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この恋のために2  作者: ひなた真水


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ザワークラウト

「えっ! 試合頑張るって言ってくれてた?」

「うん。応援さんきゅなって。それとこれ、取材に来たカメラマンにもらった写真だって」


「マジー?! 遥ちょーありがとーっ!! うわー…部活やってる写真だぁ………」

「これキリにしとけよ、相手今大事な時期なんやし」

「もちのろんだよっ。推しに迷惑かけるような事は絶対しないっ」


 相沢のために特別に琢磨に頼んで、写真を1枚だけ譲ってもらったから渡してやると、なんか主演女優賞でももらえそうないい笑顔が返ってきた。

 相沢がかわいいのは雑誌で見て知ってたけど、今のはそのモデルやってる時の顔とは全然違ったかわいさがあったかもしんねえな。


「ん? なんかニコニコしてどうしたんや?」

「琢磨、あんな一生懸命応援されて、幸せ者だなぁって思ってな」


「おう。前にも言うたけど、あいつはモテるタイプやって」

「む。弥勒分かってねえなー。推しとモテは違うんだぞ? 推しは尊いんだ」


「尊い…な。琢磨がけ?」

「俺にとってじゃねえ。相沢にとっては尊いんだよ」


「おまえも誰か推し居るんけ?」

「俺は…うーん。思い浮かばねえから、いねえみてえだ」


「アイドルとかも?」

「家にテレビねえから、アイドルは全然知らねえじゃん俺」


「そういえばそやった。映画行ってもおまえ、役名でしか話出来んヤツやもんな」

「そうなんだよ。ゲーノー人っつーのは伊東藤本の数学より覚えるの苦手かもしんねえな」


「ぶはっ。あいつらの数学よりはすごいで」

「弥勒は? 誰か推し居るのか?」


「居るで。最近結婚した夫婦漫才師の…ガッキーゆっきー」

「面白えんだ?」


「前M1見せた時大笑いしとったやんけおまえ…」

「あ、あー! あの男女コンビの面白えヤツか! 夫婦なんだ?」


「おう。言うても結婚したんは先月やったけどな」

「すげえ。ゲーノー人の結婚話に詳しいな!」


「詳しない。推しやし知ってただけや。マンガのキャラとかで好きなんとかおらんのけ?」

「ちっせえ頃はいたぞ? 彼方が読んでた雑誌の海賊狩とか、超ハマってたし」


「あーそいつは知ってるで。有名なマンガキャラや」

「うん。よくそんで彼方と琢磨と3人で海賊ごっこやったんだ」


「はらペコと航海士と海賊狩の3人組け?」

「違うぞ。宝のおやつを守る姫と海賊狩と海賊だ。彼方が敵の海賊な」


「ちょ、待て待て。それって琢磨が姫け?」

「うん。あいつ刀持ってねえから大抵姫だったぞ。格闘家の姫な」


「設定おかしいって。ぶはっ! 琢磨が姫っちゅう時点ですでにおかしいのに、格闘家追加すんなや」

「だって刀持ってなくても闘いてえっつーから、じゃ格闘家かって」


「おまえと彼方は刀持ってたんや?」

「当然持ってたぞ。1本ずつだけだったけど」


「彼方が姫やとまだ収まりがええのに。ぷははっ。ぶはっ」

「彼方が姫なんかやるわけねえじゃん。あいつはおやつを狙ってやってくる悪者したがるヤツなんだよ」


「彼方が敵の海賊……ぷぷっ。慶太知っとるんやろか?」

「さぁ〜? 彼方のアルバムには勝利のおやつタイムしてるのとかあったはずだし、見てるかもな?」


「勝利のおやつタイムて、勝ったら独り占めなんけ?」

「当然だろ? だから悪者役やりたがるんだよ」


「シビアやな〜。分けろやそこは」

「彼方はくれねえけど、俺はちゃんと分けっこしてたぞ。つか分けねえと丸ごと盗まれるし」


「強欲やな、おい」

「今度家来た時には、前の続きでアルバム見るか? 彼方が盗んでる写真ならこっちのアルバムに残ってるしさ」


「見せてくれ。オレまだおまえの死んだババアの髪が緑色やったとこまでしか見てへんし」

「うちの父さんマジで写真魔だし、弥勒のと違って尋常じゃねえ数の写真だけど、それでもいいなら見に来いよ」

「行く行く。遥のちっさい頃の写真は改めて見たかったし、絶対行くわ」


 ちっせえ頃の彼方はおてんばっつーより、はちゃめちゃっつー感じで、父さんが激甘なのをいい事に好き放題してたからなー。

 母さんは男が手を上げるのはダメっつーヤツだし、俺も琢磨も彼方に何回泣かされたか数えきれねえ。


「母さんにリクエストがあるなら考えとけよ?」

「リクエストならな、得意料理っちゅうのが食いたいんやけど」


「おけ。得意料理だな? 母さんまた無駄なぐらい張り切って作るんだろうな〜…」

「あ、せっかくやし慶太もいっしょでええけ? あいつも彼方と晩メシは食いたいやろうし」


「いいぞ。ただしFPSはお断りだっつっとけよ?」

「俺も嫌や。あいつらギャグにしか走らんし」



「彼方のお母さんの得意料理? いいね、ぜひ食べたいよ、おれ」

「むひょ。タキもおよばれ来てくれるなりか? それは楽しみなりの〜」

「ついでにおめえは過去の悪逆非道だった証拠写真を公開しやがれ」

「3人分のおやつ、独り占めして食うてたんやろ?」


「む? そのような事、あったかの?」

「海賊になって宝のおやつを独り占めしてただろー? 写真残ってるじゃんー」


「あれは戦利品ではなすか。戦利品は酔いしれていただく物なりよ」

「逆の場合は盗むクセにけ?」


「宝は海賊に狙われるだけでなす。山賊も狙って来ただけなり」

「彼方は頭の回転が速いから、逆転の一手を考えるのが得意なんだね」


 ダメだ。滝にかかると、どんな彼方でも素敵な子になっちまう…愛って業が深えものなんだな…




 そんなこんなで母さんに得意料理をリクエストして弥勒が来る当日。

 階段あがってる最中の弥勒が聞いてきた。


「ここの3階ってどうなってるんや?」

「3階は父さんの書斎があるんだ。けっこう散らかってるんだけど、父さん以外どこに書類整理するか決められねえから放置されてる」


「へえ、数学者の書斎かぁ…響きがなんかカッコええな」

「そうかぁ? 母さんは掃除機かけにくいって、よくぷりぷり怒ってるけどな」


 そんな話しながら、部屋でアルバムを引っ張り出してくると、思った通り弥勒はビックリした。


「思てたより全然多いな……」

「主にあの写真魔のせいだぞ。すげえ量だろ。だいたい1年1冊ペースなんだよ、俺のは」


「さらにこれの彼方バージョンもあるんやろ? マジですごいでこれ」

「どっさりすぎてやになるけど、捨てるっつーわけいかねえものじゃん? だから普段は押入れの隅っこだ」


 彼方バージョンなんか、この1.5倍ぐれえあるから、マジ大量なんだよな。


「いやー…こんなあるて思わんかったわ。あ、これやったやんな? 最初の頃のやつ」

「それそれ。前はこの辺まで見せたよな?」


「最初からもう一回見せてくれ。最小の遥がもっかい見たい」

「む? 最小のはこっちの小冊子になるな。母さんの腹ん中にいた頃のヤツだし」

「エコー写真っちゅうやつか! 見たい見たいっ」


 不鮮明なぼんやりした影の、丸っこい小さな形が2つ。8週目の俺と彼方だ。


「うわー…ちっさ!! さすがにどっちがどっちかは分からんやろなぁ」

「母さんこれ見た時はテンション上がりすぎてさ、お医者に焼き増し頼んだから、家に複数枚あるんだよ」


「エコー写真焼き増し頼んだんか。ほな彼方もこれ持ってるんや?」

「父さんもな。頼み過ぎだろ?」


「ぷ。3枚は多いな」

「いや、5枚もらったらしい。あとの2枚はじいさんばあさんに送ったんだ」


「多いっ。テンション上がったにしても多いわっ。8週目っちゅうたらまだ安定期やないやんけ」

「嬉しすぎたらしいけど、ほんと親バカだろ?」


「どっちも1.1cmぐらいけ? このメモリからすると」

「だろうな。普通は育てるの大変かもとかで、間引きするか聞く医者もいるらしいけど、余りの喜びように聞かれなかったらしいぞ」


 つか、そんな事聞かれてたら産院変えてたって母さん言ってたし、いいお医者だったんだろうけど。


「他のエコー写真はねえから、次がいきなりこれになるんだけどな」

「うおー。やっぱ白くてちっさいなー。1894gと1896g。2g多い方が彼方やんな?」


「そだぞ。見た目で大きさは分かんねえけど、男女だったせいで顔はちょっと違うだろ?」

「遥の方がおっとりした顔してるわ」


「そうか? クシャってした顔だって思うけど」

「ここから色々詰まっていくんやし、クシャってしとかんと詰め込めへんやんけ」


「ちっせえ頃はとにかくなんでもお揃いだったからさー、親でも本人でも見分けつかねえ写真が多いんだ」

「そうけ? こっちの眉が垂れ気味なんが遥で、こっちの眉が凛々しいのが彼方ちゃうん?」


「分かるか? でも2人して泣いてるこの写真とか、顔クシャクシャだから全然分かんねえだろ?」

「前髪で分かるで。遥は右側のカールで、彼方は左のカールやし。前髪はだいたい、はねかたいっしょやからな」


「すげえな弥勒。双子マイスターか?」

「マイスターっちゅうほどやない。見てたらじわっと分かるだけやし」


「あ、ここで前は弥勒に告られたとこだ。ばあさんの髪が深緑」

「おう。あん時は思わずやった。このまま相沢が彼女になってええんかって。言うてほんま良かったけど」


「俺も言ってくれてほんと良かった。弥勒に告られなかったら、好きでもないのに相沢と付き合うとこだったしな」

「好きやなくても付き合ったけ?」


「彼女っつーものに憧れがあったからな。あのまま付き合ってたら相沢に失礼な事する羽目になってたかもだ」

「失礼な事?」


「女っていっぱい彼氏にメッセするヤツいるらしいじゃん。でも面倒くせえって返信遅れたり、大事だと思ってねえとやりそうだなって」

「あー、クラスいっしょでもメッセするヤツおるもんなー。あれはオレも意味分からん」


「そやってちゃんと相手を大事に出来ねえのに、付き合うっつーのは失礼だろ? そうならねえで良かったよ」

「オレが毎日いっぱいメッセしたらどうする?」


「弥勒なら隣にいるんだから普通に喋れって言うぞ? 会えないならともかく、弥勒は毎日いっしょだしな」

「いや、留学して学校が離れた時にやって」


「む。そういう時は俺もきっと、いっぱいメッセするからお互いさまなんじゃねえか?」

「ははっ。お互いさまか、ならええ。面倒くさいて思われんのは嫌やしな」


「好きなヤツのメッセ面倒くせえはねえだろ。好きじゃねえヤツからいっぱいくると面倒くせえけどさ」

「経験あるとか」


「中学入ってすぐにスマホ買ってもらってさ、浮かれてたまたま連絡先交換したやつがすげえメッセ送ってきてな、返信しねえと学校でぶつぶつ言うから、ブロックした事があるんだよ。やな事件だった」


「そんないっぱい送ってきたんや?」

「1日50件超えはどう考えても多いだろ? 返信しきれねえ」

「多すぎや。オレならソイツからもらうメッセ、半分くらいでキレるわ」


「お、見ろよ。夏の水遊びの写真だぞ」

「うわ。これおまえら日焼けせんかったんけ?」

「2人とも真っ赤になって熱出して、この後病院担ぎ込まれたんだよ」


 この頃はまだ白いのがいかに不便なのか、父さんも母さんもあんま分かってねえ時期だったから、色々あったらしい。

 弱視になんねえように、必死こいて視力の訓練させられたのも、この頃だったらしいしな。


「弱視と視力が弱いのは違うんや?」

「弱視は物を認識する部分の発達にも関係するらしいんだ。見えても何かを脳が理解出来ねえらしい」


「ほー、ただ目が悪いだけやなくて、脳の機能まで関係あったとはな」

「この頃ぐれえから、外出た時はひたすら彼方と手を繋げって注意されまくってたらしいぞ」


「あー、2人が別方向に走ったら、おかんはめっちゃ困りそうやもんなー」

「それもあるし、2人とも見えてねえってのもデカかったと思う。まだコンタクトはめらんねえ年頃だし」


「そりゃ危険や。今眼鏡外すようなもんやろ?」

「まあな。一気に落ちるからかなり危険だ。コンタクトは幼稚園入る頃だったから、母さん毎日気が気じゃなかったらしい」


「幼稚園でコンタクトとメガネの2重生活か〜。オレやったらコンタクト落としたりメガネ壊したりしそうや」

「俺も彼方もやったぞ? 1番多かったのが洗面台で失くす事だったな」


「付ける時見えてへんねんから、そら失くすわな」

「うん。1回見失うと絶対出てこねえ。あ、これが幼稚園の入園式だ。ここにいるのが琢磨だ」


「おー分かっててもちっさいなー。薄緑のお揃いの制服やったんや?」

「スモックっつー制服でな、毎日これだったから、母さん楽ちんってよく言ってたぞ」


「彼方はなんや機嫌悪そうやんけ」

「色が気に入らねえんだよ。かわいくねえ制服だっつって怒ってやんの」


「ぷ。普段着ぐるみパジャマのクセに?」

「そうなんだよな。意外とこだわり派なんだよ、あいつ」


 徐々に赤ちゃんから子どもらしくなってく俺を、ゆっくり弥勒に見せてく。

 当然だけど、この頃から琢磨といっしょの写真が、すげえたくさん増えたよな。


「あ、遥も琢磨も彼方に泣かされとる」

「これだよこれっ。山賊彼方にせっかく守ったおやつ強奪された時の写真だ」


「はは。彼方めっちゃ勝ち誇った顔しながらクッキー齧っとるし」

「酷えだろー? これ以来俺らは懲りて、勝っても分けてやる事にしたんだ」


「誕生日の写真、どれもろうそくが2人分なんやな」

「彼方が先に1回全部吹いて消した後に、俺がもう一回吹くから2回分挿してあるんだ」


「ついでに親父さんに足し算教えられたりけ?」

「そうそうっ! ほら見ろ、積み木には長さのメモリが付いてるだろ?」


「ほんまや。2人で何やら長さ測って遊んでるな」

「幼稚園の積み木についてねえのはビックリだったんだからな? なんでこんな不便なのかって」


「いや、積み木は長さ測って遊ぶもんちゃうやんけ」

「知らなかったんだよー」




「遥ー、彼方ー、ごはん出来たわよー。みんな降りてらっしゃ〜い」




 まだ小学校前なのに、メシが出来ちまったから弥勒と揃って台所へ降りると…母さん〜………


「得意料理は1品でいいっつっただろー?」

「いいじゃない。母さん食べたかったんだもの」


「何やらまたまたご馳走なりの〜。タキ、誤解するなすよ? これは通常ではなす」

「大丈夫だって彼方。お母さん、いつもほんとありがとうございますー」


「おー滝くん、弥勒くん、写真撮るからこっち向いて〜」

「むー。靴下臭すはさっさと靴下脱いで足洗ってくるよろし。いつもよりさらに臭す」

「父さん今日はマジで靴下臭えから、靴下替えて来なって」


「う〜…我が家の子どもたちはどうしてこうも………」

「あなた、自覚あるんなら、さっさと替えてきた方がいいわよ?」


 今日は何があったのか、やたらと靴下の臭え父さんを風呂場に追いやって、さっそく席に着く。

 ラタトュに魚のムニエルタルタル乗せ、じゃこととうふのサラダ、などなどなど。


 夏らしいさっぱりした料理ばっかだけど、多い! 品数が多いんだよっ!

 そんで隅っこの方には…


「母さんこれは出すんじゃねーっ!! 得意料理じゃなくて危険物じゃん!」

「だって〜、それちっとも減らないんだものっ。次の挑戦が出来ないじゃない〜っ」


「あー、コレが例のチャレンジメニューけ?」

「今回のは身体に悪そうな塩分濃度のザワークラウトだ。食わなくていいからな?」


「滝くん、一口食べてみない?」

「のんのんっ。母さまそれをタキに勧めるなすっ」

「いいじゃない彼方。じゃ、一口分だけいただきます」


「オレも一口分もろてええかな?」

「俺は止めたからな? 俺は知らねえぞ?」


 破壊的な味のザワークラウトを2人が口にした時、ちょうど何にも知らねえ父さんがさっぱりした足で戻ってきた。


「おや? みんな待っててくれたのかい? 嬉しいねえ。それじゃいっしょに食べようか」

「あなたの今日の分はこれだけね?」


 にっこりと微笑みながら、てんこ盛りの殺人ザワークラウトを父さんに差し出す母さんはマジで鬼だな。


「母さん、マジで父さんの身体がヤベえから、今回はもう諦めろって〜」

「何言ってるのよ。大勢で食べちゃえば、きっとあっという間になくなっちゃうわっ」


「むー。これでは、かなタソまで逃げる出来なす〜…」

「か、彼方、大丈夫だよ! おれ出来るだけ頑張るからっ」


「ハイ。遥と彼方の分っ」

「分かったよ! 食ってやるから、その代わり母さんも食えよ?」

「えぇ〜?」

「おかん、さすがにそれはないで。全員で一気に片付けてまおうや」


「弥勒、悪いが俺の分いいから、父さん手伝ってやってくれ」

「せやな。みんなが健康でおるにはそれしかないわ」

「弥勒くん、ほんとすまないねえ。千鶴子さんも次はもうちょっと手加減しておくれよ?」


「分かってるわよ。次こそちゃんと美味しいものになるからっ」

「母さま、懲りるよろしっ」

「ほんとマジで懲りてくれって〜」


 脳みそが味を感知するより前に、出来るだけ急いでザワークラウトを平らげて、ビールで口の中掃除してから改めて晩メシ食う。


 リクエストが母さんの得意料理なだけあって、どれも我が家で好評の料理ばっかだ。


 品数はいつもより全然多いけど、これぐれえなら高校生の胃袋に収まっておかしくねえしな。


「は〜、さっきはビックリしたけど、このラタトュ、ほんと美味しいですね」

「でしょ? その日の気分で使うハーブは変えてるの」

「う〜、酷い目に遭ったあとの天国味なり〜」


「おとん、おかんはいつもあんな感じなんけ? 危険や思たら逃げるのも必要やで?」

「いつもじゃないんだよ? いつもはこの通りすごく美味しいからね?」


「ほんと今回のは、俺父さんの健康がヤベえって思ったぞ。父さんが母さん甘やかすからじゃねえのか?」

「父さんだってほら、数学だと似たようなものじゃない。母さんだけダメなんて、母さん悲しいわっ」

「母さまのは被害がデカす。せめて作る量減らすよろし」


「やっぱりキャベツ3玉は多かったかしら?」

「3玉て………冬籠りでもせん限り無くならん量やん」

「弥勒大丈夫だ。今日のアレで最後だから、しばらくはあんなヤベえのは食わねえでいいはずだし」

「そっか……… 良かったね、彼方。おれもホッとしたよ」

「みんな〜 生還記念に写真撮るからこっち向いて〜」


 父さんの写真撮影も今回ばかりは怒る気になんねえ。

 なんせ、今回のMVPだしな

 みんなでワイワイ楽しく食って、時々母さんに文句言って、最後に俺らで母さん労って後片付けした。


「楽しかったわ。写真全部は見られへんかったのが残念やけど」

「そんなの、またメシ食いに来た時見せてやるから気にすんなって。それより覚悟しろよ? これからも時々は母さんが攻撃するからな?」


「ははは。時々なら付き合ったるて言うといてくれ」

「そんなのダメだ。言ったら母さん、絶対調子乗っちまう」


 玄関で弥勒を見送って、ふと思い立って部屋に帰ったらメッセ送った。

『楽しかったな、また俺んちでもメシ食おうぜっ。大好きだ』って。

 弥勒からもすぐに『オレもや。愛してる』って返事が返ってきて、ニヨニヨが止まんねえ気分になった。

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