表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/135

第17話 霊視能力と千里眼

 依頼人は実家住まいで。

 独身の女性ならそう珍しいことではないよな。


 まぁ、色々言われるけどさ。

 自活できないのか、って。

 でも、女の一人暮らしは狙われるからね。

 強盗に。


 女の一人暮らしは、お金以外にもデメリットはあるんだよ。

 確実に。


「また庭に生き物の死骸を投げ込まれたんですか?」


「ええ。猫の死骸です」


 心底、心が参っている依頼人・日向ひなたさん。

 眼を伏せ、青褪めていた。


 ……これは心療科に行った方が良いかもな。


「死骸は?」


「……表にビニール袋に入れて置いてあります」


 生き物の死骸って保健所で処理して貰えるんだっけ?

 頼んだこと無いから知らんけど。


 まぁとりあえず、見てみるか。


 ……正直、見たくないけどな。




 裏庭に、小さな倉庫があり。

 その隣にあったよ。


 ビニール袋に入れられた猫の死骸。


 ……腹を裂かれていて、内臓がはみ出していた。


 俺としても、直視はキツイな。


 さて……


「市子、ちょっと周囲を見張ってくれる?」


「……分かった」


 一緒について来てくれた彼女が頷く。

 ……あからさまに猫の死骸から目を逸らしながら。


 俺は俺で周囲を見回す。


 ……人の目は……無い。

 よし。


 俺は懐からカメラを取り出した。

 そして


玲瓏れいろう


 光と共に。

 俺は聖戦士の鎧を召喚、着装し。

 変身した。


 そして念じる。

 

(猫よ。お前の無念の思いを見せてくれ)


 この猫の死骸を対象に、猫の心霊写真を撮るつもりで凝視した。


 すると


 ……見覚えのない男が、果物ナイフで猫の腹を裂くキツイ映像が脳裏に浮かぶ。


 うお。


「……見えた」


「え、すごいね!」


 俺の呟きに、市子の賞賛。

 自分のアイディアが役に立ったから嬉しいのか。


 俺は続いて。


(こいつどこにいんの?)


 そう、思いつつ念写をするつもりで集中。


 すると


 俺の知ってる居酒屋で、この猫殺しの犯人が酒を飲んでいる映像が浮かぶ。


 ……見えた。


 これは所謂、千里眼ってやつじゃないか?

 そして猫の方は霊視か……!

 すげえな……!


「全部見えた。ありがとう」


 ……変身を解き、俺はこの会心のアイディアをくれた市子に礼を言った。


「ど、どういたしまして」


 自分のアイディアが、想像以上にすごい結果になったせいか。

 彼女はやや引いていた。


 とりあえず……


「……急ごう。犯人が酒を飲んでる間に、接触してどういう奴なのか確かめないと」


 俺は立ち上がり、向かったよ。

 問題の居酒屋に。




 飲み屋「せんべろ亭」

 あからさまに安酒飲み屋。


 俺は見回し、問題の顔を探す。


 ……居た。


 あまり清潔感の無い長髪で、痩せているけどゴツゴツした顔つき。

 身なりはよれよれの灰色Tシャツと、くたびれたカーキ色ズボン。


 そいつは、テーブル席でジョッキでチューハイを飲んでいた。


 俺の脳裏に、そいつが猫の腹を裂いている映像が浮かぶ。

 ……そのときのそいつは


 別に愉しんでいるふうでなく、完全に作業をしている表情だった。

探偵としては実に有効な能力……!


読んでいただき感謝です。

ここまでの物語が面白いと思って下さった方、是非評価、ブクマ、感想等をお願い致します。

(反響を実感できるのは書き手の喜びです)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
感想をいただけましたら必ず返信致します。
些細な感想でも頂けましたら嬉しいです。
ブクマ、評価、いいね等、いただけましたら感謝致します。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ