帰還
王都を脱出して――
数十日掛けて、辺境へと戻って来た。
見慣れた城壁。見慣れた街並み。
やっと、か。
恐らく――脱出して、次の日には、俺らが居なくなったのは、あちらさんにバレてる筈だが。
王城へ呼び出しに来ない。
宿にも居ない。教会の記録も、無い。
……騒ぎには、なってるだろうな。
でも変な追跡は、無かった。
街道でも。森でも。
魔物の襲撃はあったが、人の手による物は、無い。
……それとも振り切ったのか?
いや。あっちが、動いてないだけか。
その時。
「……ポチさん」
エリシアが、窓の外を見たまま、呟く。
俺は、近付く。
「逃げ帰って来ただけでは」
小さな声。
「何も、変わりません」
……。
「王都は」
拳を、握る。
「私を、排除する気です」
分かってる。
「なら」
振り返る。
その目は、決まっていた。
「私も――」
一拍。
「動きます。まずは」
エリシアが、机の上の地図を広げる。
辺境領の、全体図。
「現状の、戦力を確認します」
逃げ帰って来ただけでは、何も出来ない。
魔女も、腕を組む。
「騎士団の動員数は?」
「常駐が、およそ百二十」
側近が、答える。
「予備を含めて、二百程かと」
……少ないな。
王都の、正規軍に比べれば圧倒的に。
「民兵は?」
「動員可能なのは、三百程ですが……」
訓練不足。
装備も、不十分。
実戦に出せるかは、怪しい。
「補給は?」
「長期戦は、難しいかと」
……。
やはり。正面からでは、勝てない。
「なら」
エリシアが、顔を上げる。
「別の、手を考えましょう」




