしている」

「……ウォルフ殿、……兵役の経験があるだろう。…隠しても分かる」

「ちっとな。…昔の話だ」

 ウォルフは老将軍から顔を背けた。その窪んだ深い目に、全て見透かされそうな気がした。狭い畑に二個小隊は居るだろうか、きちんと整列した騎士達から、小さなざわめきが漏れた。着替えを終えたクレアが現れたのだ。

「…お待たせ致しました」

 クレアはダルガルとウォルフに向かって礼をした。顔を上げたクレアの美しさに、ウォルフは声を失った。

(……こいつ、…こんなに綺麗な女だったのか…)

 真新しいドレスをすらりとした身体に纏い、きちんとくしけずられたプラチナブロンドが、波打つように煌めいていた。頭の上に小さなティアラを乗せ、意志の強そうな青い大きな瞳が、薄く染まった頬の上で、じっとウォルフを見つめていた。

「……ダルガル、少し時間を…。ウォルフと話をさせて…」

 将軍は黙って頭を下げ、侍女達と共に家から離れた。ウォルフは何も言わず中に入る。クレアがその後を追い、そっとドアを締めた。

 しばらくの沈黙の後、椅子に腰掛け、暖炉の火を見つめているウォルフの背中に、クレアが声を掛ける。

「……ウォルフ、…わたし、行くね。……今までありがとう」

「ああ……達者でやれよ」

 クレアを見ようとせず、ウォルフは素っ気無く答える。

「…元気でね、…ラウもね、…ちゃんとお風呂に入らないとダメよ。……元気…で…」

「……ああ」

「ウォルフ、こっち向いて…」

 ゆっくりと振り向くウォルフ。立ち上がり、ぽろぽろと涙を流すクレアに近付き、抱き締めようと手を伸ばす。しかしその手が少女に触れる事は無かった。

「……死ぬな」(一緒に行くと言え!クレアを守ると言うんだ!)

「……うん。……ペンダント、ウォルフが持っていて。必ず取りに来るから…」(いっしょに来てって言わなきゃ!そばにいてって言わなきゃ!)

「…わかった」(引き止めろ!みすみす死なせるようなもんだ!)

「……じゃあ、……行くね、………ありがとう…ウォルフ」(ダメ!ちゃんと言わなきゃ)

 扉に近付くクレア。ふいにその歩みが止まり、振り向いてウォルフに駆け寄る。一瞬だけ彼の唇にキスをすると、絞り出すように声を上げた。

「愛してる」

 そのまま扉に向かって走り出すクレア。のろのろと手を伸ばすウォルフ。少女が走り去った扉が閉まる寸前、男の口がかすかに動き、小さく呟いた。

「……俺もだ」

 ばたんと閉まった扉を見つめ、ウォルフは動く事も、考える事すらも出来ず立ちすくむ。扉の向こうからダルガルの静かな声が届いた。

「……ウォルフ殿。いずれきちんとお礼に伺わせて頂く。おぬしはいらんと言うだろうが、ここにわずかだが謝礼を置いて行く。受け取ってくれ。……姫を守ってくれて…本当にありがとう。………すまぬ」

 そう言い残し、多くの足音と共に将軍は去って行った。辺りは再び静寂に包まれた。



 長い時間が過ぎた。ウォルフは暖炉の火を見つめたまま、椅子の上で身動き一つしない。外は白々と夜が開け始めていた。

 やがてゆっくりと立ち上がったウォルフは、扉を開け納屋に向かう。幾つも積んである箱をひっくり返し、奥の方から一つの包みを取り出した。再び暖炉の前に座った彼は、何重にも縛られた包みを解き、中味を広げた。真っ黒な布地に赤く染め抜かれた竜。『レッド・ドラグーン』のマントを見下ろし、彼は何事かじっと考えていた。何もかもを置き去りに過去から逃げ出したウォルフが、最後まで捨てられなかったそのマントは、彼の人生そのものだった。

 ウォルフの目の奥に小さな光が宿る。彼は動き出した。てきぱきと荷造りを済ませ、山羊の小屋を開け放ち、ラウを呼ぶ。街道に向かおうとした彼が、扉の横の小さな袋に気付く。ずっしりと重いそれは、ダルガルが置いて行った謝礼の金貨だった。ウォルフはしばらく考えていたが、袋を自分の荷物の中に放り込んだ。再び歩き出した彼は、もう二度と振り返る事は無かった。


 街道に出ると宿屋の親父にラウを預け、馬を買う。支払いを金貨ですると、親父は目を丸くしていた。いつもと違う様子のウォルフに、メアリが店の奥から小さく声を掛ける。

「…何処に行くの?」

「分かんねぇ。……でも必ず戻って来るからよ、それまでこいつを頼む」

 ラウの頭を乱暴に撫で、ウォルフは馬に跨がった。東に向かって走り出した馬の後を、ラウとメアリが淋しそうに見送っていた。

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