田中の32パーセントを切り取ってみる
俺は、なんでも切り取れるハサミを手に入れた。
誰からもらったかは言うことが出来ない。言ったら、俺はミーアキャットになってしまうからだ。
とにかく、このハサミの効果を試したかった俺はまず、ターゲットを高校で同じクラスの田中を切ってみることにした。田中なら切っても問題ないなと思ったのだ。
ハサミに付いたメモリを32に合わせる。
こうすることで数値分のパーセントの部分を正確に切り取れるのだ。
更に、このハサミは直接ターゲットを切る必要がない。
ハサミを向けて、一回ジャキンとするだけでいい。それで切れる。
俺は田中にハサミの先端を向けて、ジャキンとハサミの両刃を閉じた。
一体、切れたらどんなことになるか見当もつかなかったが、大変なことになるかもとは思ったが、最早手遅れ。
ハサミの効果なのか、いつもおしゃべりで落ち着きのない田中は急に棒立ちになった。
そして、彼が少しづつ小さくなっていく!
しゅしゅしゅ
身長が、クラスで一番小さい岡村くらいになったとき、彼の縮小は止まった。
そして、彼の小さい体の後ろから、何者かスッと立ち上がった。
「……きゃっ!?」
こちらを見て驚くその姿は、何と、魔法少女顔負けの清廉な可愛い女の子であった。
田中の中に、こんな乙女チックな部分があったなんて驚きだ。
小さくなった無口な田中と、魔法少女の不思議でおかしな生活はこうして幕を開けた。
ちなみに、あのハサミは、その後一回も使っていない。