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序6

は?

「は?」

 しまった。口にだしてしまっていた。

 東雲先生も肩をすくめて参ったという感じで手のひらで顔を覆う。

「昨日の今日に私の所属してる組織から連絡があってね。そっちに逃げたからあとは任せるって投げられてさ。本当無茶言わないで欲しいよ」

「あーなるほど。その……私の護衛なんて引き受けて良かったんですか?」

 どうして引き受けてくれたんだろう。普通に考えたら足手まといでしかない

「いやぁこのスーツの異次元は他のスーツの異次元とは繋がってなくてね。スーツがが消滅すると中に入れていた道具全部消滅しちゃうんだよ」

「つまり……」

「そう!今戦闘で使える魔道具一個もないんだ」

「ダメじゃないですか!」

 爽やかな笑顔でとんでもない事言い切ったぞこの人!

 私はとんでもない地雷男と契約したんじゃなかろうか。身を守って欲しいのに守る道具一つも持ってないぞこの魔術士。

 すると突然その場に正座をし始めた。なにをするつもr

「だから今すぐ今週分のお金をくれないだろうか。それでいくつかは道具つくれるから」

 土下座し始めた!これから教え子にもなろうとしている子供相手に土下座したぞこの教師!しかもなんか様になってる。土下座だけど!

「……」

 言葉を失うというのはこういう感覚なのか。

「……」

 沈黙が重い。そうだ。切り替えよう。逆に今からお金渡せばすぐに作ってくれるんだ。というか契約なんだから守らないと。

「ひとまず頭を上げてください。流石に今は二百万も持ち歩いていないので、銀行と口座番号を教えてください」

「わかった」

 あとは……銀行にいかないとな。

 時計を確認するともう少しで七時半になるところだった

 と言ってもこの時間じゃまだ開いていないし……

「それでは後で銀行いくので後ろをついてきてください」

「わかりました。お嬢様」

「やめてください」


 本当にやめてほしい



 そこでガチャリと音がした。音のした扉の方へ向くと黒髪の大きな男が入ってくるところだった。

 身長は優に二メートルはあり、右胸に金糸の豪華な薔薇バラの刺繍が施された白いローブを着ていた。その体は白いローブに覆われていてもわかるほど厳つく、キリリとした眉に鋭い金の目は鷹を彷彿とさせた。



「じゃまするぞ春眞」

「ジャックじゃないか。どうしたこんな朝早くに」

 そう言いながら東雲は立ち上がりジャックと握手を交わす。どうやら知り合いらしい。

「用事があったんだが……」

 ジャックと呼ばれた男がこっちを見ている。うぅ、大柄な男……威圧感がすごい

「そんな怯えた目をしないでくれお嬢ちゃん。何もしないよ」

 と言われても……怖いものは怖い。

 まずいと思う自分がいる。これ以上この人と一緒にいてはいけない。

「……酷い怯え様だがどこかであったことあったかな」

「いや、この子は転入するためにここに来たばかりだ。15年ここに居るジャックとあっているわけがない」


 あぁ、やめて。見下ろさないで。

 私の体は小刻みに震え始める


「彼はジョニー・ベルファスト。俺の所属してる魔術結社『金薔薇教会ゴールデン・ローズ』の教区長だ」

「だめだ春眞。聞こえてない」


 ああぁ、あぁあやめて、こっちみないで。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!


「おい!しっかりしろ」

 そして東雲先生が一歩近づいていくる。


「嫌!触らないで!!」


 掴まれた腕を振り払おうと私は身を捩る。振り払うと私は椅子から転げ落ちその場で頭を抱えてうずくまる。


「話にならんな。東雲。悪いが魔術薬で眠らせるぞ」


 誰かが何かを言っている。いやそれよりどうすればここから逃げれるか。

 はやくあの男から逃げないと。また殴られ犯される!


「風よ。花よ。狂乱の乙女にしばしの安らぎを」

 また誰かの声が聞こえた。すると何かのの香りが鼻をくすぐる。

 これは……薔薇の匂い?薔薇なんかこのへやにあったっけ?


 そして私は訳も分からずそれを最後に意識がブツリと途切れるのだった。



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