表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死者の記憶を継ぐ者 〜巻き込まれ転生で幽霊になった俺は、王女に未来を託す〜  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/43

勇者の陰で俺は幽霊?

てか、何が起きた?


何処かに飛ばされた様な感覚は、あったが……


ん?


あの3人は店にいた女性達。


ここは……雰囲気的には城の中っぽいが……


高い天井。石造りの柱。赤い絨毯。

甲冑姿の兵士達が整列している。


この流れは、こっちに連れて来られて王族とのやり取りだな。


ほーれ!見ろ。偉そうな奴が出てきた。


金糸の刺繍が入ったローブ。王冠。

どう見ても王様ポジション。


「よくぞこちらにお越しくださいました。三人の勇者達!」


そのまんまだな。


やっぱりか。


店にいた三人は、少し戸惑いながらも前に出る。


周囲は歓声。勇者召喚テンプレ、ここに極まれり。


で?俺は?


視界が妙だ。

王座の間を、やけに広く見渡せる。

いや、広いんじゃない。


……上から見えている。


「え?」


玉座の間を俯瞰している。

三人の勇者を、王を、兵士を。

俺は――天井付近に浮いていた。


「は?」


何で俺は、皆を上から見れてる??

手を見ると透けている。


いや、手という感覚はあるが、輪郭が曖昧だ。


下に降りようと意識した瞬間、ふわりと視点が移動した。


……飛んでる?


一体どうなってるんだ?


冷静に考える。

ここの言葉は理解出来るし、文字も理解出来る。これは助かる。


異世界テンプレだが、言語チートはあるらしい。


三人の前に、水晶玉が運ばれる。


出たよ。


「どうぞ、お手を」


水晶が光る。


剣士。

魔法使い。

僧侶。


はいはい。まんまだな。

ステータス発表的なやつか。

王は満足げに頷き、周囲はさらに沸く。


「魔族を討ち滅ぼし、我らを救っていただきたい」


それで魔族と戦いってか……

本人達は、やる気満々だが。

まあ人それぞれだ。


俺なら絶対断る。


まずは勇者を讃えるのにパーティーか。

貴族達が集まり、楽団が演奏を始める。


ん?


俺は??


俺、完全に放置じゃね?


いやそれより――

誰も俺を見ていない。


兵士の前に降りて、顔を覗き込む。

反応なし。声を出してみる。


「おーい」


……無反応。

近くの貴族の肩を叩こうとする。


すり抜けた。


「うわ」


完全に透過。

他の人の周りをグルグル回ってみる。

やっぱり見えてないようだな。


魂の状態?なのか?


俺だけ別処理。

……巻き込まれ、ってやつか。


あの神様も言ってたな。

転移事故。勇者三人が本命。


俺は――余波。


声を張る。


「おーい!俺もいるんだが!」


虚しい。

言葉は空間に溶ける。


憑依?


ふと、酔って足元がおぼつかない兵士に近づく。


集中して入り込むイメージ。

……すり抜ける。


無理!


全然ダメ。壁も柱も、人も、全部すり抜ける。ここには魔法がある様だが、何も出ないし、ステータスも出ない。


さっきの水晶なら何か分かるか?


玉座の横を見る。


水晶は、厳重に箱にしまわれてしまった。

鍵付き。警備付き。


……無理だな。


「はは……」


笑いが漏れる。勇者は歓待され。

俺は幽霊。

チートもなし。

役割もなし。


んーまーあ……いいか……


と、思った瞬間。


ぞくり、と背筋に冷たい感覚が走った。

玉座の間の隅。

誰もいないはずの暗がり。


そこに――


俺を見ている視線があった。


黒いローブ。

長い銀髪。


その女は、確かに俺を見ていた。

そして、わずかに目を細める。


「……あら?」


小さく、口が動く。


「一人、多いわね」


俺は、固まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ