第74話 天魔王とはナラッカの神の如き支配者
「シャーロイルだなお前は」
イザベリアを殺した後。
ゼイモンは俺に目を向ける。
聖戦士は他にもいるらしいからな。
だから一応訊ねたのかね。
俺は
「ああ……そうだよ。また会ったな」
頷き、一応警戒を向ける。
こいつがナラッカなのは違いは無いし。
ゼイモンは
「……助太刀するよ。価値ある人間は守るのが僕の基本方針だからね」
油断はしないが、これは嘘では無いだろ。
それは分かる。
だから俺は
「……礼は言わないぞ。ゼイモン」
そして残ったもう1体……法王バイルに向き直る。
バイルは
「ゼイモン! 何を考えているんですか!? 同胞を殺すなんて!」
動揺し。
……怒りに震えていた。
そんなバイルに
「アスタルはこれで納得したぞ。……僕のテリトリーに居る価値ある人間には一切手を出すな。出したら殺すと言ったらね」
「でも! 同じナラッカ! 天魔王陛下に仕え、ご恩を受けた同胞……!」
バイルは早口でゼイモンを非難する。
それには初めて聞く内容が混じってて。
それはこんな話だった。
……天魔王という存在は。
どうも「他のナラッカの空腹を引き受ける」という特殊能力を持つらしい。
それで、空腹に耐えかねた臣下のナラッカたちに恩を与え。
その結果、強固な主従関係を構築してるようだ。
それがバイルのゼイモンを詰る言葉で理解できた。
……なるほどな。
天魔王を悪く言うナラッカが1体も居ないのが理解できた。
……単に強いからだけじゃないのか。
おそらく、ナラッカにとっては天魔王は文字通り神のような存在なんだな。
「あなたはメギド同様の唾棄すべき裏切り者……」
「ハ? いい加減にしろよバイル? 僕があのクズと一緒だって?」
……そして。
メギドはナラッカでは憎悪の対象なんだな。
当たり前だけど
「……いい加減にしろよ? 僕の陛下への忠誠心に曇りなど一切ない。ふざけたことを言ったらただじゃおかないぞ?」
ゼイモンの言葉には有無を言わさぬものがあり
「価値ある人間を守ることは必ず陛下のためになる」
自分は間違っていない。
そういう意味の宣言をし
彼は
「……以上だ。去れ。……ノーブルクラスで一番弱いお前が、僕に意見するな」
そう、言い放ったんだ。
言われたバイルは悔しそうに唸る。
そして
「……この屈辱……忘れませんよ。アナタ、必ず陛下に処罰されますからね!」
法王バイルは。
やや幼稚な捨て台詞を残して
ずんぐりした体型とは不釣り合いな、メチャクチャ素早い動きで
跳躍を繰り返して去って行く……
……助かった。
胸を撫で下ろす俺。
「シャーロイル、また会おう。……次は戦えると良いな!」
法王バイルが去った後。
ゼイモンはそう俺にやけに明るい言葉を掛け
こいつはこいつで、姿を消した。
……加速でどっかに走って行ったか。
あっという間に消えたよ。
魔針盤が伝える、ナラッカの反応……。
次回、外道注意。
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