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この恋のために2  作者: ひなた真水


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本日4話目です。

「あ、そこの人、このクラスに木田恵さんっていると思うんだけど、ちょっと呼び出してくんね?」


 3月14日、今日はホワイトデーだ。

 弥勒といっしょに買いに行ってきたチョコ持って、1年校舎に行って、チョコのお返ししねえとだ。


 俺が用意したお返しは、彼方のアドバイスに従って、コンビニのちょっといいチョコ。

 チョコにチョコを返す事で、“あなたの気持ちは受け取りません”っつー事が伝わるらしいけど、果たして上手くいくか、ちょっとドキドキだ。


 それにしても、お返しのお菓子によって、意味が色々あるとか、いかにも女子っぽいイベントだよな〜。


 俺、マシュマロあげるのがいいのかと思って聞いてみたら、それは“あなたのことは嫌いです”っつー意味だから、やめとけって言われて、ビックリしたし。

 絶対知らねえでプレゼントするような男子は存在すると思うけど……それでケンカとかなったら、なんか悲惨だよな〜。


 

 呼び出しに応じてやってきたのは、1年生の木田恵さん。

 雰囲気がふんわりしてる女子っぽい子だ。


「あ、あの、わたしが木田恵ですけど、先輩……」

「はじめまして、これ、チョコくれたお返し。気持ちは受け取れねえけど、勇気出してくれたお礼は言おうと思ってな」


「そんな、わざわざお返しくれるとは思いませんでしたっ。あ、ありがとうございますっ」

「うん。次好きになる人とは両思いになれるように、俺も応援してるから」

「はいっ、ほんとに、わざわざありがとうございました………っ……」


 あわわ。な、泣かせてしまったよ…ど、どうしよう?

 お返し渡して終わりだと思ってたけど、泣いてるのにこのまま立ち去るとかは出来ねえし…

 廊下の隅っこで俺はオロオロしながら、木田さんが落ち着くのをひたすら待ってると、別のヤツから声かけられた。


「ぁ………遥先輩」

「?」


 誰だっけ? 見覚えのねえ女子だな?

 ショートカットで気が強そうだけど、1年生に知り合いはいねえしなー?


「ぁあのっ!! 遥先輩、メガネダメにしちゃって、ごめんなさいっ……」

「あー…」


 4月に自転車でワザとぶつかって来たヤツかな? あんなヤツ、謝ったって俺は許さねえぞ?


「2度とあんな酷いことするんじゃねえ。俺は許す気ねえからな?」

「っ、ご、ごめん、なさぃ………っ……ごめ……」


 わーっ! こっちの女子まで泣き出したっ!!

 なんだなんだ? これじゃ俺が悪者みてえじゃんっ!!

 自分がワザと嫌われることしたクセに、泣くとかはズルいだろ?


「遥、まだ時間かかりそうけ? ……って、なんで2人に増えてるんや?」

「弥勒………いや、この子が謝ってきてさ」


「ああ、そういえばこいつ、春に遥にワザと自転車でぶつかってきたヤツやんけ。口きかんでええって、こんなヤツ。こっちの子が済んだなら、行こや」

「うん。木田さん、ごめん。俺もう行くな?」


 チョコくれた子にだけ挨拶して、弥勒とその場を離れた。




 教室に帰る途中で弥勒と文句の言い合いをするぞ。

 あんな女子、泣いて謝ったって、俺は絶対許さねえんだからなっつって。


「琢磨の言うたとおり、ほとぼりが覚めたとか思て近づいてきよったな」

「自分から嫌われることしといて、泣くのはズルいよな〜。あれじゃ俺が悪者みてえだしさ」


「もしあのまま、遥がワザとぶつかったん知らんかったら、気をつけやっちゅうて許してたかと思うと、余計ムカつくな」

「ほんとだよ。知らなかったら許してたとこだ。知らせてくれた琢磨に感謝だな」



 弥勒と俺がぶつぶつ言いながら、そのまま教室に帰って、授業受けてたら、5限目の休み時間に杉崎ちゃんがやってきた。

 なんでも、さっきの女子が廊下で泣き止まねえから、1年生は授業どころじゃなくなってるらしい。

 えー? 俺、あの子許すのはやだぞ?


「元はといえば、あいつが悪いんやんけ。授業にならへんから帰れとでも言うとけって、先生」

「うむり。ワザと嫌われることする者が、嫌われて泣くのがズルす。まだ反省が足りなすという事なり」


「困りましたね。遥くん達の言う方が正当なんですけど、泣いてて話せる状態じゃないですし…」

「先生、親に連絡入れて迎えにきてもらえばいいんじゃない?」


「とにかく先生、俺は泣いたってあんな酷いことするヤツは嫌いだし、泣かれて悪者みてえにされたのもムカつくし、反省してるなら授業受けろっつっといて」

「分かりました。先生たちで彼女の説得はしてみますね」


 女子って泣くのが厄介だよなー。

 前に弥勒が告られて断って泣かれたら、すげえ困るっつってたけど、今回マジで俺も困ったし…


 俺に嫌われることで、あの子もキッチリ反省して、もう2度と好きなヤツにやな事しねえようになって欲しいもんだ。

 

 ◆

 

「今日は遥、色々災難やったな」

「ほんとにな。まさかあの女子が自分から声かけてくるとは思わなかったよ」


 今日のメニューは水炊き。

 鍋物って野菜と肉切るだけで食えるし、ほかほかあったけえから、この季節にピッタリだよな。

 弥勒がおじさんからもらったホットプレートに、鍋をセットしたらくつくつ煮たたせて、ほかほかうまっ。


「ああいうヤツの事を厚顔無恥っちゅうんやって、オレは思ったで」

「お? 四文字熟語だな? 辞書でも引いたのか?」


「いや、慶太に教えてもろたんや。面の皮が分厚くて恥かいても顔色が変わらん恥知らずの事をいうらしいな」

「弥勒はどんどん日本語が達者になってくな〜。ちょっとの面白が減ってくのは寂しいぞ?」


「こら、オレの日本語が上達してきてるんを残念がるなって」

「大丈夫だって、どうせ俺が留学したら、弥勒は逆の立場になるんだから、これは期間限定なんだし」


「アメリカ戻ったら、また忘れて面白が増えそうなんが不安やけど?」

「そん時はまた、俺がコッソリ面白えって思うから、おあいこおあいこっ」


 弥勒と話してると、やな事あった今日みてえな日でも、元気が出てくるから不思議だな。

 きっと好きなヤツの言葉には、元気の素がいっぱい詰まってて、俺はそれをもらってるからだろう。


 2人きりの旅行も目前だし、そろそろ準備を始めねえとなって、水炊き食いながら用意する物の事話すメシは、今日もすげえうまっ!

次のお話でラストです。

もしよければ、ブックマークや⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を付けてくださると作者は泣いて喜びます(๑>◡<๑)ノ

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