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三毛猫ミロクのお願いとドラゴンのアバン

楽しんで頂けたら嬉しいです。

 ミロクが言うには時々、人間の村へ旅商人を装って、


情報収集したりして、自分たちに火の粉が、


かからないようにしていた。そして最近、他の村で


ドラゴンが暴れているらしいと聞いた。火や水や風などを


操って村を破壊しているのだと言う。


その状況に、怯えた村人たちは、この森を偵察したのだと


言う。


 いつもはミロクが、この洞窟に結界をはり見えなくして


いたのだが、その日は珍しく急いでいたため、


結界をはるのを忘れて、人間の村へ下りていったのだと


言う。そしてミロクが、村で用事をしていると、


慌てた村人が、森から戻ってきて洞窟に、ドラゴンがいる


といっているのに遭遇した。


 ミロクは、慌てて洞窟に戻り結界をはる。すると数十人


の村人たちが、それぞれ武器を手にしてこちらに来る。


でも結界をはっているので、彼らからこちらは見えない。


発見した村人はおかしいなと言っていたが、


道を間違えたかもといい、その日は帰っていった。




 次の日、またミロクは村へいった。ミロクはネズミに


変化して屋根裏から話を聞いていた。


それは、他の村か町から勇者を雇い、退治してもらうか


とか、魔法使いを呼んで、森を調べてもらうかとか、


とても穏やかではない会話だったと言う。


この村に勇者も魔法を使える人もいない。


薬もままならない小さな村だ。まして、


勇者を依頼できる程の蓄えもない。


そう思って、大丈夫だろうとミロクは安心していた。


しかし、ドラゴンを倒せば、その皮や肉、羽、鱗から


内臓にいたる、すべての物が高値で売れる。


そうなると村も潤うし、みんなが豊かになると言って


話しているのを、聞いてミロクは焦ったという。


それはミロクが、薬を売りに村へ行き、情報収集のため


酒場に行った時に、聞いた話なのだと言った。


そして、他に高値の物はないのかと聞くと、



「お前、何も知らねえなぁ。三毛猫のオスも珍しくあれも


すべて高値で売れるぞ」



と聞き、ゾッとした。でも三毛猫の場合はドラゴンを


探すより、難しいと言われたという。




 ミロクは、どうしたらいいのか考えた。アバンと共に。


でも、自分よりできる魔法使いを、雇われこの結界を


見破られたらひとたまりもない。


魔法使いと勇者を、雇ってもドラゴン1体倒せば、


お釣りがくるほどなのだから。




 行き詰まったミロクは、僕に目をつけた。


ミロクが言うには、僕には無限の可能性を感じるし、


才能もあると。僕の家族の中で、一番頼りになるのは


僕だと言う。兄の方がと言うと、あれはあれでいいが、


人間として深みがまだない。と言う。


じゃあ、おばあちゃんは?と聞くと、あの人にボクの事を


バラしたら一緒に暮らせなくなるかもしれない。


それは嫌だと言う。じゃあ、父はと言うと、


あれはダメだ、弱っちい。嫁がいないといきていけない。


とかなり厳しいダメだしをされた。



「で、僕にそれを止めて欲しいってことだよね」



「さすが、話が早い、何かいいアイディアはないか」



「無い事もないけど」



 と僕は、口から勝手に言葉が出てきていた。


一瞬、驚いた。何言ってんだ。大丈夫か? 中身は、


10歳の小学生に何ができると言うんだ。



『できるサ、オレがついてる』



 と頭の中で声がする。おいおい、これってアニメとかで


見たことあるぞ。それか? と思った。すると、



『ちがう、オレはもう一人のお前だ』



 という言葉に驚いた。なんだよ、訳わかんないなぁと


思っていると、



『わかんなくていい、オレが力を貸す』



 という。そして僕は、



「ミロク、頼みがある。これから村に行って今の状況を


調べてきて欲しい」



 と、口が勝手にいっていた。すると



「わかった、行ってくる」



 といい、ミロクがその場を離れようとしたので、



「結界忘れるなよ」



「おう」



 と答えて出ていった。




 残された僕とドラゴン。


僕はドラゴンに話しかけてみた。



「僕もアバンって呼んでいい?」



「うん、いいよ。ぼくは、なんて呼べばいい?」



「僕の名前は、ハルキ ミヤって言うんだ。ミヤでいいよ」



「ミヤか。わかった」



 といった。そして僕は、



「ねぇ。アバンはずっとこの洞窟にいるの?


出たいとか思わないの?」



「うん。基本的にはここでいいよ。でも、それじゃあ息が


詰まるよってミロクが、たまに、ぼくに、見えない魔法を


かけてくれて、夜や早朝の空を飛びに行くんだ。


とっても気持ちいいよ」



「やっぱり、そうだよね。外は気持ちいいよね。


自由に飛びたいって思わないの?」



「ぼくが飛んでると人間たちが怖がるし、


攻撃したりするし、他のドラゴンにも会いたくないんだ」



 といった。何か心に傷を抱えている。


僕はそう思った。そして僕は続けた。



「もし、アバンが嫌じゃなかったら、僕にどうして


他のドラゴン達と会いたくないのか、


教えてくれないか?」



 と言うと、アバンは黙り込んでしまった。



「ごめんね。無理して話さなくていいんだ。」



 と言うと



「ぼくね。みんなと違うみたいなんだ」



 とアバンはポツリと言った。


とても、か細く弱々しい声だった。




 アバンは、ドラゴンの国で生まれたのだと言う。


とても広大な土地なのに、人間達には見えないように


なっていて、なのにドラゴンの行き来は自由らしい。


しかし、ドラゴンは基本的にはそこからでない。


アバンの両親もそこで生まれ、そこで育った。


ドラゴンの巣立ちは早く、飛べるようになると巣立つ。


そして、仲間を作り仲間と共に、切磋琢磨して


成長していく。その成長の中で、火を操れるもの、


風を操れるもの、水を操れるもの、地を操れるもの、


光を操れるものとそれぞれの特性に


合わせて操ることができるようになる。


中にはいくつも操れるものもいるが、


基本は1つなのだという。最初は仲の良かった仲間たち


も、次第に操れるものが自分の望んでいるものと違うと、


段々、人間で言う、イジメの様になっていった。


ドラゴンの性格も共通してあるのは、負けず嫌いと強気。


オレ様的なドラゴンが多く、いさかいがその頃から


多発する。だけど、アバンは平和を好み、穏やかな性格


だと思うと。そんなドラゴンは異端なのだと。


その上アバンは、火、風、水、地、光と全ての特性を


持っているという。それを知った頃は、周りに沢山の


仲間がいたが、その内、(ねた)み、(そね)み、(ひが)


を周りの仲間たちは、アバンに向けるようになった。


アバンはただ、みんなと仲良くしたかっただけだった。


そして、仲間たちは、散り散りバラバラになり、中には、


ドラゴンの国から出ていくものもいた。


でも、そんな悪い奴らばかりではなかった。しばらくして


アバンにも、友達が出来た。


アバンと同じ考えの優しいドラゴンだった。ひとりで


居たら側にきて、一緒にいるよと言ってくれた。


アバンは嬉しくて、いつもそのドラゴンと一緒にいた。


でもある日、急にそのドラゴンの態度が変わった。


急にアバンを、避けるようになった。



「どうしたの?」



 と聞いても何も言わない。その内アバンに攻撃するよう


になってきた。



「なんでそんなことするの?」



 とアバンが聞いたけど、


やはり何も答えてくれなかった。


目も合わせてくれなかった。アバンはどうしても気になり


後をつけた。すると他のドラゴンたちに、いじめられて


いたのだ。アバンと仲良くするなと。



「もう、アバンと仲良くしない。だから、僕をアバンに


攻撃させるのは、もうやめて。もう二度とアバンには


会わないから……」



 と言っているのを聞いてしまった。


アバンは苦しかった。なんと原因が自分だったのだ。


大切で大好きな友達に、あんな思いをさせてまで……。


もう自分は、一緒にいられないと思った。アバンは生まれ


て初めて、友達を助けるために戦った。自分も、怪我を


したが、相手のドラゴンたちは比でなかった。


それ程、アバンの力は絶大で、友達だと思っていた


ドラゴンまで、アバンを怖がって逃げてしまった。


そして、アバンは、ドラゴンの国を出る事を決心した。

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