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死者の記憶を継ぐ者 〜巻き込まれ転生で幽霊になった俺は、王女に未来を託す〜  作者:


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20/41

浮かぶ板

俺は、指差し板を更に強く握り締めた。

……落ち着け。


早く動き過ぎると、相手にバレちまう。

何せ、板が浮いている様に見えちまうからな。


幽霊は見えないが板は見える。


つまり――


俺の攻撃は“空飛ぶ板”。

怪奇現象そのものだ。


出来れば、自然に事故死に見せたい。


屋根の上。黒い影が、静かに移動する。

中庭を見下ろす位置。


弓だ。


小型の弩。狙いは、当然――


エリシア。


「……」


距離は、二十歩ほど。

放たれれば、避けるのは難しい。


俺は、板を握る。


……何か他の武器を、あの魔女に作ってもらった方が良いな。


せめて、目立たないやつ。

そんな事を考えている余裕は、無い。


影が、弩を構えた。


今だ。俺は、屋根へ跳ぶ。

いや、意識を移動させる。


背後へ回り、弦が引かれる。


カチリ、と音。


その瞬間。

俺は、板を横から叩きつけた。


弩の向きが、僅かに逸れる。

矢が放たれる。


ヒュン!


中庭の石畳に、突き刺さった。

護衛が叫ぶ。


「エリシア様!!」


混乱。


刺客が振り向く。

俺の存在は見えない。


板は――見える。


「なっ……!?」


空中で、板が動く。

刺客の目が見開かれる。


迷い。

恐怖。


その一瞬に俺は、全力で突進した。

板の角を、喉元へ。


「ぐっ……!」


声にならない声。

バランスを崩す。

屋根の縁。

足が、空を切る。


「……!」


落ちた。


下は石畳だ。重い音。

兵達が駆け寄る。


「刺客だ!」


「確保しろ!」


動かない。

首が、不自然な角度に曲がっている。


即死。


中庭は騒然となる。

エリシアは、護衛に囲まれたまま立っていた。


顔は青いが崩れてはいない。

俺は、屋根の上に漂う。


……これで。


密偵は、全滅の筈。

少なくとも、この城内には。


板を見下ろすとヒビが入っていた。

さっきの衝撃か。


「……そろそろ限界かもな」


俺自身も、妙に重い。

魂に触れた時の疲労とは違う。


消耗。


でも守れた。それだけで、今はいい。


遠く。城門の方。

ルークが、騒ぎを見ている。


表情は、読めない。


僅かに、目が、細められた。

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