深夜➁
今年から本気出す…
意味が分からない。…明日花は、勇斗から連絡があったにも関わらずそっちの、連絡は取らなかった。……なぜ?いや、僕と電話をしていたときも、正直言ってかなり切羽詰まった感じだった。仮に明日花が誘拐されているとしよう。恐らく明日花の保護者が何か知っているような様子をしていることから、誘拐の可能性は低いと思うが。
誘拐されている場合スマホとかってあんまり、触らせてもらえないんじゃないか?
ましてや、連絡なんか取らせてくれないんじゃ…。それなのに、明日花は僕に連絡してきた。僕に助けを求めてきた。………………あれ?…そうだったっけ?僕は、明日花になんて言われたんだ?
「航平くん!大丈夫?かなり、ボーッとしてたけど。」
「だっ…大丈夫…」
クソ…頭が回んない。……多分今の情報でこれ以上考えてもあんまり意味がない。明日、勇斗と話し合ったほうが良いだろう。
「佳奈さん。ありがとう。今聞いたことだけじゃ分からないことが多すぎるかな…。明日、勇斗と情報を探してみるよ。」
「分かった。私とできるだけ協力するよ。明日花は、大事な友達だからね。」
良かった。…佳奈さんは協力的らしい。所詮高校生の戦力だが、二人と一人じゃ作業効率が段違いだからな。
「今日は、もう遅いし明日また今後のことについて、話し合う形でいいかな?」
「そうだね…今日は、もう遅いし…」
気づけば時計は10時を指していた。佳奈さんが、勢いよく立ち上がる。
「また明日!」
そういって、佳奈さんは、扉に手をかけようとして、やめた。
「あっ…航平くんと私って連絡先交換してなかったっけ?」
「うっうん…」
「じゃあ、今後連絡を取るときに必要になるだろうから交換しとこっか。」
佳奈さんは、陰キャ男子には、割とトンデモ発言をして、スマホにQRコードを出してきた。
「うっ…うん。連絡手段は、必要だしね…」
僕は、慌ててQRコードを読み取る。
おぉ……確か連絡の交換ってこうやってするんだったな……
本来なら超難関イベントのはずの女子との連絡先の交換をやすやすと攻略してしまったことも、今はあまり実感がない。
「じゃあ、また明日!」
今度こそ、佳奈さんが僕の部屋から勢いよく出ていった。
クソ…疲れた…ものすごく眠い……まだ色々考えないといけない事あるのに……あっ………意識がフッと消えるのが分かった。最後に見たのは、窓から見える月に照らされた神秘的な海と、その向こうに見える『神』の崖と、その影だった。
無職転生大好き!