GW
今日もよろしくお願いしますm(_ _)m
5月の最初と言えば、そうゴールデンウィークだ。
何日も休みがあるなら、やっぱデートもちょっといいとこ行きてえ気分になるな。
「彼方は連休中、どっか行くとか決まってるのか?」
「当然ね。かなタソ、タキとネズミ国に遊び行くご予定なり」
「む。ネズミの国か…それもいいけど、ふむ…」
男2人でネズミの国…それはちょっとビジュアルが厳しいような気がするな。
むー。なんか、どっかよさげなとこ…うーん…
「遥、連休に行きたいとこ、どっかあるけ?」
「どっかは行きてえけど、どこっつーイメージが浮かばねえんだよ」
「そうか。ほなせっかくやし、オレが行きたいとこ行くっちゅうのはどうや?」
「ん! 弥勒の行きてえとこっつーのはどこだ?」
「ミュージアムや。遥と行くならここ絶対楽しいっちゅうとこ」
「美術館か。俺、絵は詳しくねえけど、見るのはけっこう好きだぞ」
「そうか。とにかく用意して出かけよか」
弥勒といっしょにヘルメット被って、バイクまたがって出発進行っ!
弥勒、どこ行くのかなー? 到着すんのがすげえ楽しみだ。
「む。ここが弥勒が来てえって思った場所か。思ったよりも四角い建物だな」
「ここ、外観はイマイチやねん。中は楽しいはずやし行くで」
「ええっ! ここ入場料3800円もしやがるのか? 美術館のクセにけっこう高えな」
「大丈夫や。学生はちょっと安なるし、絶対その価値はあるから」
映画3本観るより高え美術館って、初めて聞いたけど、弥勒が言うなら払ってみようか。
納得いかねえ時は、あとで文句だ。
「むむ? 靴脱ぐのか? ここで? 手荷物もこのロッカー?」
「おう。水があるしズボンの裾まくるで」
「水? 美術館の中に水があるのか? 絵とか鑑賞するんじゃねえのか?」
「ちゃうで、ここはアートを体験するミュージアムやねん」
靴脱いでカバンとかの手荷物といっしょに預けて、ゆっくり順路進んでくと、む。薄暗い…
怖い感じじゃねえけど、なんか薄暗いな。
「この程度ならまわりちゃんと見えるけ?」
「こんぐれえなら見えるけど…む。水だ…え? 水ん中入るのか?」
「足つけて進むねん。ゆっくり歩いて行くし、心配やったら支えたるから」
「大丈夫だと思うけど、ちょっと不安だ。弥勒は近くにいろよ?」
水に足つけて順路をゆっくり進んでく。
特に冷てえ水っつーわけじゃねえけど、まわりがなんか薄暗えから、ちっとばかし不安だぞ。
「うわ…広いとこ出た。うわ、なんか光が…え? えぇ〜? …鯉?」
「せやで。鯉や。ちょっと手ぇ伸ばして触ってみ?」
池みてえな広くて薄暗い場所に、なんか光る鯉が、いっぱいいる。
普通の鯉じゃねえ。緑とか紫とか青い鯉もいるな…なんだここ? ?
転ばねえように、おっかなびっくり進んで、そっと手を伸ばしてみる。鯉…逃げねえかな?
え? き、消えたぞ! 鯉が消えた!
「ここの鯉は全部映像で出来てんねん。なかなかきれいやろ?」
「すげえ…ここの光る鯉、全部映像なのか…体験だな。アート体験だ。すげえ…」
俺ちょっと夢中になって、鯉追いかけまわして、触っては消してく。
ヤベえ、消えたらきれいな花になるやつもいる。楽しいっ。
なるほど、弥勒が美術館じゃなくて、ミュージアムっつった意味が分かった。
ここはアートを体験するミュージアムなんだな。
すげえ、アートだ。ヤベえ、楽しい。
鯉、いっぱいいるな。もっと追いかけて消そう。
うは。また花になった。うはー! 面白え!
「遥、ちょっと身体起こして、真っ直ぐ立ってみ?」
「ん? こうか、弥勒?」
「そのままゆっくり周り見ながら、オレと2mぐらいの円描くみたいに歩くんや」
「周り見ながら、弥勒と2mの円描くみてえに…こんな感じ?」
弥勒とゆっくりゆっくり、ちょっと間隔離して、ぐるぐる回りながら歩いてみると、だんだん光る鯉たちが集まって来て光の円になって、眩しいぐれえ色んな色の光る筋に変わってって、すげえ…俺がアートを作ってる…うわー、俺と弥勒の作品が、ここにある…
「すげえな、弥勒! こいつらすげえきれいだぞ。ヤベえ、アートだ! 作品だぞ!」
「オレと遥のアート作品やな。めっちゃきれいや…オモロいなー」
気がついたら、俺の歩く後ろから、追いかけるみてえに、いくつもいくつも、きれいな花が咲いてて、歩くのが楽しい。
「なんだここ? ちょっと神さま気分だな! 歩くと花咲いたりするのは神さまだろ?」
「ほんまや。光る鯉を消したり、光の筋に変えるのも神さまの仕業やな」
「ヤベえ〜…ちょっと高えって思ったけど、全然高くねえな! 遊園地より俺は楽しいぞ!」
「せやろ? 天気に左右されんと楽しめるし、見るだけやなくて体験出来るしな」
心ゆくまでたっぷり神さまアート楽しんで、水から出たら、次もまた不思議なとこが待ってた。
ここはまたサイバーな空間だなー。
ちっせえ光の粒が、規則正しく踊って見えるぞ。
ここも面白え空間だなー…さっきのとはまた違った趣きがあって面白えぞ。
「遥、ここも自分でこの作品に参加出来るで」
「マジか! どうやるんだ弥勒? ここも触るのか?」
「ここのはアプリで星を選ぶんや。そしたら作品に変化が生まれる」
「やろう! すぐにダウンロードだ! 参加しねえと!」
アプリから自分の星を選んで、それを加えると…うわわわ!
光の粒が一気にぱっと爆発して、周りの粒に影響してく! 面白え!
「うは、面白えっ! も一回だ! うはーっ!」
「オレもオレもっ! うお! 今度はこっちが光ったで! オモロ〜っ!」
「弥勒これはあれだな、宇宙の法則の書き換えだ。俺ら神さまだし!」
「なるほど、この宇宙に法則を追加してんのか。そら、あっちこっちに影響が出て当然やな!」
弥勒と2人で、好き勝手に光の粒の宇宙に、法則を追加して遊ぶの、すっげえ面白えぞ!
あっちこっちが光って法則が影響し合う。
俺らは神さまだから、引力の法則も、物質の法則も、思いのままに変化させられるぞっつって、どんどん2人で宇宙を変化させてく。
出来るだけ幼稚な感じに工夫して、色んな法則を追加してくぞ。
酸素が一番重い元素に、光の波長は緑が1番短くてオレンジを長くしてやろう。
音は低音の方が狭く伝わって、この世界の一番低い温度はマイナス15000度だ!
しっちゃかめっちゃかだぞ!
飽きるまでさんざん宇宙を引っ掻き回してから、次のとこへ移動すると、今度は視界一面が花だ…全部花、色んな花の映像だ…
「これは適当なとこ座って眺めるんやで」
「へえ…床もきれいな鏡面になってんだな…すげえ…」
ドーム型になった天井、鏡面の床の区別なく、全てが花の映像で満たされて、次から次へと花が咲いて、咲き乱れて、変化してく。
降るように、舞い散るように、さまざまな花が、思い付く限りいっぱいの種類が、咲いて、咲き乱れて、目の前を通り過ぎてく。
隣でいっしょに上を見上げるのは弥勒。
弥勒菩薩、生きとし生けるものを慈しむ菩薩っつーのは、こんな感じなのかもしんねえな。
そんなことをぼんやり考えながら、壮大に咲き乱れて変化してく花々を、ゆっくり眺めて、その舞い散る美しさに心を打たれる。
「はぁ〜きれいだな〜弥勒。でも俺、トイレ行きたくなってきたぞ?」
「オレも行きたいし、ちょっとトイレ休憩してから次行こか」
腹も減ったしついでに昼メシも食おうっつー事で、館内のメシ食うとこ、フードブースに行ってみる。
ふむ。サンドイッチ2種類か…
「弥勒、4個つ別々のサンドイッチ注文して、分けて食おうぜ」
「ええな。ニューヨークサンドのアボカドのとハンバーグの1個ください」
「じゃ俺はバインミーサンドのレバーとベーコンのを1個お願いしまーす」
「昼からもガッツリ遊ぶ時はやっぱコーラだろ。な?」
「カロリー補充け? おまえ好きやなー、そういうのが。コーラも2つ」
プレートにたっぷり乗ったメシとコーラ持って、近くの変チコな形したベンチで昼メシを食う。
む。これ、けっこううめえな!
「うめえっ! ポテトが揚げたてっぽいな、ラッキー! うまっ」
「ん。このアボカドのがうまいわ。遥も食うてみ?」
「む。…ほんとだうめえっ! 弥勒、こっちのレバーペーストもうめえぞ」
4種類のサンドイッチをちょっとずつ分けっこしながら、2人で食う。
外で食う昼メシはうめえな…ネズミの国よりこっちがいいぞ。
「ほな彼方は慶太と今頃ネズミの国で遊んでるんや? ネズミの国がよかったけ?」
「全然! 俺は断然こっちのが楽しいぞ。眩しくねえっつーのがまずいい。すげえいいっ」
「そらよかったわ。ここ本来やったらもう終了してたとこやし、いっしょにこれてラッキーやな」
「なんだってー! こんないいとこが終わっちまうのか!? 勿体ねえっ!」
「人気あるから終了延長してな、まだもう何年かはやってるらしいで。でも長くはないかもや」
「ふむ…終了するのは惜しいから、彼方にも教えてやろうか。あいつも来たら、絶対楽しいだろうしな」
「慶太は金持ちやし、教えたらこの連休中に連れて来よるやろ。教えたり」
「だな。こんな楽しいとこはナイショにしてちゃ勿体ねえから、あいつらにも教えてやろうぜっ!」
弥勒とメシ食いながら、色々喋る。
まずはやっぱ触ると消える鯉の話、神さま気分はすげえ楽しかったし、宇宙の法則追加も面白え。
「花が咲き乱れるドームもすげえ面白かったぞ。俺、あれはなんか弥勒みてえだって思った」
「ええ? あんなきれいな映像がオレけ? どのへんがオレっぽい?」
「花が咲いて咲き乱れて、舞い散ってまた咲いて、そこに生と死があって、生きとし生けるものの慈愛があった。弥勒菩薩だろ?」
「そう言われたらそうかもしれんけど、あんなきれいなんがオレか…なんか照れるわ」
「そうか? 弥勒はきれいでカッコいいじゃん。あんな感じだぞ?」
昼メシ食いながら照れ臭そうに笑う弥勒見てると、やっぱ俺はきれいでカッコよくて、さっき見たドームみてえだって思うけどな?
昼メシ食って休憩したら、今度はボールがいっぱいの空間だ。
ボールを叩いたり衝撃を与えると、柔らかい音が鳴って色も変化する。
1個のボールの変化は伝播してって、音も色もボールを伝わってくから、あっちこっちからボールの伝播する変化が面白え。
「む。これは絶対叩くと青に変わるみてえだな…ふむ」
「こっちのはピンクに変わったで。かわいい音鳴ってオモロいなー」
もちろん、この空間にいるのは俺と弥勒だけじゃねえから、色んなとこから音と色が伝わってきて、色んな変化が起こるから面白え。
2人でボールがいっぱいの空間をウロウロ…これは正しいウロウロ…ぷ…して、変化するボールを眺めたり、こっちも変化させる。
「正しいウロウロの時にまで笑うなや、もー」
「いや、思い出すと面白えじゃん…ぷぷ。もうちょっとウロウロしようぜ」
そのへんボールが転がってるだけじゃなくて、天井までわりといっぱい詰まってるから、ボールかき分けて移動するだけで変化する。
「今度は黄色だ。黄色っつっても、ちょっとひよこっぽい色だな」
「この色なんか、彼方っぽくないけ? 音もそれっぽいな」
「たしかに、このひよこ色は彼方の色だなっ。じゃさっきの青は弥勒だ。きれいだったし」
「遥はやっぱ赤か白やな。そういう色が遥には似合うで」
「じゃ滝は何色だ? 他にも色々あるし、いっしょに探してみようぜ」
まわりのヤツらが何色でどんな音か、見てまわって弥勒と探してみる。
む。この緑は滝か? 水色は琢磨かも? じゃあこの色は?
ここは裸足っつーのもいい。
父さんの靴下が臭えのも、光る鯉と遊ぶうちにマシになりそうだし、ここなら彼方に嫌われねえかも。
とにかく楽しいとこだ。眩しくもねえし、恐怖体験もねえし、甘すぎねえ雰囲気だから、弥勒と2人でもおかしくねえし、面白え。
ネズ耳付けるような甘さいっぱいの遊園地も、それっぽくてきっとすげえ楽しいだろうけど、俺は弥勒ときたのがここでよかったぞ。
次は大量の、本物の花が咲く空間だ。
床とか壁とかが鏡になってるせいもあって、視界いっぱいずっと全部花、花、花…
本物の蘭の花だから、花と緑の濃密な匂いが溢れてて、広いから迷路じゃねえのに迷路みてえに感じるような、不思議な空間だ。
「すげえ…弥勒、なんかここって迷路みてえじゃねえか?」
「上から下がる花のせいで、視界が遮られて、他の人がいるの分かりづらいしちゃうけ?」
「なるほど、そのせいか…花いっぱいだなー…咲いてるのだけじゃねえ…」
「せやな。枯れてるのも蕾もあるっちゅうのが、また哲学的でアートっぽいな」
立体的に配置されてる大量の花の間から、垣間見える他の人が時々突然ぬっと出てきて、急にご対面するっつー不思議な場所。
迷ってねえのに迷路で迷ってるみてえな…
初めてルイス・キャロルの作品を読んだ時味わった気分に、ちょっと似てるかもしんねえ。
「ルイス・キャロルか。たしか数学者やったっけ?」
「うん。イギリスの数学者で論理学者、写真家、作家、詩人だ。本名はチャールズ・ラトウィッジ・ドジソン」
「ふ。数学者の名前がパッと出てくるっちゅうんが、遥らしいな」
「む。だったらここは弥勒の中じゃどんなイメージだ? ここを違う物に例えるなら?」
「ラン科の花は陸上植物のおよそ10%を占めてる。生存競争の強者なんやけど、その理由はな…」
ラン科の植物の多くは、土のない場所で生きて、空気中から水分を吸収する。
だから他の生物との生存競争の相手に勝てるという事なんだ。
なるほど、古生物学者の息子から見ると、ここは地上25万種の陸上植物の生存戦略の知恵の結晶か、それは弥勒らしい物の見方だ。
「同じ物見ても、全然違うイメージを感じるっつーのは面白えな」
「せやろ? だから遥らしい感じ方やと思た。オレとは違う事が嬉しくて愛しいて思う」
「えへ。嬉しくて愛しいか。弥勒はほんと、俺が好きでしょーがねえんだから」
弥勒が好きだ。
弥勒の生きてきた時間も好きだって思うから、俺は俺の生きる時間を大切にしよう。
弥勒が好きだって思うから。
細い雨だれみてえなたくさんの、頭上からのいく筋もの細い水の流れが、レーザー光線を受けて、キラキラと輝く場所にきた。
手で水を遮ると、当然キラキラ輝くのも途切れる。途切れる事なく流れるから、光を受けてキラキラ輝くことが可能になる。
「ふふ。果てしなく水が流れ続けるから美しく輝けるんだな」
「噴水のダイナミックな迫力もええけど、この途切れることのない中にある、連続性の美しさもええな」
手を濡らしながら、水を遮ったりまた流れに任せたりしながら、暗い空間を2人でゆっくり歩く。
ここも暗いけど怖くねえ。
でも、転ぶのもカッコ悪いし、こっそり弥勒が支えてくれる。
暗いと弥勒との距離が縮まって、なんかちょっとドキドキするなー…
いい雰囲気だけど、離れて見たら、きっと普通の人からはまる見えだし…
うー…キスとかムリだな……キス、してえ…
「めっちゃきれいやったな。そろそろ次行こか」
「だな。次はどんなとこかな?」
キス、してえけど、他人には見られたくねえし、かと言って、まだその先は怖えから、部屋で2人の時はちょっとって思うし、むむむ…
色々むつかしい。弥勒は外国在住経験者だから、きっと付き合ってるヤツ同士が道端でキスとかするのは、気にしねえだろうけど。
ここは日本だし、俺は気にするヤツだ。
それに、初めての恋人とのキスは、いい雰囲気の時にしてえし…うーん。むつかしいな。
「む? ここはなんだ? 布? 暗いじゃなくて、黒いな」
「床が黒い布やな。はは、身体めっちゃ沈むでここ。オモロ〜っ!」
ふかふかズムズム沈む、黒い布で出来た床だぞ。ヤベえ、面白え。
真っ直ぐ歩けねえ。あは、あっちで寝転がってる人もいる!
暗くねえ空間だけど、壁も天井も床も黒い空間だから、視界が悪い気がするっつー騙し絵みてえな場所を、2人でよいしょよいしょと移動するぞ。
「あかん、無理や。誘惑に勝てへんから、あっち行くで」
「あっちだな。がってん承知の助。頑張って向こうまで行くぞ〜っ」
2人で人の少ねえ場所に行って、ふかふかの黒い床にダイブしてみると、気持ちいい〜っ!
こりゃクセになる楽しさだ、面白え!
「わは。弥勒、寝っ転がってると、人が動いてるのが伝わってくるな!」
「やな。布がちょっと動いたり、床の下の柔らかいのが押されて、色々伝わってくるで」
「この下は何で出来てるんだ? なんか家持って帰りたくなる気持ち良さだぞ?」
身体全部使った体験、全身で遊ぶ面白さ。
弥勒がいるだけで楽しいのに、体験そのものも面白えな。わは、まわりもはしゃいでるぞ。
不思議な床の柔らかい黒い空間をまったり楽しんだら、次は歪な金属の卵がいっぱいの幻想的な苔の森だ。
ここが最後の場所か。
「ここで日没まで、ゆっくり過ごすで。時間によってここは変化するしな」
「なんと、ここはそんな仕掛けがあるのか。飽きさせねえな〜」
まわりの人の真似して、起き上がりこぼしになってる歪な金属の卵をつつくと、不思議な感じの音が鳴って、周囲に呼応してくぞ。
歪だから、映り込む景色や自分の姿も歪んで、それがいっぱいあって、高い音や低い音、不思議な音を響かせ合うのが楽しいな。
2人でゆっくり見て回ってると、日が沈んでその歪な金属の卵が光りだして、さらに不思議で幻想的な雰囲気に辺りが包まれた。
「すげえきれいだな…弥勒。中身が透過する仕掛けなんだ…」
「これ1個ずつ全部形が違うな。ゆっくり色が変わってくのも、めっちゃきれいやわ」
つつくと音が鳴って色が変わって、ゆっくりまわりにも伝わってく。1個1個が、飽きねえぐれえきれいなのに、いっぱいある。
ダメだ、全部つつきてえ…全部つついてまわって、あらゆる変化させて、全てのパターンが見てみたくなってくるぞ、これ。
「ボールと違って、1個の中身が1色やないし、変化も一定せんな」
「だよな。なんとかこう、色々試して、こいつらの変化の規則を見つけたくなるぞ」
予測のつかねえ変化に富んだ歪に歪んだ光る卵は、色も光り方も音も一定じゃねえから、とにかくきれいで飽きねえやつだ。
さんざんつつきまわして、色々試してみて、たっぷり楽しんでも、変化の予測が出来ねえまま、後ろ髪を引かれつつ帰路に着いた。
楽しかった…またここ来てえな。
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