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第133話 黒岡弁護士の今

 外国人の集団が去った後、俺はシャイタンに切り出した。


「なあ、シャイタン。あいつら、なんか企んでないか? ナラッカの帝王を自国へスカウトしようとしてるんじゃ……」


 だが、俺のそんな心配から出た言葉に。

 シャイタンが再び箒を手に掃除を再開しながら、キッパリ答えた。


「そんな義理に反した行為は、ナラッカの名誉を貶めるな」


 何を言ってるんだお前は?

 そんな感じで、ごく自然に


「……安心せい、ミユキ。我々はこの国に根を下ろすと決めたのだ」


 その言葉に、俺はホッと胸を撫で下ろした。

 シャイタンの瞳には、帝王としての誇りが宿ってる。


 そうだよな。

 こいつは義理堅いし。


 だからこそ、人喰い禁止令はすんなり通り、今の状態があるわけだし。

 そう思い、沸き上がった不安を拭うに足る事実に安心感を得ていると。


「陛下、ご機嫌麗しゅうございます」


 そのとき、スーツ姿の男が秘書を連れて境内に入ってきたんだ。

 黒岡弁護士──ゼイモンだ。

 秘書は三波さん。


 正体発覚前から継続して、発覚後も彼女はゼイモンの秘書を続けている。


「陛下、献上致します」


 シャイタンの前まで進み出て。

 膝を折って恭しく。

 ゼイモンが差し出したのは、書類の束。


「うむ、いつも助かるぞ!」

 

 シャイタンはそれを笑みを浮かべて受け取った。


 俺はゼイモンとはあの最後の戦いからしばらく会っていなかったので


「やぁゼイモン。斬り落とされた左腕、もういいのか?」


 ゼイモンは俺の言葉に左腕を示して、笑顔で答える。


「全く問題ない。ナラッカはヒトと違い、腕の欠損くらいは問題じゃないからな」


 すぐではないが治るらしい。

 気分的には爪を剥がされた程度の負傷なのかもしれないな。


 まぁ、それはそれとして


「で、今回は何を持ってきたんだ?」


 俺の言葉に、ゼイモンが少し照れくさそうに答える。


「陛下のご命令で、僕が担当した事件の中から『問題のある人物が馬鹿すぎて笑うしかない事件』を読み物風にまとめたものだ」


 ……は? 


 ネットでたまに見る、泥ママ動画だとか不倫破滅動画の元ネタみたいなものを?


 それをナラッカの帝王が愛読しているだと!? 


 シャイタン、どんな趣味してるんだ!?

 

 ゼイモンの秘書──三波さんが、ゼイモン同様膝を折った姿勢で恭しく


「シャイタン様。今回も特にキッツイ事件を元ネタに、最高にアホらしくざまぁな感じでまとめました」


 そう、書類の内容について伝えた。


 シャイタンはその言葉に「ふむ、いつも確かな仕事助かるぞ」と満足げに頷いていた。

次回、最終回。


読んでいただき感謝です。

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