第22話 パフェを食べに行く
「この鈴、使う機会は来ないで欲しいよね」
歩きながら魔鈴の入った紙袋を覗く市子。
確かにな。
そういう怪しい奴には出会いたくねぇよな。
そう思って同意したら
『……自衛目的なら、自宅で数日ごとに使うことを勧める』
ここでタケルさんからのアドバイス。
魔鈴は近場にナラッカが居たら、鳴らした場合に崩壊するが、居ない場合は再利用できるので
自宅で数日ごとに使用し、周辺のクリーンさを確認すべし、と。
何で?
と思った。
信用できないヤツが現れたときで良くない?
そう思ったんだけど
(あ)
……気づいた。
そっか。
ナラッカの変身は、生きた人間と成り代わる形で行われるものだから。
……想像したくないけど。
知人が、その犠牲になってしまう可能性があるんだな。
それにいち早く気づくために、数日おきに鳴らして。
反応があったら、警戒する。
なるほど……
伝えておかないといけないことだから、それを市子に俺から口頭で伝えて。
市子の顔が強張るのを見て。
「……まぁ、嫌な話はここまでにして」
俺は喫茶店を指差した。
いきつけの喫茶店「シャンゼリゼ」だ。
ここのビッグパフェが食べでがある上に美味いんだよ。
……気分直しに、俺は市子をパフェに誘った。
「久々だなぁ」
あんまり食うと太るから、控えているんだけど。
俺は甘いものが好きなんだ。
店に入ると、メイド服に近い制服を着た店員さんがテーブル席に案内してくれて。
その後、注文を訊いて来たので
「ビッグパフェ2つ」
1つ2000円のビッグパフェを2つ注文。
ビッグパフェ。
ゆとりのある器に、アイスや生クリーム、フルーツがふんだんに入った良心的なパフェだよ。
どうせ払うなら、こういうものにお金を払いたいよな。
利益重視で、ケチケチした贅沢品は萎える。
運ばれてきた水を飲みつつ、注文の品を待つ。
ふと目をやると
前の席の市子は、スマホを弄ってた。
「何見てんの?」
なんとなく気になったので、訊く。
すると
「キズナネット」
キズナネット?
聞き覚えが無いので
「それ、何?」
そう訊ねると
「ネットで、ちょっとしたことを有料でやりとりすることを仲介するサイト」
絵描きとか。
小説とか。
漫画とか。
脚本とか。
作曲とか。
難しいプラモデルの組み立てとか。
そういうのを、有料でやって貰うの。
有料でやりたい人と、有料で頼みたい人を仲介するんだね。
私、ちょっと絵が描けるでしょ? お小遣い稼ぎで登録してるんだよ。
1回5000円で。
市子のそんな説明に
……ふーん。
最近は、そんな便利なサイトがあるんだな。
水を飲みつつ、自分の特技で小遣いを稼いでいる幼馴染が楽しそうだなと俺は思った。
そこに
「お待たせしました」
店員さんがやって来て。
トレイの上に、ボリューミーなパフェ2つ。
来た来た。
俺たちのテーブルの上に置いてくれて。
さあ、食おう。
そう思ったとき。
カランカランと入り口ドアが開く音がして。
赤い服を着た太ったおばさんと、子供2人が店に入って来て。
……俺たちは、すごく嫌な思いをする羽目になったんだ。
甘いものが好きなのは、幼児性が抜けきらない証拠だ!(某東京都知事の言葉)
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