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序4

魔術。なんだそれは。……初めて聞いた。


「魔術ってなんですか?」

 以外だったのだろうか。すぐに言葉が出てこなかったらしい

「……もしかして天宮さんは最近よくある小説とか漫画読ってまない?小説を読みまくろう!とか石狩川スニーカー文庫とか登別ファンタジア文庫とか聞いたことない?」

「まったく読まないですね、そちらの文庫?も聞いたことないです」

「そうかぁ……」

 たぶん知っていたら説明がしやすかったのだろう。あいにく趣味は裁縫と料理。最近は散歩だ。……知っていて当然だったのだろうか。なんだかこっちまで申し訳なくなってくる。

「そうだね、ざっくりと説明するなら本来ありえない事を起こす行為のこと全般を魔術と呼ぶ。例えばさっきの火球や吹雪を起こす事だね…信じられないかもしれないけど確かにここに存在するんだ」

「なるほど。じゃあ信じます。」

 自分の目で見たものしかあてにならない。これは私の数少ない人生経験から得た教訓である。最後は自分が全てを背負わなければ流されるまま自分が消費されるだけなのだ。

「素直だね。普通は今ので納得しないよ」

「自分の目で見た事を信じているだけです」

「なるほど。それは良い心がけだ。魔術の教えでもよく『目に見えていない神秘に気を配りすぎてはならない。目の前にある現象の理解を深めるほうが良い』ってね」


 なるほど。それは良い教えだ。私は魔術は使えないがぜひとも心に止めておこう。


「しかし山の時とはえらい変わりようだな。実はもう一人の自分が心の中にいたりしない?」

「多重人格?という話ですか。医者の先生はそんなこと言っていませんでしたけど……初めて男性の裸を見て驚いただけです。忘れください。あと、火はどうしてもだめで」

 そこまで話してなにか思い出したのだろう。東雲先生はばつの悪い顔をした

「すまない。昨日の昼からあいつを追っていてね。受けとった家庭調査書もまだ名前しか目を通してないんだ。無理に理由が知りたいわけじゃないから話さなくてもかまわない」

「いえ、お気になさらないでください……火事で家族を失ったんです。それから大きな火を見るのが駄目なんです。どうしてもパニックになってしまって泣くか叫ぶかしかできなくなってしいます」

「そうか……」

 う、自分から言っておいてあれだが空気が重くなってしまった。話題を変えなくては


「えーと、魔術という現象があるというのは理解できました。それで、どうしたら私は安全になりますか」

「あ、あぁ……そうだね。大きく二つかな。ひとつは君が魔術士としての洗礼を受けることだ。そうすれば私の持っている色々な護身用の魔道具を貸すことができる」

「そんな簡単に魔術士になれるんですか?」

「簡単ではないよ。洗礼の方法は洗礼を授ける側。これを師匠と呼ぶんだけど、師匠からの攻撃を同じく師匠の用意した防御の術式に魔力を流し込んで防ぐ事だ。この時魔力を流す速度・防御の術式の強度を見て弟子とするに値するか見極めるんだ。」

 うーん。やはり難しそうな内容だ。きっとよほど才能がなければできないのだろう。

「もう一つはなんですか?」

「君がオーナーになって私達魔術士を雇う。契約行為だから報酬や仕事内容など詰める話は多くあるけど一番現実的だね」


 これは……選択肢があるようでないのでは?


「わかりました。それではオーナーになります」

「それなら契約書を作らないとね」


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