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「弥勒、今日はパスポート取りに行くから、付き合ってくんね?」
「ええで。準備は着々と進んでるっちゅう感じやな」
遥に誘われて、パスポートの受け取り窓口に出向いてく。
おとんは遥、初対面やし、楽しみやって言うてくれるのが、オレはめっちゃ嬉しい。
はは。これが遥のパスポートの写真なんや? 改めてこうして見ると、やっぱ真っ白に見えるなー。
「俺、初海外でドキドキだぞ。パタゴニアってどんなとこなのかな〜?」
「オレも行ったことないし、説明は出来んけど、おとんとおかんは楽しそうやで」
「今年は弥勒の誕生日がゆっくり祝えねえのが残念だけど、代わりにバレンタインもやるからな?」
そう、今年のオレの誕生日は、ちょうどパタゴニアに向かう空の上やし、ゆっくりお祝いっちゅう感じにならへんからな。
代わりにバレンタインでお祝いしてくれるっちゅうのは、めっちゃ嬉しいで。
「お? チョコくれるんけ? そら嬉しい」
「うん。しかも、彼方といっしょに手作りに挑戦するんだ」
「マジか! めちゃくちゃ嬉しいやんけそれ。当日は気合い入れてデートせんとやなっ」
「滝にも気合い入れろっつっといてくんね? なんせ、あの彼方が手作りだからな」
「言うとく言うとくっ。2人で手作りチョコか〜、嬉しいな〜。オレもチョコ作ろかな?」
「弥勒も作ってくれるのか? そりゃ嬉しいぞ」
「オレも慶太といっしょに手作りチョコに挑戦とか、どや?」
オレ、フランスいた時さんざんやらされたから、チョコケーキやったらけっこう自信あるし、いっちょ焼いてみよかな?
「む。滝もいっしょに挑戦か…滝にはホワイトデーに気合い入れて欲しいんだけどなー」
「バレンタインは受け取る側がええっちゅう事け? 彼方がなんかリクエストしてるとか?」
「リクエストじゃねえけど、お返しにほっぺキスもらえれば、きっと夢見心地なり〜って言ってたから」
「! そうか。たしかに乙女チックで彼方が言いそうな事やな、それ」
こらええ事聞いた。さっそく慶太に教えたらんとや。
慶太、いつも彼方と付き合うのは、ゆっくりやないとって、見てるこっちまでジリジリするぐらいしか、進まんからなー。
喜びよるやろなー、この情報は。
「ちゅうか、キスやなくて、ほっぺキスなんや?」
「彼方的には、まだ結婚も出来ねえ年齢だし、俺らはまだまだ子どもっつー事らしいんだ」
「なるほど、子ども同士のキスやし、ほっぺキスがちょうどええっちゅう事か」
「うん。なんか彼方らしい考え方だろ?」
「他は? 他になんか聞いてへんけ? オレ、慶太に色々教えたいし」
「ええ? 俺と彼方のナイショの話だし、あんまバラすのはどうかと思うけどな〜」
「そんな事言わんと教えてくれや。遥もあのカップルには上手いこといって欲しいやろ?」
「うーん…あと有益そうな情報っつったら、彼方、デートの時は、手を繋ぎてえって思ってるっつー事ぐれえだけど…」
「お? 彼方、デートで手ぇ繋ぐんは大丈夫なんや?」
「うん。彼方って意外と甘えん坊だし、デートで手が繋げねえのは寂しいっつってたからな」
「そうか〜。むしろ手ぇ繋ぐんがないのは、寂しいんや? そらぜひ知らせんとやな」
その夜さっそく慶太にオレは、手に入れた情報を教えたる。
警戒心が強くて、なかなか手に入れられんかった彼方の、貴重な情報やし、慶太が喜ぶことは間違いないしな。
Mrock『───っちゅう話を聞いてな』
K.ta『ほんとに? 彼方がそう言ったってほんと?』
「おう。マジやで。気合い入れてホワイトデー演出しろよ? 慶太」
「うわぁ…気合い入っちゃうなー、そんなのっ。どうしよう、手作りチョコってだけでも有頂天になりそうなのに」
「去年は彼方に何やったんやったっけ?」
「ただのハンカチだったよ。毎日使うし、数あっても困らないからってね。でもどうしよう? キスだけってわけにいかないし…」
「手作りチョコのお返しが、ハンカチっちゅうのは釣り合わんもんなー」
「でしょ? クリスマスもあるのに、プレゼントには、ほんと毎回頭使うなー」
「クリスマスなー、今年はオレ、遥に何やろうかな?」
「自分の誕生日だし、あんまり派手な物プレゼントしにくいだろうからね」
「せやねん。遥のプレゼントと釣り合う値段ぐらいで、喜んでもらえる物っちゅうのが、なかなか思いつかんでなー」
「去年は何あげたんだっけ?」
「ネックウォーマーや。ちょうどええ感じのが見つかったからな」
「じゃあマフラーは今年はナシだとして、同じ冬小物の手袋とかどう?」
「パタゴニアに行く直前やし、向こうは夏やから、冬小物でええんけ?っちゅう感じやねん」
「あー、それじゃすぐには使えないか」
「せやろ? オレもプレゼントには、ほんま頭悩ますわ」
「カードの方はどんな感じ? 今回も手書きでいくつもり?」
「いや、全部手書きは誕生日だけがええかと思ってるんや。その方が上達がよう見えそうやろ?」
「なるほど、たしかにその方がいいかもしれないね。誕生日だけは特別なカードをって」
「まだまだ遥のくれるカードに比べたら、だいぶしょぼいカードしか書けへんから、自信もないしな」
実際何回も練習して書いたカードやったけど、遥の待ち受け見るとやっぱ、もらったやつよりだいぶしょぼいって感じるからな。
「おれもそうしようかな? やっぱり彼方の待ち受け見るのが、恥ずかしいぐらいのしかあげられなかったからね」
慶太といっしょに、プレゼントの候補を調べたり考えたりしていく。
ペン、帽子、財布、キーケース、色々あって迷うなー。
誕生日はアクセサリーやったから、違うのが贈りたいしなー…
あんましょぼい物は嫌やけど、ハンカチとかなら、イニシャル入れたやつ贈るのも悪ないかもやな。
ネットにはパンツとかの下着も候補にあるけど、オレらにはまだちょっと早いやろうしな。
男やったら、そういうのに夢見てまうっちゅうのはやっぱあるけど………自分のやった下着脱がしたいとかな。
クリスマスに向けて、浮かれたオレらの相談は、当分尽きることなく続きそうな感じやな。
「そういや、慶太。彼方はデートで手ぇ繋ぎたいらしいで?」
「ええっ! おれ、彼方と手なんか繋いでもいいの?!」
「むしろ、手ぇ繋げへんのは寂しいっちゅうてるらしいから、繋いだらんとやで」
「さ、寂しくしてるなんて聞いたら、絶対手は繋ぐけどさ…そっか、手は繋ぎたいんだ」
「手ぇ繋ぐん嫌なんけ?」
「嫌なわけないよ! 嫌じゃないけど、緊張するじゃないか。手汗とかどうしようって」
「手袋するとかせえや。これからの季節ならちょうどええやんけ」
「そうだね。手袋してなら、手汗も気にならないだろうし、ちょうどいい季節だ」
「おう。慣れる頃に春が来るから、慣れたら直接手ぇ繋げばええって」
「だね。うわー…次のデートが楽しみだな〜」
次の日にはさっそく慶太は、学校に手袋してきて、放課後、意気揚々と彼方と手ぇ繋いで、デートに行きよった。
「ふふっ。弥勒、滝にさっそく、彼方が手が繋ぎたがってるって言ったんだ?」
「おう。そしたらアイツ、手汗が気になるっちゅうて、手袋しての手繋ぎになってん」
「だから滝、手袋なんかしてたんだ。手袋の季節にはちょっと早え気がしたけど」
「緊張して手汗ダラダラよりは全然ええやろ?」
「そだな。ほんと、見てると焦ったく感じるぐれえ、ゆっくりのカップルだもん。手汗も気になるか」
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