第33話 聖戦士登録
「なぁ、この薬ってさ、具体的にどのくらい寿命が消費されるの?」
俺は魔道具の店に来て、あの薬を買いに来た。
あの……「寿命を消費して、どんな怪我も数分で治す薬」
商品名・エリクサーを。
俺の質問を受けて
「怪我の具合によるよ」
魔道具の店の店主さんが、読んでいた新聞から目を上げて、眼鏡を直しながら答えてくれる。
「ほっとけば治る切り傷、打ち身程度なら消費しない。ちょっと眠気が来る程度」
そして新聞を畳みながら続けて
「骨折レベルで、およそ100日」
……100日。
およそ3カ月か。
で
「人体欠損で、1000日」
腕や足、指を無くした場合は3年近く……
「致命傷の場合は、助かっても寿命が半分になるのを覚悟するんだね」
……最後だけ数値じゃ無いのか。
まあ、そのぐらいガッツリ寿命が減るってことなのかね。
ちなみに……
「その数字はどこから?」
それを訊ねた。
少し気になったから。
すると
「ああ、ここの商品の製法を職人たちに教えたのはメギド様だと伝わってる。今の数字はメギド様の言葉だね」
またメギドか……
人間に鎧を与え、魔道具の製法を教え……
そこまでやれば、確かに神様扱いを受けるかもしれないな。
なんとなく納得をする。
ま、それはそれとして。
「エリクサーって有効期限は?」
「無いよ。いつでも飲める」
……普通の薬の概念からも外れてるよな。
どれだけ時間が経っても効果が失われない霊薬……。
そう、俺は小瓶に入った青い液体……霊薬エリクサーを見つめて考える。
で
「5つください」
「5000円」
……副作用があるとはいえ、こんな霊薬が1つ1000円って破格だよなぁ。
今日俺が薬を買いに来たのは、この間ノーブルクラスのナラッカ「闇闘士ゼイモン」と戦ったからで。
あんなのが相手になったらこれから先、大怪我をする可能性あるよなと思い、保険を打っておかないと駄目だろと思ったんだ。
「また来てねー」
エリクサー5つを入れた紙袋をぶら下げて店を出て
しばらく歩き
ふと、気になった。
(なぁ、タケルさん)
『何だ?』
(生前はどうやって稼いでいたの?)
……魔道具、結構金かかるしな。
俺は働いているから払えるけど、無収入だと厳しいだろ。
そう思ったから訊いたんだ。
すると……
『魔道具の店で請けられる討伐依頼で稼いでいた。後は単発バイトだ』
討伐依頼……
そんなのがあるのか。
(それはどんな?)
『ナラッカに成り代わられた誰かが明らかになった場合に、懸賞金が掛けられるんだ。もしくは……』
ナラッカに明らかに獲物として狙われている誰かが見つかった場合も、だ。
……なるほど。
タケルさんの話を聞き、俺は心で頷いた。
タケルさんの話によると、安くて数万円。高いときは30万円近く貰えたらしい。
しょっちゅうじゃないが、立派な収入源だったと。
まぁ、俺には関係ないかな……
仕事は別にあるからね。
そう思い、聞き流そうと思ったけど
『……魔道具の店に名前を登録しておけば、連絡が来る。できればやっておいて欲しい』
討伐依頼は、人を守るためのものであり、緊急性が高いものだから。
……そんなことを言われる。
前に「邪魔な一般人は見捨てろ」とは言われたけどさ。
それは戦士として負けないためのやむを得ないことだろうし。
俺としても
(……分かった。明日また行って、登録するよ)
こう答えることに、特に問題は感じなかった。
ちなみに、万能解毒薬の方は「アムリタ」です。
読んでいただき感謝です。
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