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聖戦士シャーロイル~名探偵になりたかったのに、何故かヒーローになってしまった~  作者: XX
第4章:賢者アスタル

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第50話 人知れず潜む闇

 後日に念のため、三波さんが取材を受けたのがあの記者なのかどうかを念写した。

 話だけで「もうほぼ確定だな」と思っていたので、してなかったんだけどさ


 そしたらやっぱり、梶山……つまりバルベトだった。


 じゃあ多分あいつがそうだった……んだよな?


 俺にはナラッカの獲物の判別がつかないからな……


 なので


「あの女性を狙っていたと思しきナラッカを討伐したんですが……」


 と、魔道具の店の店主に報告。

 すると店主は


「分かった。こっちで後は確認するから」


 と、答えてくれて。


 数日経ち……


 いつも通り、事務所で仕事をしていたら。

 脳内で声が聞こえた。


『瀬名君。女性の安全は確認した。報酬を払いたいから、暇なときに受け取りに来てくれ』


 ……おお。

 パソコンで報告書を書きつつホッとする。


 やっぱアイツが狙ってたんだな。


 良かった良かった。




★ここから先は、賢者アスタル視点です★




『アスタル……僕のテリトリーに踏み込んで来るのは止めてくれないか? お前の子飼いだろあのバルベト……?』


 電話の向こうの同胞・ゼイモンは穏やかだが、同じことをしたら2度目は無いぞという口調で言ってくる。


 我は


「ああ、ヌシの巣に手を出したのは謝る。……人間ごとき、別にいなくなっても、気にせずまた別のを入れるだろうと軽く考えていた……。同じことは2度とはせぬから、どうか矛を納めて欲しい」


 ゼイモンは我と同格。

 たった4人しか陛下から賜れない上位のナラッカの証である称号をいただいた、ノーブルクラスの1人だ。

 仲間だ。

 仲間内で争いなど、陛下に申し訳ない。


『……分かってくれたなら良い。僕だってノーブルクラスの1人。同じノーブルと争うのは本意じゃ無いからな』


「ならば、ヌシも我々の計画に協力をして欲しいものだが」


 ……ゼイモンは、人間との共存を訴えていて、現行我々が進めている計画に協力しない。

 そこに我は大きな不満がある。


 だがゼイモンは


『何度も言ってる通り、人間は家畜で甘んじている生き物では無いよ。必ずそれは崩壊する。そんなことより、我々は彼らの社会の隙間を潜り抜けて、共生関係を結ぶべきなんだ』


 ……頑なだ。

 こいつはこいつで、それが陛下のためになると信じているのだ。


 これ以上会話しても、争いにしかならぬな。


 ……我はそう判断し。


「その件はまた後日話し合おう」


 そう言い、会話を打ち切った。

 ……そろそろ、次の仕事場にこの車が到着するのもあるからな。

 切り替えないと。


 運転手は我の子飼いのナラッカ。

 今のこの会話は、この場で訊かれて困る者は居ない。


「……ゼイモン様ですか?」


 初老の男の姿の、我の専属運転手は、車の運転をしながら我に訊く。

 我は


「ああ……少し仕事でアヤツを怒らせてしまったので、文句の電話だ」


 ゆったりと車のシートに身を預けつつ、そう返す。

 運転手はそれを聞き


「大変でございますね……賢者アスタル様……」


 我にいたわりの言葉を掛ける。

 我は


「そろそろ目的地が近い……切り替えてくれ」


「失礼しました」


 ……我の真の名を、外で喋られると困るからな。


「垂井先生、もうすぐ講演会会場に到着です」


「ええ……ご苦労様です」


 ……我の方も口調を変える。

 本性を出すわけにはいかぬから。


 我は賢者アスタル。

 天魔王陛下に称号を賜りし、4人の選ばれしナラッカのうちの1人。

 そして……


 仮の名は……垂井明日花。

 職業は……政権与党の政治家よ。

成り代わられる可能性が低いというのは、絶対に存在しないということでは無いんだな。


読んでいただき感謝です。

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