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聖戦士シャーロイル~名探偵になりたかったのに、何故かヒーローになってしまった~  作者: XX
第8章:絆の力で

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第89話 御幸君

★★★藍沢市子視点です★★★


 私は何処か分からないような場所の牢屋に閉じ込められていた。

 ただ、持ち物はほとんど何も取り上げられていない。

 ここで目覚めたとき鞄の中を確認したら、スマホ以外全部あった。


 ……魔鈴もだ。


 どうしてだろう……?

 私はキズナネット本社ビルで、ナラッカに襲われて意識を失ったはずなのに。


 そして私は囚人のはずなのに、何も奪われていなかった。

 さっきも言ったけど。

 手帳も筆記用具も、服も財布も、何もかも。


 冷たい石の床と錆びた鉄格子が私の周りを囲んでる。

 電灯はあって、トイレもある。

 食事は一応出て来る。

 朝と昼だけ。


 多分夜は無い。

 時計が無いので、お腹の減り具合からの想像だけど。


 あれからどれくらい経ったのか……?

 一応、手帳に記録してるけど、自信は無いかな。


 そのときだ。


 足音が近づいてきた。

 軽くて、どこか慎重な歩み。

 最初、食事時間なのかと思ったけど。


 この牢屋の鉄格子の前にやって来たのは……


 紫色に染めた長い髪に、白い可憐な華の髪飾りをつけた、清楚な顔つきの女性。

 袖にたっぷり布を使った、魔法使いのローブみたいな赤いワンピース。


 来たのは天京巫女。

 新興宗教マーシアハ教会の巫女。


 食事の配膳係じゃ無い。


 何でそんな人がここに来るのか……?

 そう思いつつ私は


「何の御用ですか?」


 そう訊ねる。

 すると


「藍沢市子さん。神託があったので助けに参りました」


 天京巫女が私の名前を呼んだ。

 緊張感のある真剣な声で。


 彼女は少し警戒しながら


「さあ、逃げましょう。表に脱出のための車を用意してます」


 そう言って、ポケットから鍵を取り出した。

 だけど私は


「お構いなく」


 そう、言ったんだ。

 すると彼女は焦った様子で


「何故です!? こんなところにいたら命はありませんよ!?」


 とても真剣な顔で言うけど、私にはそれは正直疑問だった。

 もしそうならとっくにやられてるハズ。


 私を生かしておくのは、そうする価値があるからでしょ?


 ……だから。

 私はこの人を信用してない。怪し過ぎる。

 ついて行ったら、どこに連れて行かれるか分からないと思ってる。


 なので


「無理しないでください」


 と私は言った。


「私には助けてもらうためのアテがありますから。おかえりを」


 冷たく、突き放すような口調で。


 でも、天京巫女は諦めなかった。

 鉄格子に手を置いて、さらに近づいてくる。


「お願いです、市子さん。私にはあなたを救う使命があるんです。神がそう仰ったんですから。ここにいるのは危険すぎます。悪魔の手の中にいるんですよ?」


 ……悪魔、ね。

 その悪魔かもしれない人の言うことを、聞くわけにはいかないでしょ。


 だから


「だったら、メギドという存在を認めてみて下さいよ」


 そう、提案したんだ。

 すると彼女の目が一瞬揺れた。


 動揺してる……!


 怪しい。

 さらに私は踏み込み


「メギド様はナラッカの真の帝王、って言ってみて下さい」


 私の言葉に天京巫女は


「……ナラッカって何ですか? そんなわけのわからないことを……」


 とぼけてる。

 本当に分からないという顔をして。


 ……演技、上手いなぁ。

 なので私は


「わけがわからないなら、簡単に言えるのでは? ブンビラボンバッパ」


 そう、追い込んだ。

 意味不明なら何だって言えるよね?


 それが知らない言葉でとてつもなく下品なことでも。

 そして……


 ……とてつもなく屈辱的なことでも。


 彼女は唇を噛んで、しばらく黙ってた。

 でも、私の視線に耐えきれなかったのか、渋々口を開いた。


「……メギドはナラッカの帝王」


 その声は小さくて、どこか無理やり絞り出したみたいだった。

 そして、その表情に屈辱と嫌悪が混じっていた……ように思った。


 それに「様」と「真の」が抜けてる。

 つまり……


「本当に嫌そうですね。その態度はナラッカの態度でしょ」


 本当は確信があったわけじゃないけどね。

 ただ、そう思っただけ。


 でも天京巫女は私の言葉にカッとなったみたいだった。


「もういいです!」


 彼女は激昂して、そう叫んだ。


「また来ます! それまでそこで頭を冷やしなさい!」


 そう言い捨てて、天京巫女は踵を返して去っていった。

 足音が遠ざかるのを聞きながら、私は小さく息を吐いた。


 鉄格子の向こうが静かになると、私は床に膝を抱えて座り込んだ。

 椅子はあるけど、そんな気分じゃない。


 私が待ってるのは御幸君。

 御幸君は絶対に来てくれる。


 あのときもそうだった。

 あのときも私は……


 御幸君に助けて貰ったんだ……。

長期間監禁されていたら、普通に考えて怪しい状況でも、助け人を助け主として感謝し、場合によっては心酔してもおかしくないのよ。


読んでいただき感謝です。

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(反響を実感できるのは書き手の喜びです)

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