第524話 ウシローノの願いを否定する者達。
ここでミチトが自身と共にライブ達が老化をした事とイブにも無限魔水晶を使ってある事の説明をした。
ここでまた食いついてきたのはウシローノでミチトに自分達も無限魔水晶で施術を頼めないかと言い出した。
ミチトとライブはいつものウシローノは真面目だなと言う話に落ち着いたがイブだけは不快感を露わにする。
「それ、間違いですよ。力が欲しいなら努力をしてください」
ハッキリとウシローノを見て厳しい眼差しで注意すると一瞬たじろいだウシローノだったがすぐに「力が欲しいのではなくて少しでもやれる事を増やしてミチトさんのお役に立ちたいんです!」と言った。
「それ、違いますよ。もしもマスターがやったみたいにラージポットのオーバーフローを1人でステイブルしろって言われたのならまだわかりますけどキャスパー派の相手くらい皆やれます。そこで力があればと言うのは間違いです」
そう言われると何も言えないウシローノは「はい…。すみません」と謝る。
そのウシローノの顔がいたたまれないライブが「ウシローノってどうなりたいの?」と会話に割り込む。
「この前も言ったけど、私やイブは6年の経験があるんだよ?」
「はい。やはりミチトさんが使った術は再現したいです。見ていて思いましたが僕にもこの力があればと思ってしまいます」
ライブが「それはウシローノが悪いよ」と言うとミチトを見ながら「マスターは試行錯誤して自作してるんだよ?ウシローノは自作したの?」と聞く。
「自作ですか?」
「そうだよ。それを抜かしてマスターが覚えた術を教えてくれなんてズルいんだよ」
ここで作戦室に入ってきたリナが「あらあら、難しい話?」と聞く。
驚いたイブが「リナさん!どうしたんですか?」と聞くとリナはお皿を見せながら「ミチト達はお昼抜きだったから軽食」と言う。
「チキンステーキのサンドウィッチとポテトのガレットを作ったんだよ。まあ貴族様のお口に合うか心配だけどさ。イブとライブで4人の分を運んできてよ。これはミチトの分だからさ、ほらミチトってお腹空くと荒れるしね」
リナのペースで話が進み、イブとライブで大鍋亭に料理を取りに行く間にリナが「ウシローノ君だったよね?どうしたの?」と聞く。
ウシローノは無限魔水晶で術人間になりたい気持ちをリナに伝えた。
リナはそれを否定する。
釈然としない顔のウシローノに困ったような怒るような顔で「あのね、ミチトが起きなかった理由は無限魔水晶を使ったイブとライブが老化をしない為だったのよ。今はその問題はクリアした。でもまた次に何かの問題に当たった時、無限魔水晶の術人間が増えていてミチトが皆の為に命を振り絞って2度と起きなくなったら私はきっと後悔するし悲しむし恨むと思う。
多分ウシローノ君はイブとライブの名前を出してあの2人だけと言うかもしれない、思うかもしれない。でもあの2人は元々シューザが生み出してしまった術人間でイブはシューザが無限魔水晶を与えていた。ライブはダンジョンの上で生きていく為に仕方なく魔水晶では追いつかない事で命の危険があるからミチトは無限魔水晶にしたの。この違いはわかって欲しいな」と言った。
ウシローノもリナの言葉がわからないような男ではない。
だからこそキチンとリナを見て「わかります。ただ実力不足が口惜しいんです」と言った。
「それは修行でなんとかなるものは修行をして、そしてそれ以上の何ともならないものはミチトに相談をして?そしてあなた達は4人いるのだから力を合わせて」
リナの言葉でウシローノがイイーヨ達を見ると呆れたような笑顔の3人はウシローノを見ていた。
「そうだよウシローノ。俺たち仲間だろ?」
「結構バランスの良いメンバーだって、前衛の俺とイイーヨ、中衛のウシローノと後衛のイシホならやれるだろ?」
「そうですよ。現にリミール様を狙った術人間を制圧できたんですから」
「それともウシローノってリーダーしたかったりするの?」
「え?お前ってそんなタイプ?」
「それは得意分野の時だけにしてくださいね」
この言葉に空気が軽くなりウシローノも3人に「そうですね。僕達は仲間ですね」と言った。
ミチトは話が落ち着いた所で「リナさんありがとう」と言ってウシローノを見る。
「ウシローノさん。過度の力は良くないと俺は思ってるんだ。
その責任を無理に背負わせたくない。だから魔水晶の方が人間の範囲を逸脱していなくて良いと思ってるんだ。それにもし魔水晶の術人間で対応不能の出来事に見舞われたら1番に4人に相談するから安心して」
この言葉でようやく落ち着いたウシローノはライブが持ってきたチキンステーキサンドを食べてひと息つく。
イイーヨとイイダーロは「なにこれ美味い!」「マスター!強くて料理上手な奥さんもいてズルいですよ!」と褒めちぎり、イシホは「私もお料理学びたいんですが教えてもらえますか?」と言う。
ミチトもリナもご満悦で「そう言うのは大歓迎だよ」と言った。




