第79話 大企業のビルなのに
魔針盤が反応したということは、近くでナラッカが正体を現したということ。
ナラッカが正体を現したということは、誰かが襲われているということ。
だったら……
俺は迷わずカメラを取り出した。
「玲瓏ーッ!」
一応聖戦士やってるわけだから。
念のために持ってきておいて良かったよ。
愛用のデジカメ。
俺の声に反応し、即座に愛用のデジカメを依り代として聖戦士の鎧が召喚され
俺の身体に瞬着されていく。
聖戦士の姿に変身。
それを終えると。
俺はドアの外に飛び出した。
鎧は着てても持ち物は自在に取り出せるので、魔針盤を取り出し。
魔針盤が指し示す方向に俺は全力で走った。
しかしまさか。
こんなところでナラッカに遭遇するなんて。
考えて無かった。
一体誰がナラッカなんだ?
こんな大企業で……
社会不適合者でないと、成り代わりは難しいはずなのに。
成り代わってから努力を重ねたのか……?
タケルさんは言ってたもんな。
評価は上げることが出来るって。
分からない。
けど、今はそれはそれほど重要じゃ無いよな。
ただ速やかにナラッカを倒す。
それが一番大事なんだ。
そこに
『……ミユキ、何だか嫌な予感がする。決して油断するな』
タケルさんの警告。
俺は頷く。
けど
内心、相手がノーブルクラスでないなら問題は無い。
そしてノーブルクラスには、ホンの数日前に遭遇したばかり。
また遭遇するには早すぎる。
そんな連続で遭遇なんて無いはずだ。
……そんなことを頭の片隅でコッソリ考えながら。
冷静に考えると、根拠ゼロの考えだけど。
「ナラッカ覚悟しろ!」
そして俺は、魔針盤の指し示す部屋に飛び込んだ。
鍵は掛かっていなかった。
まぁ、仮に掛かっていたらドアを壊すつもりではいたけれど。
人命が掛かってるんだ。しょうがない。
そして部屋に飛び込むと……
そこには広めの何も置かれていない部屋と。
1体の異形のナラッカ……
頭部が三日月のようで、胴体が大きなボール。
そして手足の代わりに蛸の触手が生えている。
それで全体的な色は黄色。
そんな姿の。
『あれはザントルマ。強烈な睡魔を呼び起こし、対象を眠らせる歌を唄う。だが、鎧を着装してる間は効かないので無視して構わない。速やかに倒せ。ナラッカでは比較的容易い相手だ』
タケルさんの助言が入る。
けれど……
俺はそれどころじゃなかった。
市子が……
眠っていた。
ナラッカの近くで。
鈴木社長に倒れるところを支えられるように抱き止められながら。
「市子ッ!」
俺は危機感を覚え、同時に激しい怒りを覚えた。
まっすぐにナラッカ・ザントルマに突っ込んでいく。
……市子をナラッカの餌食にさせられてたまるかッ!
あと、鈴木社長も守らないと!
ザントルマのモデルは夜魔ザントマンですわ。
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