DATE1:平凡な世界に『生きる』とかいう生活。
今日も俺は怠惰な生活を送っていた。
高校2年生にもなりながら、今だに帰宅部であり、彼女もいるわけもなく、特に目標の無い毎日を過ごしていた。
帰宅後というのも、毎日毎日同じゲームでひたすらレベル上げという地味な作業を無心で行っていた。
本当にこれでいいのか?俺の高校生活はこんな毎日家の中で地味な青春を送っていていいのか?そんなことを毎晩ベッドの上で考えていた。
「お前は将来の夢とかある?」
そう声をかけてきたのは高校生活唯一の親友である、大阪一大である。
彼は高校入学時に俺に声をかけてくれた人で、それからというものあっという間に仲良くなった。
そんな彼のふとした質問に、いつもは簡単に答えれるのだが今回の質問にはすぐに答えることは出来なかった。
「うーん・・・・・・特に考えてないや」
「そんなんでいいのか?今の三年生から聞いたんだけど二年生のうちからどんな職場に就きたいか考えておいたほうが良いみたいだぞ?」
「それがパッと思いついたら苦労しないんだけどなあ、一大はもう考えてるの?」
そう言うと一大は椅子から腰を上げ胸を反らせながら自慢げにこう言った。
「俺は人を救う仕事をしてみたいな」
それを聞いた瞬間に俺は大声で笑ってしまった。
なぜなら一大の解答があまりに簡単で単純でそれでいて、バカらしく思えたからだ。
すると一大は机を両手で強く叩くと大声上げる。
「俺の夢を馬鹿にすんじゃねぇよ」
そう言って俺の親友であり唯一の友達である一大は初めて俺に怒った。
すると昼休み終了兼午後の授業開始のチャイムが鳴り響き、一大は自分の席に向かう。
(人を救う仕事?俺にとってはとても縁がない言葉だな。それに一大のヤツ・・・・・・ちょっとキレすぎだろ・・・・・・たしかに笑ったのは悪いと思うけどいくらなんでもあんなに怒らなくてもいいだろ・・・・・・)
そう言って俺は午後の授業の始まりとともに机に顔を伏せながらさきほどの事を考える。
どれくらいだろうか、気がつけば俺は寝ていたようだった。
目を開けると両手で隠され薄暗い空間と木の机の模様が見える。
(やばい・・・・・・けっこう寝てたみたいだな、授業しかも随分教室が静かだな。もしかしてとっくに授業終わってんのか?)
今まで寝ていたのか、寝起き特有の意識が薄い感覚の中で必死に今の状況を理解しようと脳みそを動かそうとする。
慌てて顔を上げるとそこには見知らぬ部屋が広がっていた。
そう、まるで漫画やアニメ、はたまたゲームの中でよく見る王国調の軍隊の隊長がいる部屋のようだ。
「・・・・・・・・・一体これはどういうことだってばよ」
そう呟くと部屋にひとりの女性が入ってくる。
「失礼します閣下、進軍の準備が整いましたので連絡に上がりました」
その女性は自分よりも歳が上であろうことは一目で分かった。
しかしそれ以上にその風貌に違和感を強く抱いた。
白銀の長髪、それにたくさんの勲章バッチを胸に付け、さらにその格好はまるで軍人さながらの格好なのだ。
「あのぉどちらさまで?」
「こんな時に閣下は寝ぼけておられるのか?私はこのザイハール帝国の王国軍特殊部隊総指揮官アンリ・レイラーという名で紹介したはずですが!!!」
目の前も突如出現した美少女と、突然目に飛び込んできた見知らぬ部屋により俺の思考は完全に混乱していた。