王都
王都に着くまでに、数回魔物に襲われたが――
無事に、辿り着く事が出来た。
護衛の騎士達も、大きな負傷は無い。
馬車も問題無し。
エリシアも、無事だ。
……しかし。
この世界って、こんな近くに魔物が居るのか?
街道沿い。
王都へ続く、主要な道だぞ?
俺の居た世界なら、高速道路に野生の熊が何匹も出てくる様なもんだ。
こんなんだったら、生活するにも命懸けだな。
魔女にも、確認してみた所――
「そんな訳無いでしょ?」
即答だった。
「王都まで行く街道よ?」
肩をすくめる。
「辺境でも有るまいし……」
だよな。つまり。成る程な。
移動中に、魔物に襲われて亡くなった。
エリシアの敵からすれば――
完璧な筋書きって訳か。街道での事故死。
護衛も巻き添え。
王都に到着する前に、第二王女は死亡。
犯人不明。責任は、辺境の警備体制へ。
……やりたい放題だな。
となると。
ここ、王都では気が抜けないって事か。
むしろ、ここからが本番だ。
俺も、気をつけないと不味いって事か。
やがて、城壁が見えてくる。
高い。
辺境都市の、それとは比べ物にならない。
門を抜けると視界が、開けた。
おー……。
ここが、王都の中心か。石造りの建物が並び。整備された広い通り。
行き交う人々。
荷車。露店。
映画のセットみたいな風景だなぁ。
しかし人が、多いな。
物も多いし、情報も多そうだ。
その中心に――
聳え立つ、巨大な建造物。
白亜の壁。幾つもの塔。
あれが――悪の巣窟?
王城って事か。
「こちらが、本日の宿舎となります」
騎士の声。……ここが?
宿舎?王城へ直行じゃないのか?
目の前にあるのは――少し古びた、宿だ。
石造りではあるが、年季が入っている。
壁の一部は、色が褪せ。
看板も、多少傾いている。
……いやいや。第二王女だぞ?こんな所に、泊まらせるのか?
どう見ても、貴族用の宿じゃない。
怪しさ、満点だが……いい言い方をすれば、
昔からある、風情のある宿屋か?
入口の扉が、ぎぃ、と音を立てて開く。
中から出て来たのは――お爺ちゃん。
背は曲がっているが、動きはしっかりしている。如何にも、昔からやってる感じだな。
その後ろからお婆ちゃん。
この人が、女将さんか?
二人で、切り盛りしているのか。
確かにこれが田舎の宿屋なら、中々良い雰囲気の、落ち着く宿屋だ。
……何度も言うが第二王女だぞ?
泊まるの。




