表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/135

第103話 お前はただでは倒さない

 とうとう法王バイルを追い詰めた。


 会議室の中央で、紫色の髪をした美しい教団の巫女……天京光莉の姿をしたものが、驚愕で目を見開き、動けなくなっている。


 何でだ? って顔だ。

 秘密でこっそり東京支部に戻った瞬間に、狙い澄ましたように聖戦士の襲撃が来た理由が分からないらしい。


 ざまあみろ。


 俺は心の中で呟いた。


 このときを待ってた。


 この瞬間のために、聖戦士の組織を総動員して、東京支部だけを無力化させたんだ。


 他の信者たちは今、危なすぎてとても表に出せない専用の魔道具──人を一瞬で眠らせたり、記憶を改竄したりするえげつない道具類で強引に黙らせてる。

 場所がこの東京支部に限定されてるからこそできる力業だ。


 脳裏に、こいつのせいでプシュケーを奪われ、殺された幼い子供たちの最期の泣き顔が浮かんだ。


「まま」


「おかあさん」


「かあかあ」


 幼い言葉で母親に助けを求め、叫ぶ声が、頭の中で響き続ける。

 同時に、凄まじい憎悪と殺意が吹き上がってきた。


 胸が熱くなって、どす黒い力が噴き出して来る。


 ……お前だけはただでは倒さない。

 やったことを思い知ってから、死んで行け……!


「……全部バレてんだよ。ネタバラシは地獄でベルゼブ相手に聞いてみろ。2匹で考えれば分かるかもな」


 念写のことは絶対にバラさない。

 万一を考えれば当然だ。


 俺の仕事の探偵業で学んだこと──油断は破滅を招く。


 浮気調査で見た事例が頭に残ってる。


 配偶者の能力を舐めて、どうせ気づくまいと言わなくていいことを言い。

 そのせいで気づかれて破滅した。

 そんな調査対象がいた。


 俺はあの馬鹿野郎と同じ轍は踏まない。


 こいつがどうやって罠に嵌ったのか、知る必要はないんだ。

 それを知るのは地獄に行ってからで十分だ。


「何が地獄ですか! くだらない人間の分際で!」


 そこで法王バイルが叫んだ。

 最後のあがきで見苦しくとぼけることはしないらしい。


 ここまで追い込まれたら無駄だと自覚してるのか、正体を隠さず現した。

 その輪郭が黒く染まり、美しい女の姿から、異形の醜い姿に変異する。


 ……猫とヒキガエルの中間みたいな悍ましい姿。

 猫の毛皮を持ったヒキガエル。

 飛び出した目と、異様に大きな口。


 それが法王バイルの真の姿だ。


「ノーブルクラスを舐めるなッ!」


 一撃を入れて逃げる気か、早速棘の生えた舌を伸ばしてきた。

 それでぶっ叩こうとする速い動き。


 だが──


 ヒュン、とすかさず

 ガルザムの蛇腹剣がそれを阻止した。


 鞭のような鋭い刃が舌を斬りつけ、青黒い血が飛び散る。


「ギエエエエエエ!!」


 悲鳴が会議室に響いた。ガルザムの聖戦士としての能力が、完璧に発揮された瞬間だ。

 今、バイルは凄まじい痛みを感じている。


 だけど、バイルはそこで戦意を喪失しなかった。


 猫と蛙の中間みたいな、爪のある蛙に似た手を俺たちに向けて、稲妻を放ってきたんだ。


 バチバチと音を立てて放射される電撃。

 

 広範囲に及ぶその電撃放射が会議室を照らす。


 だけど、牽制だ。


 市子を巻き込まないための小細工だろう。

 奴は出入り口に向けて跳躍した。


 この隙に逃げる気だ。だが──

 

 そこにゼルノスのメギドブラストの矢が複数飛来し、バイルの足を貫いたんだ。

 

「グエッ!」


 撃ち落とされたバイルが、床に倒れた。

 そこで俺は駆け寄り、バイルの腹を思い切り踏みつける。


 ゴリッと骨が軋む音がする。

 右手にメギドセイバーを発動させながら。


 紫色に輝く手刀……!


「勝負ありだ。腐った化け物」


 そして俺は法王バイルに、その死を宣告したんだ。

追い詰められた法王バイルは……?


読んでいただき感謝です。

ここまでの物語が面白いと思って下さった方、是非評価、ブクマ、感想等をお願い致します。

(反響を実感できるのは書き手の喜びです)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
感想をいただけましたら必ず返信致します。
些細な感想でも頂けましたら嬉しいです。
ブクマ、評価、いいね等、いただけましたら感謝致します。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ