聖水
教会へ!?
思わず、聞き返しそうになった。
「ええ。ご挨拶に」
エリシアが、静かに答える。
魔女は、当然の様に頷いた。
「そうね。数少ない、エリシア様の味方だからね」
味方?
「前回は、急な出立で辺境に行かされたから」
腕を組む。
「今回は、のんびりと挨拶しないとね」
……。
俺は、思った。何となくだが――
魔女と教会?この組み合わせって、何かピンと来ないな。
対立してそうなイメージなんだが。
でも話を聞く限り、味方なら行った方が良いな。
馬車に乗り込むのを見届けて、俺は、その周囲をぐるぐると回る。可笑しなのが、いないか偵察。
まあ、騎士も居るから。
流石に、この人目が多い所で何かするってのも無いと思うが……
念の為、な。やがて。
石造りの、大きな建物が見えてくる。
こっちの世界の教会って、如何なんだろうな?
まあ、元の世界でも詳しくは知らんけどな。
……ここか。ザッ、教会。
俺、ここへ入って、平気なのか?
イメージ的に、入れないとか。
悪霊的なので、入れんとか?
……。
んー。特に、何も起こらないな。
大丈夫そうだ。中へ入る。
高い天井。長椅子。色付きのガラス。
……それっぽいな。
「よくいらっしゃいました。エリシア様」
奥から、女性が現れる。
……ほぉー。
あの人が、味方のシスターか?
この人も、歳が解らんな。
「お忙しい所、申し訳ないですね」
エリシアが、頭を下げる。
「いえいえ。こちらこそ」
穏やかな笑み。
その時――ん?
はっ!?聖水!!
シスターが、手に持っていた器を――
ぱしゃっ!!
うお!?
咄嗟に、避けた。何だ!?
この人も、俺の姿見えてるのか!?
「あら」
シスターが、小首を傾げる。
「私ったら」
苦笑い。
「何となくですが、何かを感じた気がしましたので」
さらっと言うな。
「つい、聖水をぶちまけてしまって」
……気配を感じたのか!?
でも聖水は――触るのは、やめとこ……。




