第46話 ナラッカなのは……
あのとき。
魔鈴を鳴らしたあのとき。
あの男はおそらく魔鈴の効果範囲に居た。
遭遇したタイミングから考えて。
だから、一応容疑者だ。
そこから考えて……
あいつ、言ったよな?
田堰氏の今の感じが知りたいと
……知ってんじゃん!
飲み屋で田堰氏と話をしたんだろ!?
俺たちに確認するまでも無いだろ!
なのに、わざわざ露悪的な語りをしにくる意味は!?
変じゃないか?
俺は念写を駆使し、基礎的な情報を集めて。
持ち前の探偵の技能で調査をした。
すると……
あの記者・梶山は……
元々、大手の超絶日光新聞……略して超日新聞の記者だったんだが。
成績が振るわず、出世に伸び悩み。
焦ったのか最終的に、取材対象に謝礼を払って強引な取材を行い。
それが問題になり、色々あってクビ。
取材は無償で応じて貰わないと、金欲しさに嘘を話される恐れがある。
そんなことも分からないのか!?
上役に皆の前でそう怒鳴られたらしい。
で、怒り狂って上役に殴り掛かり。
それで合わせ技1本、懲戒解雇だ。
そういうことが分かった。
……相当社会性の無い奴だったんだな。
まぁ、これで色々確信が持てたよ。
だったら、やることは……
夜の11時頃。
人気のない公園で。
あの男が居た。
……梶山が1人になる確率が高い時間と場所は?
このテーマで念写をし、映し出されたのがここだった。
俺は1人でやってきて
「……梶山さん?」
向こうが気づいて振り返る前に。
リーン。
鳴らす。
その澄んだ音が響き渡ったとき。
……梶山が一瞬顔を顰め。
その直後、魔鈴がボロボロになって崩壊していく……
俺は言う。
「……あなたはナラッカですね?」
すると、ポカンとした顔で
「……は? 何のこと?」
そんなことを言ってくるが
「とぼけても無駄ですよ。実はこのあたり、人払いをしてるんですよね……」
そこで俺は結構真顔で嘘を吐いた。
この梶山がナラッカでないのであれば、意味不明の返しだろう。
だけど、ナラッカであるなら……
「……ああそうかい」
詰んだ状況だ、自分の正体がバレているってことだしな。
とぼける意味が無いってことになるから。
梶山は低い声で、そう言い……薄笑いを浮かべた。
……思うに、黒岡さんのところの三波さんの件もこいつのせいだろ。
垂井明日花の事件を担当した弁護士の取材に、記者が来たって言ってたから。
あとで事務所に確認に行ったら教えて貰えたよ。
梶山は薄笑いを浮かべつつ、憎々し気に言った。
「お前、聖戦士か……。魔鈴を鳴らした奴が居たから、確認に行ってみれば……女連れだから違うと思ったんだけどなぁ!」
その言葉と同時に。
梶山の外皮が破裂するように破れた。
そう、形容するのが一番適当な変貌。
……梶山の正体は。
馬の頭を持つ獣人。
ただし、その表皮は鎧のような赤い外骨格に覆われている。
「バレてしまっては仕方ない! 返り討ちにしてくれるわ!」
正体を現したナラッカに、タケルさんの解説が飛んでくる。
『……コイツはバルベト。得意技は自分の尿から金属の道具を生み出す能力と、幻覚を操る能力……! 幻に気を付けるんだ!』
分かった!
尿を能力に組み込んだのは、別にウケ狙いでは無いんよなぁ。
元ネタの悪魔の能力からの連想なんですよねぇ。
読んでいただき感謝です。
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