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新たな問題

「ただいま」



「おかえり、どうだった?」



 と僕は言った。ミロクは、洞窟での事、村での事を


僕たちに話してくれた。



「やっぱり、そうだったんだ。」



 と、僕が言うと



「ここに長く居られないの?」



 と、アバンが淋しそうに言った。



「でも、ここはまだバレていないし、村からも距離が


ある。しばらくは大丈夫だと思うよ」



 と僕が言うと



「そっか、よかった」



 と、アバンとミロクが言った。そしてミロクが



「そういえば、さっき、森の動物たちの様子が


おかしかった。何かあるのかもしれない」



 と言う。動物たちは異変を、いち早く察知する能力が


あると聞いたことがある。何か起こる前触れかも


しれない。気をつけた方がいい。けど何に、


気をつけたら……と思っていると、ふと気がついた。



「ねぇ。ミロクは森の動物たちとは、話すことは出来ない


の?」



 と、聞いてみた。



「うーーん、出来ない事もないが、向こうが聞く耳を


持ってくれないと会話にならない」



 と言う。アバンも



「ぼくも意思の疎通はできるけど、みんな、ぼくを見たら


逃げるんだ」



「そうか、ありがとう」



 と僕は言った。どうしたのかわかれば対処できるけど。


とりあえず僕たちは、今後のアバンとミロクの身の振り方


を考えることにした。


 それから数時間後、それは突然起こった。アバンが元の


姿に戻ったのだ。解除薬を飲んで8時間経過していたと


ミロクは言っていた。アバンは残念がっている。もう少し


だけあの姿が良かったと。でも、ミロクは元に戻った


アバンに、何か今までと違うところはないかとか、気分は


どうだとか、しきりに聞いていた。しばらくして、ミロク


のアバンへの質問ぜめが終わった。


すると、アバンが



「なんか、気配がする。もしかしたらドラゴンがこっちに


向かっているのかもしれない」



 と言った。僕たちは驚き確認しに行く事にした。


すると、ミロクが



「ボクが、行ってくる。カラスになって様子をみてくる


よ」



 といい、また、ミロクは洞窟を出ていく。


すると、アバンが



「ミロクばかり、負担をかけているよね。ぼくにも出来る


ことないかなぁ」



 と言う。そして



「あっ、そうだ。消える魔法をかけてもらってみんなで


いけば、よかったんじゃないの?」



「それは、いい考えだけど、今のミロクはきっとそれを


許可しないと思うよ」



「どうして?」



 と不思議そうにアバンが言う。



「だって、消える薬の副作用からようやく解放された


のに、もしまた、魔法をかけてアバンに何かあったら


ミロクはどう思う?」



 と聞くと



「そっか。ぼくが大丈夫って言ってもミロクは心配する」



「そうだね」



 と、言った。でも、確かにミロクにばかり負担をかけて


いる。僕たちにも出来ることがないかと僕は思っていた。


 そして1時間後ミロクは戻ってきた。



「ドラゴンが村に向かって飛んできている。まだ村に着く


にはもう少し時間がかかりそうだが」



 という。ミロクはカラスに変化し、村とは反対に少し


飛んでみたらしい。すると、一羽のカラスに出会ったと


言う。そして、《オマエモ ニゲロ タイヘンダ ヒヲフク


ドラゴンガ チカヅイテ キテイル》と言われたという。


そして、慌てて、ここに戻ってきたのだと。



「どうしよう!! 村の人たちを助けなきゃ」



 とアバンが言う。すると



「アバン、あいつらはお前を退治しようとしていたんだ


ぞ!!」



 とミロクが言った。



「でも、ぼくたちは生きてるし。それに、住んでる間、


村には少なからずお世話になっているよ」



 とアバンは言い、続けて



「それにぼくは、同じドラゴンとして、そのドラゴンを


止めたい。そんなことするからドラゴンの印象は悪くなる


んだ」



 と言った。そのアバンの言葉に僕は強い意志と気持ちを


感じた。そして僕は



「じゃあ、まずは村人たちを避難させよう」



 と言った。ミロクは、まだ少し納得していない感じが


した。僕はミロクに聞いた。



「ミロク、君が一番あの村人たちと接してきたじゃない


か。優しくされた事はなかったか? 助けてくれた事も


なかったか? もしも、アバンのことがなかったら、君は


どうしてた?」



「………………助けてた」



 とミロクは沈黙の後、小さな声でボソッと答えた。


それを聞いてアバンが



「さあ、助けにいこう!!!!」



 と力強く言った。




 まず、僕に旅人の格好をさせ、ミロクは旅商人に変身


した。そして僕たちは、何か聞かれた時のために、旅の


途中で知り合ったという設定にした。アバンの上に僕たち


は乗り、ミロクは躊躇していたが、消える魔法をかけて、


結界を解き、洞窟の外に出た。そして結界をはり、洞窟を


隠す。


 そして、僕たちは村に向けて出発した。村に着くまで


に、段取りを確認して、アバンは途中で、僕とミロクを


降ろして、そのまま、ひとりで飛び立っていった。


ミロクは、自分自身と僕に解除魔法で消える魔法を、


解いた。そして村へ急ぐ。


 村へ入ると僕たちは、数人で歩いている村人たちに、


村長に会いたいと言った。すると親切に、村長の家まで


案内してくれたが、村長は家にいない。どうしようと家の


前で村長の家族と村人たちに、村長の行きそうなとこを


聞いていると、村長が帰ってきた。そして、僕らは、


ドラゴンがこっちに近づいてきているといい、村人たちを


避難させた方がいいと話をした。しかし、村長も一緒に


いた村人たちも疑っているようだ。なので、僕は、森の


動物たちや鳥が移動しているのを、ここにくる途中に見た


んだ。絶対に何かがおかしい。避難した方がいいと説得


する。すると、ミロクが、僕に耳元で囁く。アバンから、


この村から少し離れたところに別の洞窟を発見したと。


そこに避難できるのではと。


僕たちは出てくる前に、アバンに村人たちが避難できる


洞窟のような所を見つけて欲しいと頼んでいた。


見つかったら、村の方に向かって少し強めの風を吹かして


欲しいと、そして風を吹かして五つ数えたら小さな光を


ひからせて欲しいとミロクは、アバンと打ち合わせして


いた。風は避難場所が見つかった合図、光は場所を示す


合図だ。 そして、僕は、この先に村人が避難できる洞窟が


あると、 言った。すると村人の1人が、ここから1キロ


ほど離れたところに洞窟があると、みんなに話していた。


すると、村人の1人が言い出した。



「本当か嘘かなんてどうでもいい。もし避難せずに


ドラゴンがきて家族や仲間を失うのは嫌だ」



 と。すると、



「そうだ。取り越し苦労の方がいい」



 と言う、村人の声に村長は決断し、村人たちの避難を


開始した。それぞれ、荷馬車や馬に乗り、その洞窟が


わかるものを先頭にして避難していく。そして、みんなが


一丸となった事で短い時間で、ほとんどの人が避難し


終わった。後は、村の男たちだけだった。僕は



「あなた達も避難した方がいい」



 と言うと、



「俺は村を守りたい。俺の生まれ育った村だから」



 と1人の村人が言うと、次々と他の村人たちも賛同


する。そして、それぞれが思い思いの武器を持ち集まって


きた。そうしているともう、ハッキリと肉眼でわかる


くらいの位置にドラゴンが現れた。見るからに正気を


失っているようで、何もない方向に火を吹いている。


しかし確実にこちらに向かってくる。僕は、火を吹く


ドラゴンを見て、人間が勝てるなんて異世界アニメばりの


チートな能力がないと無理だと思った。周りを見て彼らが


隠れれる頑丈な場所は、ないかとか探していると、


ミロクが走って戻ってくるのが見えた。僕は、ミロクが


居なくなっていたことも気づかなかった。ミロクは僕の所


に来て耳元で囁いた。と同時に村人たちが、叫んだ。



「おい、見ろ。反対側からもう一匹ドラゴンが現れたぞ」



「もう、ダメだ。二匹もいるなんて……」



 と、落胆の色が隠せない。村人たちが言うように、火を


吹くドラゴンの反対から、アバンは突如、現れた。そう、


ミロクが先程、アバンの消える魔法を解きに行っていた


のだ。そして、帰ってきて、僕にその事を告げてくれた。


村人たちの落胆とは反対に、僕とミロクは、


頼むアバン!! と心の中で叫んでいた。


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