第64話 負けられない戦い
「やあやあ藍沢さん。さすがに私どもとしても3回目の引っ越し物件にしてこれ以上ここを売りにくいマンションにしたくないのですよ」
白髪交じりのスーツ男性が愛想笑いを浮かべてしきりにこっちに頭を下げてくる。
どうもこのマンションを市子の両親に紹介した不動産屋らしい。
普通は不動産屋はマンションを売ったらそこから先は知らん、っていうものだけど。
事故物件はその限りじゃ無いんかね。
その隣に……
女性がいた。
かなり綺麗な成人女性だ。
顔つきは清楚なイメージ。
白い可憐な華の髪飾りをつけてて、髪は紫色のロング。
つまり髪を染めてる……。
だけど、アウトローな雰囲気は無い。
むしろ神秘的な雰囲気があった。
そして服装は変わってて。
赤いワンピースなんだけど……
袖の部分の布地が多く、魔法使いのローブのように見えた。
胸元はパーカーっぽい。
フードもあるしな。
そしてスカート部分の丈は、走るのに邪魔にならない程度の長さで。
……誰だ?
ミステリアスな感じの女性だけど……?
彼女の身分を予想できなくて、戸惑う俺たちに。
女性はニコリと微笑んで。
丁寧に頭を下げて
名乗った。
「……皆様どうもはじめまして。ワタクシ、マーシアハ教会で巫女をしております天京光莉と申します」
えっ?
マーシアハ教会だって……?
「この光莉さんはすごいんですよ! なんと、マーシアハ教会の御教祖様の実娘なのです!」
興奮気味に不動産屋。
いや、確かに。
新興宗教とはいえ、一般に名前が売れている宗教団体の教祖の娘がやってきたとなれば、そりゃあすごいでしょ。
だけど……
申し訳ないが、俺はマーシアハ教会にはあまり良いイメージが無いので。
ネームバリューは俺には無い。
むしろ……
(ヒトの不幸に付け込んで、布教するつもりか)
こういう思いが強くてさ。
だから俺は
「ああ、悪いですけど」
意識してハッキリとした言葉で
「この家の霊現象は、俺が解決しますんで。マーシアハ教会の巫女さんの出る幕ではないので」
……言い切った。
俺の脳裏に、魔道具の店で魔道具の店の店主が読んでいた新聞の一面が蘇る。
出家信者裁判……。
……冗談じゃねえよ。
前言撤回。
個人のカネの自由は関係ない。
俺のテリトリーで、出家信者関係の人間関係トラブルなんて。
見過ごせないって言うか……
存在自体認めない……
俺の周囲の人を不幸にするな。
……去れや。
俺の中で、たった今から
この新興宗教の巫女さんを、霊関係で圧倒して帰って貰う流れに持っていくことが決定づけられたんだ。
やってやるよ……!
次回、除霊で対決。
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