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最終話 向いてるかどうかは知らないが、やりたいことは出来ている感

 天魔王神宮に参拝しに行った後、俺は探偵事務所に戻った。

 今の俺の事務所は、東京都内にある。


 前の事務所は畳んだ。


「ただいま」


 俺が戻ると。


 市子がデスクで書類を整理してた。

 書類を持つ左手薬指に銀色の指輪。


「おかえり、御幸。天魔王の様子はどうだった?」


 市子が笑顔で訊いてくる。

 俺はソファにドカッと座って答えた。


「別にいつも通り。菓子食って日本満喫してるよ。ドーナツから月餅まで、貢がれまくりだ」


 市子がクスッと笑った。


「そっか。じゃあ日本はまだ国防面では安心だね」


 その笑顔に、俺の胸が温かくなる。

 だが、市子はすぐに真顔に戻った。


「で、戻って早速で悪いんだけど、警察が協力要請してる事件が来ててさ」


「そっか。了解」


 俺は懐からデジカメを取り出し、呟いた。


「玲瓏」


 光が弾け、聖戦士の鎧が愛用デジカメを依り代として召喚され、俺に着装される。


 メギドの消滅で一度失った力。


 だが、改めてシャイタンに力を与えられることで、俺は再び聖戦士の力を手に入れた。


 依り代は、やっぱりデジカメだ。


 写真記憶、動体視力、念写も霊視能力も、能力周りは全部元通り。

 ただ、タケルさんだけはいないけどな。

 あの相棒の声は、もう聞こえない。


 それだけが、少し寂しい。




 シャイタンが言ってた。


「我に対する対抗手段がなければ、ナラッカはこの国に守護神として居座れん。我々が敵になったとき、媚びへつらう以外に道がない状態では、対等な関係は築けぬ。それを我は望まぬ」


 だから、俺は聖戦士の力を再び手に入れた。


 人間側の最終手段、最後の安全保障として。


 国からは、聖戦士の力を代々引き継ぐことを要請されてる。

 そのために、結婚も強制された。


 まあ、相手が市子なら、別に文句ないけどな。

 市子の方も「強制結婚なら私が立候補する」って言って来たんだよな。

 だからまぁ、本当に何も問題は無い。


 ……その見返りとして、国からの俸給が貰えるようになったし。


 あと、俺の能力を使って……


 警察の難事件解決の仕事が回って来るようになった。

 ガキの頃に憧れた、名探偵の仕事を貰えるようになったんだ。


 推理で無く、念写と霊視能力、写真記憶で事件を解決する名探偵!


 ……これはこれで俺の夢見た形の名探偵では無い気がするのは贅沢なんだろうか?

 でも、事件解決する達成感はあるんよな。


「で、どんな事件なの?」


 まぁ、それはそれとして。

 真剣に取り組まないとな。


 本当の事件なんだし。


「これを」


 市子がA4の紙にまとめてくれた事件のあらましを読む。


 ……なるほど。

 未解決の一家惨殺事件な。


 その犯人は犯行後、家で備蓄食料の缶詰を数個開けて食ってたのか。

 ふんふん。


 なるほど……


 こんなクズ野郎、絶対に捕まえないとな。


 よし。


 俺はその、証拠品の鯨の缶詰の空き缶を前にして念写と霊視を開始した。


 意識を集中すると、映像が浮かぶ。

 なので


「犯人は今、外国に逃げてるな。人相は……」


 そう言うと

 市子がスケッチブックを差し出してきた。


 俺はそれを受け取って。

 念写の映像を頼りに、カメラの能力を生かして正確な似顔絵をサラサラ描いていく。


 それを見守る市子の左手薬指の指輪が、電灯の光を反射してキラリと光っていた。

 鎧の中の俺の左手にも、同じ銀色の指輪。


 今の俺は……


 向いてるのかどうかは知らないが、間違いなく言えるのは……


 やりたくないことは、やってはいないんだよ。


<了>

次回、あとがきです。


読んでいただき感謝です。

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