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第10話 神器は奥が深い


 誘拐犯が他にもいることを警戒し、木々をぎ倒してしまった場所から離れる。

 だが、体力が限界に来てたこともあり、すぐ近くに見つけた洞穴に入る。

 俺は一度食事をすることにした。


「危なかったぜ! つ、疲れた〜」

「アンタのせいでしょ! 考え無しに神器使って。まだ他に誘拐犯がいるかもしれないのよ?」


 偉そうにしやがってと思ったが、フィリアの言う通り過ぎて反論出来ない。

 俺はフィリアを抱えて1日分ぐらいの距離は走った気がする。

 ウラヌスまでは後半分くらいかな。

 とりあえず、飯食って回復したい。

 結構走ったからな、腹減って死にそうだよ。

 神器のことを教えるのは、飯食いながらにしよう。

 俺はさっき見つけてきた木の実をポケットから取り出し、ちまちまと口に運ぶ。


「あ!? 自分だけズルい! 私も食べたい〜」


 木の実を食べる俺を見て、フィリアは駄々をこね始めた。

 走ったわけでも無いのに腹減るのか?

 てか、お前家で飯食ってただろ。

 俺はまだ食って無かったんだよ。

 分けるのは別に構わないが、多分王女様の口には合わないと思うが……少しは俺の辛さも味わってもらうか、試しに食わせてみよ。

 俺は持っていた木の実をフィリアに分け与える。

 フィリアは喜んでそれを口に入れるが


「うぇ、何よこれ、ゴミ? 不味過ぎるわよ!」


と言って口に入れた木の実を物凄い勢いで吐き出していた。

 まぁ、そうなるよな。

 俺が今食べてる『ニガリの実』は、栄養価はかなり高いが、苦すぎて野生の動物ですら食べないレベル。

 俺だって食いたいわけじゃないけど、回復するにはこれが良いんだよ。

 しょうがないだろ、何の準備もせずにここまで来たんだから。

 なんならフィリアが、出会った猪をちゃんと捕まえてくれてれば、肉が食えたんだぞ。


「王女に向かってなんてことを! 死刑! やっぱり、あなたは死刑よ!」


 怒るフィリアは、また神器を発動させる。

 俺が見た本で王女ってのは、偉いけど優しいって書いてたんだがな。

 現実の王女ってのは、こんな怒りっぽいヤツなんだな、ちょっと残念かも。


「余裕ぶって食べてんじゃないわよ!」


 フィリアは『雨の針千本(レインランス)!』と叫びながら、手のひらから水でできた針を飛ばしてくる。

 しかし、威力を知っているから全く怖さを感じない。

 天界力を少し高めて、手のひらに集中。

 フィリアの神器を俺は片手で受け止めながら、木の実を食べ続けた。


「な、なんで?」


 俺が軽々と受け切ると、フィリアはキョトンとした顔で地べたに座り込む。


「天界力をちゃんと込めてない神器なんて、まぁ、こんなもんなんだな。そりゃ猪も逃げるだけだよな」

「嘘、そんな、だって神器は最強だって先生が……」


 自分の神器が軽くあしらわれたことにショックを隠せない様子のフィリア。

 落ち込み具合を考えると、フィリアもここまで弱いって気づいてなかったんだろう。

 今までよくこの程度の力で誘拐犯を追い払えたな。

 ……いや、もしかして。


「なぁ、フィリアの先生って神器使いだったりするか?」

「え、ええそうよ。それがどうかしたの?」

「付与魔術系統なんじゃねーか?」

「なんでわかるのよ!? アデルに言って無いわよね? もしかして心が読めるの?」


 俺が先生とやらの神器の系統を言い当てると、フィリアはビックリして、立ち上がる。

 やっぱりか、おかしいと思ったんだよ。


「前言ってたろ。誘拐犯とかに襲われることが多いって。そんで、毎回撃退してたって」

「ええ、そうよ。もしかして信じてないの?」


 俺が撃退した話を疑ってると思ってか、フィリアは俺をふくれ顔でにらんでくる。

 でも撃退した話を疑ってるんじゃないんだよな。


「撃退したの、多分だけど、先生の力だぞ」

「はぁ? 何言ってんのよ!」


 俺はフィリアの先生の神器を念頭に置いて、今まで誘拐犯を撃退できた理由を解説する。

 フィリアの先生は付与魔術系統の神器が使えるという。

 付与魔術は自分、もしくは他人に力を分け与え、能力を向上させる神器である。

 おそらく先生はフィリアに付与魔術を使って、雨魔法を強化していたのだろう。

 強化された雨魔法を使えば、先生の天界力も乗って、かなりの威力になっていたんだと思う。


「先生と別れてから今まで、フィリアは何回神器使った?」

「えっと……全部で11回かしら。逃げる時に1回、アデルに3回、猪に1回。あとは水浴びした時ね。泥だらけで汚かったから」

 

 神器を何だと思ってんだよ。

 水浴びで6回も使ってんのか。

 でもそうか、11回……いや10回までか?


「先生ってのは、相当(すご)いかもしれないな」

「そりゃ先生だもの。凄くないと私に教えるなんて出来ないわよ!……でも何でそう思うの?」


 ここまで話して気づかないフィリアには頭が下がる。

 自分の神器の威力がだんだん落ちてきてたのに気づいてないのかよ。

 先生の付与魔術はフィリアの雨魔法にかけてあるんだ。

 雨魔法を使えば付与も弱まっていくだろ。

 俺がくらったのは、力を付与されてから数えると8、9、11回目の雨魔法。

 8、9回目の雨魔法は神器にしては弱いと思ったが、それでも体が浮くほどの威力だったんだ。

 そして11回目は片手で受け止められるレベルだった。

 おそらく、9もしくは10回分ぐらいは雨魔法に力を付与していたことになる。

 俺が知ってる知識だと、付与魔術1回で力を付与できるのはせいぜい魔法なら2、3発分ぐらいのはず。


「そんな凄いヤツに習って……これか」

「ちょっと、それ、どういう意味よ!」


 俺はフィリアに神器を教えるつもりが、本を読むだけではわからない、上の世界があるというのを教わってしまった。

はじめましてゴシといいます。

読んでいただきありがとうございます!

この話を読んで面白そうって少しでも思ってくださる方がいてくれると嬉しいです。

まだまだ話は続いて行きます。これからも更新して行きますのでブックマークの方もよろしくお願いします!


下の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!

応援されてると思うとやる気めちゃ出てスラスラ書いちゃいます。

これからも愛読と応援のほどよろしくお願いします。

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