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死者の記憶を継ぐ者 〜巻き込まれ転生で幽霊になった俺は、王女に未来を託す〜  作者:


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35/43

帰還

無事に、宿屋へ戻れたな。

俺は、二人の後を追いながら中へ入る。


中では――


老夫婦が、魔女によって押さえられていた。

手首に、淡く光る拘束の様なもの。

動けない様にしてあるらしい。


……まあ、仕方ないか。


そこへ。


「お父さん!お母さん!」


娘と孫が、飛び込んで行った。

老夫婦の目が、見開かれる。


「……っ!?」


「無事だったのか……!」


拘束されたまま、涙を浮かべる。


「良かった……」


魔女が、ちらりと俺を見る。


「おっ、戻ってきたか」


軽いな。


「ポチもお帰り」


俺は、霊鋼で突き刺したままの袋を――

テーブルへ、投げ捨てた。


ドサッ。


魔女が、それを拾い上げ中身を、確認する。金貨。数枚じゃない、それなりの量だ。


「成る程ね」


魔女が、呟く。


「金で雇われた連中ね」


やっぱりな。


「しかし……」


老夫婦を、見る。震えている。


「確かに」


低い声。


「人質を取られたとはいえ」


一拍。


「王女を暗殺しようとした罪は……」


重いな。この場の空気が、変わる。

老夫婦の顔が、青ざめた。


エリシアも、その場に居て状況を確認したみたいだな。


老夫婦と娘と孫。


そして、テーブルの上の金貨。

魔女の視線も、鋭い。

空気が、重くなりかけた――その時。


ぱん!


と、エリシアが手を叩いた。

全員の視線が、集まる。


「私は、何もされておりません」


静かな声だが、はっきりと。


「早く、温かい料理を食べたいです」


……。


魔女が、口を開きかける。

何か、言いたそうだったが――


エリシアの方を見る。


数秒の沈黙。やがて。


「……エリシア様が、そう仰るなら」


渋々、といった様子で頷いた。

そして、老夫婦へと視線を向ける。


「さて」


腕を組む。


「ちゃんと宿料金は払ってるんだから」


一歩、踏み出す。


「準備しなさい!」


その一言で、場の空気が、変わった。

老夫婦が、何度も頭を下げる。


娘が、泣きながら支える。


……助けた、って事か。

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