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死者の記憶を継ぐ者 〜巻き込まれ転生で幽霊になった俺は、王女に未来を託す〜  作者:


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魔女と幽霊の対話

ん?

俺の事が見えるのか??

玉座の間の隅に立つ黒いローブの女。


長い銀髪。年齢は分からん。若くも見えるし、妙に落ち着いてもいる。


雰囲気的には魔法使いか?

王室お抱えのってやつか?


じっとこちらを見ている。


そして――


くい、と指先を動かした。

手招きしてるな。


やっぱ見えてるのか?

周囲の貴族や兵士は気付いていない。

女はさりげなく柱の陰へ移動し、再びこちらを見る。


……来い、ってことか。


俺は半信半疑で近付く。

女は小さく口元を歪めた。


「ほぅ〜。随分と変わった奴だな?」


見えてるのか!?

俺は思わず身を乗り出す。


「まあ、着いてこい」


女は振り返り、玉座の間を抜けて歩き出す。

俺は慌てて後を追う。

すり抜けながら。

廊下を進み、重厚な扉を抜け、階段を下る。

城の奥まった区画。


やがて一室の前で立ち止まった。


扉が開く。


中は書物と奇妙な器具で埋め尽くされている。


水晶、薬瓶、魔法陣らしき床の紋様。

この魔法使いの部屋か?


まあ、そこそこ豪華……というより、散らかっている。


女は椅子に腰掛け、俺を見上げる。


「さて」


顎に手を当て、じっと観察する。


「まあ、座れ!……って言ってもその身体じゃ無理か」


俺は思わず苦笑する。

やっぱそうなのか俺。


幽霊確定か。


「しかし変わった転生の仕方だな」


転生。

その単語に反応する。

女は目を細めた。


「やはり、心当たりはあるのか」


俺は必死に頷く。


「喋れんのか?」


俺は口を動かす。


「聞こえてるか!?」


だが、音は出ない。女は眉をひそめる。


「……声は届かんか」


俺は懸命にジェスチャーをする。

自分を指差し、口を指し、首を振る。


「何が言いたいかさっぱり分からん」


ぐぬぬ。女は少し考え、指を一本立てた。


「そうだな。はい、なら右手を上げろ」


俺は右手を上げる。

女の目が細まる。


「ほうほう。こっちの言葉は通じて問題無い」


なるほど、簡易テストか。


「魔物でも無さそうだ。邪悪さが無い」


……邪悪扱いかよ。


「ならまあいいか」


軽いな。

女は椅子に深く座り直す。


「では質問だ。あの三人小娘と同郷か?」


同郷?

勇者三人のことか。俺は右手を上げた。


「やはりな」


女は小さく息を吐く。


「だが召喚対象は三名。お前は余剰だ」


余剰。

はっきり言うな。


「この感じは狭間で巻き込まれた様だな。これは今まで無い経験だ」


狭間?


転移の隙間的なやつか。

女は興味深そうに俺を眺める。


まるで珍獣だ。


「通常なら、弾かれて消えるはずだが……」


ぞわり、とする。

消える?


「お前は残った」


女は立ち上がり、ゆっくり俺の周囲を歩く。


「魂だけが、だがな」


俺は自分の透けた腕を見る。


「完全な霊体。だが意識は明瞭。言語理解も可能」


女は小さく笑った。


「面白い」


いや、俺は面白くない。


「まあ、ゆっくり楽しめ」


は?


「すぐには消えんだろう。少なくとも今は安定している」


今は、って何だよ。


「だが城に長居はするな。余計な者に気取られると面倒だと言ってもまあ。。。」


余計な者?


「勇者召喚は政治だ。魔法だけではない」


その言葉に、女の目がわずかに鋭くなる。

政治。やっぱりか。

テンプレ勇者物語の裏側は、そんなに綺麗じゃないらしい。


女は最後に俺を見据える。


「お前、名は?」


俺は口を開く。だが音は出ない。


名前。


……あれ?一瞬、引っかかった。


自分の名前。言おうとして――

ほんの僅かに、思い出すのに時間がかかった。

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