表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖戦士シャーロイル~名探偵になりたかったのに、何故かヒーローになってしまった~  作者: XX
第8章:絆の力で

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/135

第90話 私のヒーロー

★★★藍沢市子視点です★★★


 小学生の頃の私の将来の夢は「漫画家」だった。


 私は漫画の絵が上手かったんだ。

 家でテレビを見て、人気漫画のキャラクターをノートに描いてるのが好きだった。


 線を引くたびにワクワクして、色鉛筆で塗るたびに自分がすごい漫画家になった気分だった。

 でも、それがある日クラスメイトにバレてしまったんだ。


 休み時間に私が描いた「マコスネーカー」の絵を友達が見つけて


「すげえ! 市子、うまいじゃん!」


 って騒ぎ出した。


 私は褒められて気分が良かったから


「……マコスネーカーの絵をもう1枚描いてあげようか?」


 そう、言ってしまって。

 それが間違いで……


 それから、毎日毎日、頼まれごとが始まった。


「市子、アユザー描いてよ!」


「吸血鬼ハンター舞のあのシーン描いてくれ!」


「マスクドライダーコックローチの変身ポーズ描いてくれよ!」


 ……人気漫画のヒーローやヒロインの絵をねだられるようになったんだ。


 最初は嬉しかったよ。私の絵が認められたんだって、心が弾んだ。


 放課後に友達の机にそっと置いて「どう?」って聞くと、笑顔で「最高!」って言ってくれるのが誇らしかった。


 でも、だんだん様子が変わってきた。

 頼む人が増えて、1日に何枚も描くようになった。

 休み時間も昼休みも、放課後も、ずっと鉛筆を握ってた。


 自由に遊ぶ時間がなくなって、家に帰っても宿題と絵で手一杯。

 寝る時間まで削られて、疲れが溜まっていった。

 それでも我慢してたんだけど、あるときリテイクまで出されるようになった。


「マコスネーカーの目はもっと鋭くして」


「舞の髪、もっと長く描き直して」


「コックローチの足、もっとカッコよくしてよ」


 って。描いても描いても「違う」って言われて、終わらない。

 ノートが破れるくらい消しゴムをかけて、指が痛くなって、頭の中がぐちゃぐちゃになった。


 追い詰められてた。

 私は気が弱くて「嫌だ」って言うのが苦手だった。


 なんとかリテイクだけは勘弁してほしいって思って、勇気を振り絞ろうとした。


 でも、そのときだ。


 クラスのリーダー格の男の子に「加須山さんには描き直してあげたのに? 俺にはしてくれないの?」って言われた。

 加須山さんはクラスの人気者で、私も彼女には何度も描き直してあげてた。

 それを盾にされたら、何も言えなくなった。


 私の気持ちなんて誰も見てくれなくて、ただ「描け、描け」って言われるだけ。

 私は泣きそうだった。


 病みそうだった。

 毎晩、布団の中で「もう描きたくない」って呟いてたけど、朝になるとまた同じ繰り返し。


 だけど


 そのとき、御幸君が助けてくれた。


 ある日、教室で私がリテイクの注文にうなだれてると、御幸君が突然立ち上がったんだ。

 ちょっと不器用で、いつも静かな彼が、珍しく大きな声を出した。


「描いてもらっておいて、やり直せって何様なんだお前ら? お金でも払ったのか?」


 みんなが一瞬黙った。御幸君は続ける。


「本来は人にものを頼むときはお金を払うんだよ。タダでやってもらえるなんてうまい話はないんだよ。市子が優しいからって、調子に乗るなよ」


 その言葉に、クラスの空気が変わった。

 みんなハッとした顔をして


「ごめん、市子」


「確かにそうだな」


 って謝ってくれた。

 リテイクを言う子もいなくなって、私はやっと解放された。


 私のピンチを、御幸君が救ってくれたんだ。


 あのときの感謝は、ずっと忘れない。


 だから今回も、御幸君は必ず来てくれる。

 私はそう信じてる。


 だって、御幸君は私のヒーローだから。


 牢屋の中で、私は膝を抱えたまま鞄から手帳を取り出した。

 ペンを握って、ページを開く。そこに文字を書いた。


「私の食事を配膳している人間の顔を念写して」


「マーシアハ教会のあの巫女はナラッカの疑いが濃い」


「私は大丈夫」


 そこまで書き終わった後、私は横に別の字を書き足した。


「食事はまずいけど我慢してる」


「教会の話はよく分からない」


「私は元気」


 ──全く別の文章になるように偽装した。

 もしナラッカに見られても、これなら意味が分からないはず。


 でも、御幸君なら念写で最初のシーンを見れるから。


 絶対に分かる。


 私は手帳を閉じて、胸に抱いた。

 

「早く来てね、御幸君。私は信じて待ってるよ」


 冷たい牢屋の中で、私は目を閉じて、そう呟いた。

マコスネーカーは、頭部がキツネのベノスネーカーを想像していただけると。

(本作がKanon二次だったときに、そういうものを出したのです)


読んでいただき感謝です。

ここまでの物語が面白いと思って下さった方、是非評価、ブクマ、感想等をお願い致します。

(反響を実感できるのは書き手の喜びです)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
感想をいただけましたら必ず返信致します。
些細な感想でも頂けましたら嬉しいです。
ブクマ、評価、いいね等、いただけましたら感謝致します。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ