第68話 三波さんの話
偶然出会った三波さん。
以前、依頼を引き受けた縁もあるので。
「かんぱーい!」
飲み会人数が3人になった。
三波さんは白ワインを注文し、枝豆を摘まみながら飲っている。
「そうですか。新興宗教」
白ワインを飲んだ後。
俺たちの飲み会理由を聞いて一言。
「何かまたしつこくしてくるようなら、ウチに来てください」
三波さんは語る。
「先生はそういうの許しませんから」
三波さんは前職はメーカーの総務部でOLをしていたらしい。
で……
そこに異常な先輩が居たそうだ。
三波さんを目の敵にして、ろくに教育もせずに難しい仕事を回してきて。
教育されて無いから失敗すると罵倒する。
……最初は自分が「目で盗む」ことをやれてないからだろうと思い、メモを取って頑張っても。
それで学べるのは限度がある。
……当然だ。
目で盗むが万事において絶対なら、学校は要らんのだ。
だんだん精神を病んできて、幻聴まで聞こえるようになったとき。
三波さんは会社を辞めることを決意したらしいんだけど。
辞めた後、他の仕事を探していたら、その先輩が邪魔をしてきたらしい。
3社ほど再就職を面接で失敗したとき。
それに気づいた。
「前の会社で精神病で散々暴れたそうですね」
……面接官にやんわりとそう言われたらしい。
すぐ、犯人はあの先輩だと気づいた。
あの人、辞めても私の邪魔をしてくるなんて……
これ、絶対に違法でしょ。
名誉棄損だ……。
そう思ったけど……
敢えてそんなことをするって、相手には何かあるのかもしれない。
すごい弁護士を抱えているとか。
どうしよう……?
自分はこの県を出ていかないと再就職できないんだろうか?
でももし、県を出て行っても再就職できなかったら……?
貯金が尽きて、夜の商売に身を落とす自分が脳裏に浮かび。
絶望した。
そのときだ。
偶然、黒岡さんの存在を知り、話を聞いてもらい。
依頼させて貰った。
そしたら……
前の会社から、多額の損害賠償を受け取ることができ、そして問題の先輩社員からは精神的苦痛による退職と名誉棄損で相当額の慰謝料を取ることが出来た。
……裁判の過程で知ったのだけど、その先輩は問題の会社の専務の娘で。
その権力で好き放題してたそうだ。
そして専務は社長の息子で。
……ようは、一族経営の会社だったんだな。
一族経営が必ずしも悪いわけじゃないけど。
実力でのし上がった人が上に行く構造になってない組織は、しばしばこういうことがあるんだろう。
まぁ、とりあえず。
ざまぁ。
この一言だ。
どうも問題の先輩は三波さんに誠心誠意謝っていないみたいだし。
どん底まで落ちていたらいいのにね。
そう思いつつ、ウイスキーを一口。
美味い!
「あのときはぁ、わたしは神様がいるんだっておもいましたねぇ」
……何か語りながら三波さん、かなり酔っぱらってる。
白ワイン、結構なペースで飲んでたしな。
しかしなぁ。
やっぱ黒岡さん、かっこいいな。
正義の弁護士って感じだ。
俺もその生きざまは見習いたいと思う。
そいつ、ニンゲンじゃ無いんだけどねぇ。(しらんがな)
読んでいただき感謝です。
ここまでの物語が面白いと思って下さった方、是非評価、ブクマ、感想等をお願い致します。
(反響を実感できるのは書き手の喜びです)




