撤退
如何やら――
会談は、終わった様だな。
エリシアとシスター。
そして、魔女がこちらへ戻って来る。
二人の様子を見る限り、良い話、とは言えなさそうだな。
シスターの表情も、どこか硬い。
……いよいよ。
本丸へ、なのかな?
王城へ登城。そこで、正式な挨拶。
……とか思っていたら。
「ポチ」
魔女が、小さく呼ぶ。
「辺境に戻るわよ」
へ?来たばかりなのに?
思わず、固まる。
魔女の顔を見て、冗談じゃないのが解った。
「如何やら」
声を潜める。
「王城にエリシア様を呼び込んだのは」
一拍。
「そこで、捕えるらしいわ」
……はい?
そんな、無茶な。王族だぞ?
「状況は、思ったより悪いわ」
魔女が、教会の出口を見る。
「ここに居たのなら」
低く。
「何が起こるか、解らない」
……王都は安全どころか罠の中、か。
俺たちは、宿場まで戻ってきた。
王城への顔出しは――明日の様だ。
つまり。明日、呼び出されてその場で、捕まえるつもりか。
……なりふり構わず、だな。
第二王女を公の場で?
それだけ、追い詰められてるのか。
それとも――王城内部を、完全に掌握してるのか。
「今夜の内に、動くわ」
魔女が、小さく言う。
エリシアも、頷いた。
「教会側は?」
俺は地面に書く。
魔女が、視線を落とす。
「……協力してくれる」
短く。
「馬車も、裏口も」
一拍。
「記録も、改竄してくれるそうよ」
成る程。王都を出た事自体を、無かった事にする、か。
「ただし」
魔女が、窓の外を見る。
「夜間に限る」
昼間は、目が多すぎる。
当然だな。つまり――
今夜、脱出。
俺は、霊鋼の針を握った。




