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第110話 天魔王の国

★★★藍沢市子視点です★★★



 御幸君が外で念動力の修行を始めてから数日が経った。

 私は広間のソファに座って、手元のタブレットでSNSを眺めてた。

 外の世界がどうなってるか、知っておきたかったからだ。


 そしたら、衝撃的なニュースが飛び込んできた。


『ナラッカの要求するプシュケーが人間の命であることが判明しました』


 それ自体は私も知っている情報。

 ただ、それを一般人も知ることになったのか。

 それぐらいの感覚だった。

 

 だけど


 政府の発表がすぐ後に流れた。


 政府はナラッカに差し出す生贄に、現在拘置所に収監されている全ての死刑囚を選択したんだ。

 そこまでは、残酷だけどある意味予想通りだった。

 プシュケーを奪われて死ぬことに少しも正当性が無い人間をいきなり選んだりはしないだろう、という。


 だけど……


 その発表を受けてSNSのタイムラインが一気に動き出した。

 そしてその反応を見て、私は目を疑った。


「怖い」「政府はこのまま逆らわないのか?」って声はほとんどなくて。


 代わりに


『いらんやつが消えた。ラッキー!』


『悪が滅びた。シャイタン様ありがとう!』


『最後にゴミ共が役に立ったわw』


『悪人を掃除してくれるシャイタン様可愛い!』


「……え?」


 私はスクロールする手を止めた。

 世間が何故か好印象?

 シャイタンを称賛してる? 


「嘘でしょ……」


 背筋がゾッとした。

 この人たち、自分が無関係だと思ってる……!

 自分がその対象にされない保証なんて無いのに……!


 タブレットを膝に置いて、私は立ち上がった。頭が冷える感覚がする。


 これは恐怖政治の幕開けでしょ……。

 ナラッカは「守護する」とか言ってるけど……これは実質、人間を家畜にすることの第一歩じゃないの……?


 最初の生贄が死刑囚でも、次は誰が選ばれるか分からないじゃない……!


「この人たち、分かってない……」


 自分が安全だと思い込んで、シャイタンを「可愛い」なんて言ってる。

 見ると、シャイタンのイラストを描いて「いいね」を貰ってる人までいた。


 ……冗談じゃない。

 皆……あの化け物の帝王が、国会議事堂の前で日米合同軍を全滅させたことを忘れてるの? 


 私は窓の外を見た。


 御幸君が裏庭で念動力で木を引き抜こうとしてる姿が見える。

 ただ黙って向き合ってる。

 ……いつまで経っても出来なくても。


「御幸君……」


 彼はシャイタンを倒すために無茶な修行を続けてる。

 この世界を救うために。

 でも……


「私たちが戦ってる意味を……この人たちは分からないんだ」


 心が挫けそうになるけど、私たちはそれでも進まないといけないんだ。

 だって……世界に終わって欲しく無いもの。

書いてる方はこういう展開好きでねぇ。


読んでいただき感謝です。

ここまでの物語が面白いと思って下さった方、是非評価、ブクマ、感想等をお願い致します。

(反響を実感できるのは書き手の喜びです)

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