第41話 問題の人物は
問題の人物。
名前は田堰史郎。
現在は年齢43才。
問題の前科は……
「まさか、垂井先生に対するテロの犯人だったなんて」
市子が、黒岡さんから聞いて来た田堰についての情報を読んでポツリ、と。
そう。
この男、市子の推し政治家の垂井明日花に火炎瓶を投げつけたんだ。
大事には至らなかったんだけど……
だからまあ、2年で済んだのかもしれないな。
やった理由は「こんな女がいるから女が増長する。こいつがのし上がると社会が歪むから」だとさ。
まぁ、酷い理由だわな。
でまあ、調査をして。
今の田堰の現在を調べた。
すると……
まぁ、前科者に世の中は厳しいから、かなり苦しい状況だったようで。
仕事を見つけるのにも苦労したみたいだった。
今は、人の出入りが激しいブラック企業で肉体労働に勤しんでいるらしい。
元々はそこそこ良い会社で、正社員してたんだけどな。
30代後半でそこを解雇させられた。
理由は他の社員からの各種ハラスメントの苦情。
その後離婚。
嫁と娘が家を出ていった。
……一見酷いけどさ……
この男が会社をクビになった理由考えると、家でも大概で。
解雇のショックで発狂でもしたんじゃないのかね。
そして発狂して、家庭の維持がいよいよ出来なくなれば、それは妥当な理由だよなぁ。
……まぁ、想像だけどな。
しかし……
んんー、これはどうなんだろうなぁ?
ナラッカは社会性の無い人間や、多少社会性があっても、所謂チンピラみたいな人間と好んで成り代わる。
……黒岡さんの話では、裁判が決着した直後は改心していたわけだし。
今の状況は、後の人生の厳しさで再度発狂しただけのような気もするし……
こいつ、本当にナラッカなんだろうか……?
俺としては、ほとんど仕事もしないで引きこもってるのではと思っていたのに。
生きるためにブラック企業で働くって……?
変じゃないか?
バイトで十分だろ。
探せば安い住居はいくらでもあるし。
その分だけ稼げばいいんだ。
ナラッカは飲み食いしなくても生きていける。
必要なのは空腹を癒すプシュケーのみだから
ぶっちゃけ、ガスも電気も水も要らない。
……何だか、分からなくなってしまった。
そんなことをウンウン言いながら事務所で悩んでいると
「とりあえずさ」
デスクで事務仕事を片付けていた市子に
「1回、この田堰の家の前で鈴を鳴らさない?」
……だな。
田堰の勤め先の休みの日は調べて分かってるわけだしな。
「行ってみるか」
俺はそう返して腰を上げた。
田堰の今の住所。
……ベランダが南を向いてないアパート。
あー……
多分、建付けもおかしいんだろうな。
そんなことを考えながら
俺は魔鈴を取り出して。
リーン……
鳴らす。
すると……
俺たちが見守る中で……
ボロッ。
みるみる錆びつき、崩れていく魔鈴。
……ということは
こいつが当たり……ビンゴなのか!?
なんか変だけど……?
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