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この恋のために2  作者: ひなた真水


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バレンタインデー

本日より最終回まで5話一気に更新します

「はるタソ、準備はよろしか?」

「バッチリだぞ、彼方。全部計量は済んでるからな」


 今日はバレンタイン前日だから、予定通り彼方といっしょに手作りチョコに挑戦するぞ。


「母さん、こんなもんで溶けたって言っていいのか?」

「母さま、かなタソのも見とくれ」

「はいはい。遥の方はもういいわよ。彼方はもう少しね」


 今回も母さん参謀におおいに頼って、トリュフチョコに挑戦する。

 味は俺のビターチョコと彼方のミルクチョコの2種類で、飾りはなんと6種類も作るから、気合い入れてやんねえとなんだ。


 チョコに生クリーム混ぜたガナッシュ作って、小さく小分けに丸めたら、飾りつけに使うチョコをテンパリングしてくぞ!!


「やややっ! 母さま、はるタソのチョコがダマダマなってきたなり」

「あわわわっ!! 母さん、こんなの俺、どうすりゃいいんだ!?」

「あらあら、温度下げすぎたのね。もう一度温めたら直るから、平気よ」


 途中ちょっと失敗して、チョコの温度下げすぎて、ダマダマになりかけたけど、母さんの指導でなんとか挽回して、飾りつけする。


 まずは溶かしたチョコに丸めたガナッシュを潜らせただけの、シンプルなプレーン。

 シンプルなだけに、そろっとしねえと不細工になるから、けっこう高度な飾りつけだな。


 次は刻んだナッツの中に転がして、ナッツをたっぷりくっつけるやつ。

 ささっと転がさねえと、せっかく溶かしたチョコに潜らせたのに、チョコが固まるから、集中力が重要だな。


 簡単な粉砂糖やココアや抹茶をまぶしたのも作るぞ。

 む。簡単だけど、ガナッシュの時点できれいに丸めとかねえと、あんまカッコ良くなんねえかも。


 最後に、溶かしたチョコに丸めたガナッシュをくぐらせたあと、突いてツノを立たせるやつも作る。

 ふふ。ちょっとイタズラしてるみてえで、これは楽しいな。


「うひょ。かなタソチョコ、かわゆすなったなり〜」

「いっぱい出来たなー、彼方」

「全部出来たら、1番素敵なのをそれぞれ選んで、箱に詰めれば完成よ」


 俺がラッピングに選んだのは、仕切りのついたカッコいい紺色の箱に、焦茶色のカップでチョコを並べるやつだ。

 彼方の選んだのは、ピンクのハート型の箱に、赤いペーパークッション入れて、そこにカップに入ったチョコ並べるやつ。


 出来るだけ1番上手に見えるやつを選んで6個並べると、なんかお店で買ったみてえに、カッコいい感じに見えるのが出来た。


「うひょー、かわゆす出来たなりっ」

「満足っ! 買ったみてえにカッコ良くなったぞ」

「2人とも頑張ったもの。当然よ」


「母さん、さんきゅな。残りは父さんと母さんが食っていいぞ」

「うむり。少々勿体なすが、靴下臭すにも分けてやるなり」

「それじゃ、残りは母さんたちがもらうわね。父さんきっと、すごく喜ぶわ」


 明日のバレンタインの事を考えると、なんかわくわくするなー。弥勒、うめえって言ってくれるかな?




 次の日、学校行く前に、迎えにきた弥勒にさっそくチョコを渡すぞ。


「弥勒、ハッピーバレンタイン! 手作りチョコだから、ありがたく食いやがれ?」

「ありがとう、遥。めっちゃ大事に食うわ。オレからはこれな」

「む。弥勒もくれるのか。なんだろ?」


 プレゼントを開けてみると、カッコいいブッククリップだった。


「これから遥は勉強いっぱい頑張るやろ? 教科書開いとくのに、ちょうどええかと思ってな」

「うわー… さんきゅな、弥勒。超嬉しいぞ!!」


 ブッククリップ、俺のこと、いっぱい考えてくれて選んでくれた。いっぱい考えてねえと、こんなの思いつかねえよな。

 だって、マフラーとか手袋みてえに、プレゼントとしては、一般的じゃねえもんな!! すげえ嬉しいぞ!


 これ使って、勉強、いっぱい頑張らねえとだ!!

 クリスマスの帽子も、ブッククリップも、俺のこと考えてくれたってすげえ分かる。

 それが伝わってくるのが嬉しい。弥勒、さんきゅな?




 学校に着いたら、俺の下駄箱になんと、チョコが入ってた。むむ? このチョコ、一体誰からだ?


「誰からもらってん?」

「木田恵って書いてあるけど、知らねえやつだ」

「かなタソも知らなすお名前なりから、おそらく2年生ではなすであろ」

「くれるなら、学年とクラスも書いておいて欲しいよね?」


 むー…また俺、付き合えねえって返事しなきゃなのかー………気が重いな〜。

 でも、くれた相手は、探してちゃんと断らねえと。


「差し出し人の名前だけで、カードも何もついてなかったんやろ? もらうだけにしとけば?」

「そゆわけいかねえよ。名前書いてあるんだから、探してお礼ぐれえ言わねえとだ」


「オレもやっぱ、ちゃんと断った方がええけ?」

「弥勒は弥勒の好きにすればいいぞ。俺はこゆの、ちゃんとしとかねえと、自分が気持ち悪いからするけど」


「うわ……おれの机にはなんか、手作りっぽいのが入ってる」

「うー。怪しげな物混入してそで、知らなす者からの手作りは歓迎出来なすの〜」


 俺が1個、弥勒も1個、滝は差し出し人不明の手作りと1年生からの2個もらってしまった。

 差し出し人不明っつーのは、ちょっと不気味だな〜ってみんなで喋る。


「どうする? 万が一やけど、髪の毛とか爪とか血液とか混入してたら」

「ええっ!? 気持ち悪い事言わないでよ〜…」

「弥勒。それ、嫌いなヤツへの嫌がらせみてえな発想だぞ?」

「しかし、おまじないと称して、髪の毛欲しすする者は存在するなりからの〜」


「は〜… やっぱり無理だよ。頑張ってくれたのかもしれないけど、これは受け取れない」

「こゆの見てると、モテるっつーのも、あんま嬉しいもんじゃねえよなーって思うな」

「ほんまにな。オレも、モテたい相手にだけ、モテてたいわ」


 結局滝は、差し出し人不明の手作りチョコは、くれた子には悪いけど、受け取る気にはなんねえって、受け取らねえ事にしたらしい。




「あ、武田〜ハッピーバレンタインだねっ!」

「あーはいはい。さんきゅーな」

「武田くん、チョコあげるねっ!」

「は〜………さんきゅなー」


「すげえな、武田。ひーふーみー…13個もあるぞ。モテモテだな、チョコもらいまくりじゃんっ」

「くすくすくす。遥、武田って今日が誕生日らしいよ」

「なんだ〜、ただの誕生日プレゼントか〜」

「ははは。だからみんな面白がって、チョコやるんや」

「ったく、おれはこんな日におれ産んだ親が、うらめしくてしょーがないよ」


 そんな事を言いつつ、チョコに囲まれてる武田見てたら面白くなってきて、俺らも4人で昼休みにコンビニまで行って、武田の誕生日を祝ってやった。

 こういう面白な事にはやっぱ、乗っかっていかねえとだしな!!




「あ、遥くーん! ハッピーバレンタイン!」

「ハッピーバレンタイン、遥くん。どうぞ!」


「おおっと、おめえらもくれるのか〜。さんきゅな、伊東藤本」


「「だって、テストですごい見てもらったからね。お礼くらいするよ〜。はい、弥勒くんもね!」」


「え? オレにもあるんけ? ありがとう。おまえらからもらうのは気楽でええな」

「気楽じゃない誰かからもらったの?」

「素敵な男の子からのプレゼントが?」

「だから、なんで男なんだよ。んなわけねえだろ?」


「おまえらは知らんけ? 木田恵っちゅうやつ」

「知らないね。その子探してるの?」

「その子から、チョコもらったの?」

「うん。名前以外なんも書いてねえから、手がかりがなくてさ」


「きっとそれ、めぐみじゃなくて、けいって読むんだよ」

「そうだね。実は男子で、こっそりの告白なんだってば」

「そんな事あるわけねえだろ。男子で木田っつーやつがいるのかよ?」


「聞いた事ないけど、いるかもじゃない」

「知らないだけで、もしかしたらでしょ」

「とにかく、遥がお礼ぐらいは言いたいらしいから、もし見つけたら、教えたってくれや」

「「分かった。探しとくね」」


 授業が終わったら、晩メシの買い出しして、今日も弥勒といっしょにメシ作るぞ。


「遥、今日はメシの準備の前にチョコ食いたいで」

「かまわねえぞ。たいして量もねえから、メシには影響ねえだろうしな」


 弥勒の家で、いざいざ、弥勒が俺の作ったチョコを食ってくれるぞ。なんかドキドキするな〜。

 2人でコーヒー淹れて、俺は弥勒が食うのを眺める。


「うわー、きれいなチョコやな。さてさて、食うで〜」

「ふふふ。出来のいいの、選んで並べたからな」


 うめえって言ってくれるかな? うめえって言ってくれればいいな。ドキドキ。


「ん! うまいっ!! めっちゃうまいで、遥!」

「えへ。うめえか? 良かった〜、一応味見はしたけど、甘すぎるかって心配だったんだよ」


「全然そんな事ないで? めっちゃうまい。ちょっと洋酒の香りがしてるんが大人の味や」

「ブランデーが入ってんの、分かったか? 実はそれ、父さんからもらったんだ」


「遥のおとんのブランデー使ったんや? ええ感じにほんのり香ってるで」

「父さんのもらい物でな、ブランデーは父さんがほとんど飲まねえ酒だから、使っていいって」


「おとん、家ではいつも、ビールばっかりなんけ?」

「ほとんどビールで、飲んでも日本酒ちょこっとだな。洋酒は頭痛くなるって飲まねえんだ」


「あー、酒の種類が合わへん人もいるっていうもんなー。ラッキーやったやん」

「でも今日はきっと、俺と彼方の作ったチョコ食ってると思うけどな」


「ははっ。あのおとんやったら、頭痛なっても、子どもの作った物は食うやろうしな。オレはめっちゃうまいけど」

「弥勒は洋酒飲むか?」


「ガブガブっちゅうわけやないけど、そこそこ飲むで。親と飲みに行ったりしてたし」

「飲みに行くの好きだっつってたけど、弥勒も連れて行くのか。酒はどれが好きなんだ?」


「オレが好きなんはスコッチやな。あと、ジャパンウィスキーも」

「スコッチもウィスキーだっけ? 俺は飲んだ事ねえかも。うめえのか?」


「両方とも香りが気に入りやねん。今度こっそり飲んでみるけ? テスト終わりにでも」

「いいな。今度のテスト終わりの映画大会で、ちょびっと飲みてえ。それぐらいだったら許されるだろうし」

「おう。外に飲みに行くのはまだ、怒られるかもしれんけど、泊まりの時やったら平気やろうし、飲もや」


 弥勒とは、弥勒が俺に告ってきた後のテストからずっと、テストが終わったら泊まりで映画大会してるから、今度のテスト終わりの映画大会の時にでも、こっそりウィスキー飲もうって約束する。

 テストの前にまた、伊東藤本の面倒見ねえとだけどって笑いながらの約束だ。


 伊東藤本は、今日チョコももらったから、面倒見ねえわけいかねえけど、あいつらほんと手がかかるからな。


「でも、遥があの2人の面倒見てるとこ見てると、オレは教師とかなればええかもって思うぐらい、教えるん上手やって思うで?」

「そうか? あの2人は教えても、全然甲斐がねえから、げんなりするけどな」


「去年の…拓巳くん、やったっけ? あの子なんかは見事にランクアップした高校受かったやんけ」

「ああ、あの子は本人のやる気があったからな。頭も悪くなかったし…元気してるのかなー?」


「今ごろ彼女作って、思い切り青春謳歌してるんちゃうけ?」

「ふふふ。気になる子がいるって言ってたから、そうかもしんねえな。あの子ぐらいやり甲斐ある子だったら、また教えてもいいけど」


「ま、もうすぐ高3やし、当分受験やけどな?」

「うん。MIT行ったら、またしばらくはバイトどころじゃなくなるだろうし、当分先の話だけどな」

「せやな。アメリカの大学は、入ってからが忙しいから、いっぱい頑張らなあかんし、いっしょに頑張ろ」


 教師か………それも悪くねえ仕事だよな。MIT卒業したらの選択肢の中に、入れてもいいかもしんねえ。


 でも、当分は目の前の留学っつー目標に向かって頑張るのが一番大事だけど。

 弥勒からもブッククリップもらったから、勉強いっぱい頑張ろう。俺、絶対MITに合格するんだ!

もしよければ、ブックマークや⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を付けてくださると作者は泣いて喜びます(๑>◡<๑)ノ

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