夜の抜け道
その日の夜。撤退作戦だ。
……とは言っても。
俺らに出来るのは、夜中に、教会へ目立たず来い。と言うだけらしい。
王都の裏道。
灯りの少ない路地を選んで、進む。
俺は、そのルート上を偵察だ。
先行して、周囲を確認する。
まさか――相手も、夜中に撤退するとは思っては居ないだろうが。
念には、念をで屋根の上。
通りの角。路地裏。……人影は、無い。
怪しい気配も、感じない。
大丈夫そうだな。
如何にか――教会まで、来たぞ。
裏口が、静かに開く。
シスターが、手招きをした。
中へ。
そのまま、奥へ案内される。
祭壇の裏。床へと、移動。
シスターが、何かを押す。
……ゴゴッ。
床の一部が、開いた。
地下道、か。これなら――安全か?
石造りの階段。
暗い。
狭い。
……エリシアに、こんな道、通れるか?
一瞬、そう思ったが愚問、か。
顔を見れば、覚悟を、決めてる。
……ん?
「シャー!」
「シャー!!」
猫が、背を丸めている。
毛を逆立て、低く唸っていた。
随分と、警戒してるな?
何か――いるのか?
俺には、何も見えないし気配も、感じない。
その時、先頭を進んでいたシスターが小瓶を取り出した。
……聖水か。
それを地下道の床へ――
ぱっ、ぱっ、と撒きながら進んでいる。
何か、感じてるのか?
俺は、周囲を見渡す。
……やっぱり、俺には、何も見えないし、
感じないが?猫は、まだ――唸っていた。




