第63話 実際のハナシ
そして日曜日。
俺は市子の両親のマンションにやって来た。
「休みの日にホントゴメンね」
俺の隣で市子は、マンションのエントランス前のキーで部屋番号をプッシュ。
……結構いいマンション。
これで500万円は安いな。
俺のマンションも中古マンションだけどさ。
買値が1000万円で。
……規模がこのくらいだったな。
このマンションが500万円で買えるなら、確かにちょっと考えるかも。
幽霊を信じていない人なら特に。
……しかしさ。
幽霊って、いるならいるで、何で一般的に確認されて無いんだろうね?
そのせいで、一切合切、インチキだって言う人もいるわけで。
(なぁ、タケルさん)
『何だ?』
疑問に思ったから、俺は脳内で質問する。
(聖戦士界隈では、幽霊は一般的なの?)
『そうだな。かなり重要なものではあるよ』
タケルさん曰く……
幽霊というものは、生命体が死を迎える際に、プシュケーが消滅に抗って燻り、飛び散った残滓みたいなものらしく。
プシュケーは穏やかに消滅しないと、そういう現象が起こるらしい。
燻り方が激しいと、飛び散り方も酷くなり。
より強く「そこに呪いが残る」そうだ。
『だから……』
ナラッカの犠牲者は、その燻りが無いらしい。
路上で死を迎えるような、穏やかではない死であっても。
なので、明らかに変な死に方をしているのに、プシュケーが燻った形跡が無いと、そこにナラッカが現れたと考えるそうだ。
……なるほどね。
衝撃の真実ってやつだな。
ちょっと俺が訊きたかったことと違うけどさ。
そんなことを考えていると
ガチャン。
エントランス前の自動ドアのロックが外れ。
「行こう。案内するよ」
市子の案内で。
俺は市子の両親のマンションの部屋に向かったんだ。
「ええと、御幸君じゃないか。市子、御幸君が霊能者なのか?」
困惑する市子の父親。
市子の親だけあって、容姿はわりと整ってる男性で。
イメージとしてはダーティーハリーのおっさんのような、人としての強さを感じる容姿。
「ええ。実は最近、色々見えるようになったんだよね」
急に見えるようになることがあるみたいで。
実力は保証するから。
そんなことを口にする。
身振り手振りを交えて、俺のことを「霊能力探偵」なんて言いながら。
……俺に妖怪と戦えとでもいうつもりか。
まぁ、似たようなのと戦ってるけどさぁ。
俺は黙って市子に説明を任せてて。
市子の親父さんが俺に詳しい話を始めるまで、一言も発さなかった。
……親父さんによると。
夜中に子供が走り回る音が聞こえて来たり。
深夜に目が覚めて、ふと見ると枕元に子供の首が転がって居たり。
家具の影に、子供の手足が見えたり。
そういう現象が毎晩のように起きて、すっかり参ってるらしい。
……んんー
変じゃね?
親父さんの話を一通り聞いて、俺はそう思い
「えっと、おじさん」
俺は
何で自殺したのが男なのに、出てくる幽霊が子供の霊なんですかね?
そう訊こうとした。
だけどそのとき
ピンポーン
……この部屋のインターホンが鳴ったんだよね。
誰か、来たんだ。
誰が来た?
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