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憂憂時雨に鶴千羽  作者: 飴膤*vague
雨宿り
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幼い頃、今は亡き祖母に聞かされた詩。私はこの詩が好きだ。誰が書いたのかも、何時書かれたのかも分からない。そんなミステリアスな所もこの詩の良い所だと思う。


この詩の何が良いかは自分でも分からないし、私自身そこまで詩が好きな訳ではない。けれどこの詩は幼い頃から頭にあって、とても心に残る詩なのだ。


私はこの詩を紙切れに書き留めて、常日頃持ち歩いている。そうしていると何だか落ち着くし、大好きだった祖母を近くに感じる事が出来た。


勿論今日も私は紙切れを持っている。そしてその紙切れを片手に、私は一人家路を歩いていた。


ポツリ


不意に紙切れに、小さなシミが出来た。あぁ、私は一人で寂しく詩に浸ってるうちに、自分でも気付かずに泣いていたのだろうか。恥ずかしい。


ポツリ


涙を拭おうとした時、首に冷たいものが当たった。


ポツリ


今度は額に当たった。上を見上げてみると、やはりそうだった。空はグレー色に曇り、また私の額に雨が当たった。どうやら私の勘違いだったようだ。恥ずかしい。


いや、今はそんなことを考えている場合ではない。ポツリポツリと雨は段々強くなり、ついには本降りになってしまった。


私は紙切れをセーラー服の胸ポケットにしまい、雨宿りが出来る場所を探して走った。そうして飛び込んだのは小さな駄菓子屋。私が知る限り、平日にこの田舎の街でやっている、唯一の店だった。

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