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差別的

本日2話目の投稿になります

「のん、のんのん、はるタソ。かなタソこっちよろし」

「えー? いや、それはちょっとかわい過ぎるだろ。俺はこっちがいいぞ?」


 ただいま俺は彼方と2人で、4月15日にくる誕生日のための、親に何ねだるかっつー誕プレ会議中。

 親は彼方と同じ物しかくれねえから、彼方と意見が合わねえと、嬉しくねえ物もらう事なる。


 父さん彼方に激甘だから、絶対彼方優先だし。

 彼方が欲しいのは、ピンク色の猫耳つけられるタイプのヘッドホンで、かわいいけど俺はそれ欲しくねえ。

 性能が良くてカッコいいのがいい。


「むーかなタソ、このピンクがよろしのにー」

「俺のヘッドホンがピンクじゃ、どう考えてもおかしいだろ?」


「はるタソ、このお色違い青ヘッドホンでよろしでなすか」

「よくねえ。その青いのはカッコ悪いぞ。性能的にも絶対こっちだ」

「それお色が悪す。かなタソかわゆす欲しす。こっちがよろし、こっちするなり」


「彼方、ヘッドホンじゃないとダメなのかな? 同じ物選ぶなら、時計とかは?」

「む。時計か…彼方、スマートウォッチはどうだ? そっちも欲しくねえ?」

「スマートウォッチやったら、ケースとバンドで雰囲気ガラッと変えられるやんけ」


「ふむり。悪すなす。なればケースとバンドはいかがするなり? かなタソおそろは嫌なりよ」

「そこは値段の近えの選ぶっつーのでどうだ? もしくは予算を決めてもらうとか」

「いいんじゃない? 予算内でって事なら、お互いケンカにならないだろうし」

「それよろしね。そいではさっそくいかがするか、選ぶなり」


 俺の父さん、電子機器系が好きだから、物くれる時はそっち系だと、財布の紐が緩くなるヤツなんだよな。

 同じ値段の物でも、オシャレ系の物だと、そんな高えの欲しいのか?ってちょっと渋い顔する事が多いし、ねだるなら電子機器だ。


「滝はもう、彼方へのプレゼント、決めたのか?」

「まあね。でも当日までナイショだよ。去年はお祝い出来なかったから、気合い入れてるんだ」

「うひょ。それはかなタソ、楽しみなり〜。ミロクはいかがなりか?」

「オレもまあまあ気合い入れてんで。なんせ初バースデーやしな」


「ところで彼方、おめえはいつまで滝を苗字呼びしとくつもりだ? 名前で呼ばねえのか?」

「ご結婚するまでなり。かなタソご結婚するタキ呼べなすであろ? 期間限定貴重なり」

「いっしょの苗字になったら、使えなくなる呼び方だしね。おれは呼びたいから彼方って呼ぶけど」


「なるほど、そういう考え方もあるのか…弥勒、おめえも高嶺って呼んでやろうか?」

「嫌や。そんなん仲悪なったみたいに感じるやんけ。弥勒って呼んどけや」


 弥勒と俺は、弥勒が現在重国籍の身分だから、将来的には弥勒が外国籍取って、結婚する予定だから、俺は高嶺遥になるからな。


 具体的な候補はフランスとドイツ。

 弥勒はたぶんフランスだろって話してる。

 半分がフランス人の親で、生まれた場所はドイツだから、都合の良い方を選ぼうって約束してる。


 日本は成人したら重国籍を認めてねえから、日本国籍は捨てさせる事になるけど、結婚しねえっつー選択肢は俺の中にははねえ。

 生涯の伴侶だと名乗る気概もねえで、同性と付き合えるわけねえからな。


「……ホモ野郎。気持ち悪っ」


 後ろのどっかから、ボソっとそんな言葉が聞こえてきた。

 振り向くと、さっと目を逸らすヤツがいた。

 えーと、名前なんってった?


「…おい。おまえ今なんて言うたっ!?」

「やめろ弥勒。手ぇ出すんじゃねえ、殴って解決じゃねえだろ」


 弥勒が向かい側で立ち上がるのを止めて、俺は身体向き直してそいつと向かい合う。

 たしか…えーと、名前は榎田(えのきだ)…だっけ?


「榎田、今のはセクシャリティに対する差別発言で、俺らを侮辱した、間違いねえか?」


 そう問いただしてみても、榎田はそっぽ向いて何も答えねえから、俺も黙って向い合わせで、返事をしばらく待ってみる。

 その内チャイムが鳴って、先生が教室に入ってきたから、黙ったままの榎田は一旦放置しておいて、前向いて古典の授業を受ける。


 悪いな榎田。

 俺が前向いて、ホッとしてるみてえだけど、見逃すわけじゃねえぞ。

 俺はキッチリ反省して謝罪するまで絶対許さねえ。




 6限目終了チャイムが鳴ったあと、カバン持ってそそくさと帰ろうとする榎田の肩掴んで、帰るのは阻止する。

 さ、謝ってもらうぞ。


「榎田、帰るんじゃねえ、話し合いだ。さっきの言葉に対して、俺は謝罪を要求する」

「…………」


 俺と弥勒と彼方と滝の4人に取り囲まれた榎田は、おずおずとした顔で、ゆっくりと俺らは振り返ったから、そのまま話し合い開始。


「かなタソも要求なり。榎田謝罪するよろし」

「そうだね。ちゃんと2人に謝らないと」

「…き、気持ち悪いもんに、気持ち悪いって言って何が悪いんだよ!?」


 感情的になってもダメだ。キッチリ反省させて、絶対謝ってもらう。

 さぁ言え。俺ら、俺と弥勒を侮辱してごめんなさいって言え。


「なれば説明するよろし。自分が正当であると、申し開きするよろし」

「誰かの愛情を侮辱する行為は、おめえの中で正当なのか?」

「何を思うかは勝手だろ⁈」


「ほな口に出して侮辱するのはええ事やったけ?」

「榎田は肌の色や目の色、出身地でもそう言って差別するのかな? おれはその方が軽蔑するよ」

「はるタソ白すも言うなりか? はるタソ白す気持ち悪し言って回るなり?」

「ち、違…そうじゃ……色とは…」


「誰かを好きっつー自然に生まれた感情とどう違うんだ?」

「なりたくて女目指す男にもそう言うんけ? 3年におるやろ? あの人にも言うんけ?」

「それぞれなりたい物があって、目指す将来があるのに、自分と違うからって言っていい事かな?」

「はるタソ公序良俗侵すしたなりか? 不健全だったなり?」

「お、男同士は結婚出来ないだろ⁈ 苗字いっしょとか…ムリだろ⁈」


「出来るで。オレ国籍選べるヤツやしな。日本では、まだ法整備されてへんだけや」

「誠実に交際してる彼らに対して、自分の知識不足をひけらかして、開き直るつもり?」

「悪いな、榎田。俺らはおめえを謝るまで許すつもりはねえ。謝罪しろ」

「榎田、我が弟はるタソとご婚約者ミロクに謝罪するよろし」

「こ、婚約……遥、高嶺と結婚の約束、したって事…?」


「そだぞ。俺は婚約者バカにするヤツは許さねえ。そこらにいる適当付き合うヤツといっしょすんな」

「ぁ……あ、ぁ………あ、ぁ〜…」


 なんでか分かんねえけど、榎田は急にボロボロ泣き出した。


 んん? まさか言い負かされると思わなかったのか? 甘えヤツだ。

 でも泣いたぐれえじゃ俺は許してやんねえ。

 自分の口でごめんなさいっつーまで、反省しねえヤツは許してやんねえからな?


「謝んなって、榎田。遥は怒ったら怖いけど、今回は謝れば許してくれるって」

「滝の言う通りだ。おめえが反省してごめんなさいするなら、今回は許してやるから、謝れ」


 ボロボロ泣いてた榎田は、ぐすぐす鼻水啜りながら、ようやく俺らにちゃんと、ごめんなさいって頭を下げて謝ってきた。

 ヨシヨシ、やっぱこういう時には、暴力振るって痛い目合わせるより、きちんと話して反省させねえとだ。

 弥勒、我慢して偉いぞ。


「おめえも今後は、俺らみてえなヤツを見ても、みだりに差別しねえだろうし、今回は許してやんよ」

「……ありがと、遥。反省、するよ。高嶺も、…いい加減な気持ちじゃなかった、のに…」

「おう。オレも許したろ。帰ったら、しっかり自分の気持ちの整理せえや」

「万事解決、我が弟ながら、天晴れ采配なり」

「ちゃんと謝ってくれてよかったね遥。彼方もこれで安心だね」




「今日はほんと、我慢して偉かったぞ、弥勒」

「いや。おまえが止めてくれんかったら、手が出てたわ。やっぱ早よ親の説得せんとな」


「そうだな。でも俺、あんな直接言ってくるヤツがいるとは、思わなかった」

「そんだけおまえが人気者やっちゅう事や。てか、慣れた感じやな」

「まあなー。ちっせえ頃から、色で揶揄われるっつーのはよくあったから、言い聞かせるのは慣れてるぞ」


 昔は揶揄われるたびに、幼馴染で親友の琢磨が激怒して、それ止めながらが大変だったから、今回はいつもより全然楽勝だったな。

 それよりも今日は俺、チャーハンに挑戦するっつー方が、断然気がかりだぞ。フライパンちゃんと、ブワって出来るかが心配だ。


 ◆


「彼方、遥は最後まで気づいてないみたいだったね」

「はるタソ人気者気づかなすはいつもの事なり。ミロクもご苦労3なりよ」

もしよければ、ブックマークや⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を付けてくださると作者が泣いて喜びます(๑>◡<๑)ノ

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