第61話 ある朝の出来事
ある朝。
俺が事務所に出て来てパソコンを起動し。
事務所の機能を立ち上げていると。
……いつもなら市子が事務所に出てきている時間になっても、何も連絡が無いことに気づいた。
(……風邪でも引いたのか?)
でも、それにしたって市子はキッチリした奴だから。
仮に遅れそうになったとしても、まず絶対連絡は入れて来るはずなんだけどな。
変だな。
そうは思ったが、俺には俺の仕事があるので。
気にせず、パソコンで書類仕事に精を出す。
そして気が付いたら
事務所の始業時間の9時を大きく過ぎてた。
ちょっと待てや。
……完全に遅刻。
これは何かあったのかもしれない。
電話をしてみても、応答なし。
……市子は公共交通機関での切り替え忘れを防ぐために、電話をマナーモードにするのが常態化してるから、気づいて無いだけの可能性もあるけどさ……
俺は席を立った。
電話連絡が取れない以上、アイツの住んでるマンションに向かわないと。
そこでも連絡が取れないなら、警察に連絡だ。
いくらなんでも異常過ぎる……
病気で動けなくなってるのかもしれないし。ひょっとしたら犯罪に巻き込まれているのかもしれない。
だってアイツ、俺の知る限り1回も遅刻したこと無かったんだぜ?
変だろ。
何もないならそれでもいい。
でも何かあったら、今動かないと絶対後で後悔することになる。
そして自分の鞄を手に、出て行こうとしたら
「……ゴメン。遅刻した」
市子が表玄関から息を切らせて飛び込んで来た。
「……どうしたんだ? 連絡もないなんて」
「気が動転してて忘れてた……。ホントゴメン」
どうも。
起きたら9時の5分前で。
慌てて準備して飛び出して来たらしい。
珍しいな。
ホントに。
学生時代から、1度も遅刻しなかったお前が。
「理由は?」
「……ちょっと悩み事が……」
……悩み事ねぇ
プライベートかもしれないし。
聞きづらいよな。
だから
「これからは遅れそうになったらまず連絡入れてくれよな」
それだけ言って、鞄の中身から仕事にいるものをまた机に戻していく。
そしたら
「えっと、何で私を念写しなかったの?」
そんなことを市子が言うので
「いや、それは駄目だろ」
念写はかなりハッキリ対象が分かってしまう能力。
気軽に使っていい能力じゃない。
プライバシーの配慮なんて無いんだから。
そこら辺を説明すると
「あー、うん」
市子はちょっと視線を逸らし
「……御幸君はそういうところは割とずっと真面目よね。でも……」
何か言った。
俺がパソコンに向けていた視線を彼女に向けて
「……どうかしたのか?」
訊ねると
彼女は少し戸惑って
迷い……
「あのさ」
話を切り出して来た。
こんな話を
「……ウチの両親の家を霊視してくれない?」
この章、心霊関係?
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