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序3

そのまま山を駆け下り、引っ張られるままどう道を走ったのだろうか。

 気づけばどこかの学校の門を潜り抜け、校舎の裏に向かい、林を走っていた。

 すると少し開けたところにぽつりとプレハブ小屋が立っていた。


「ここは魔術士の基地のようなものでね。もう安心だ」

 そういって男はプレハブ小屋の扉を開け中に入っていく。

 さて、この変態から逃げるなら今だろうか。試しに一歩後ずさる。

「逃げようとしてる?あくまで僕と一緒なら襲われないってだけで君一人を殺すのは簡単なことだ。ひと先ず中に入ってくれないか。説明はするから」

 あぁ、気づかれてしまった。やはりだめなのか。というより殺されるのか。あれか。顔を見られたからには生かしておけない。ってやつだろうか。

 顔なんて見てはいないんだけどな。変態のいう事を聞く義務はないが、さすがにただの変態ではないんだろう。あの状態で私の事を置いて行かなかったし。

「わかりました」


 プレハブ小屋に入ると心地よい温たたかさの空気が私の顔に触れた。汗を掻いた顔にはちょうど良い。手前にはパイプ椅子と木製の長机。奥には四つの金属製ロッカーや地図の貼られたホワイトボードが置かれている。

 ロッカーの一つは開けられており男が服を取り出していた。どうやら男の私物が入っているらしい。その男はいつのまにか下に紺色のスーツを履いて、白いシャツに腕を通していた。

「そこの椅子に座っていてください」

「……わかりました」

 言われた通り椅子の横に荷物を降ろして椅子に座る。ようやく落ち着いて考えることができそうだ。

 いや、なにを考えればいいんだ?男が裸だったことか。それとも殺されそうになった理由か?いやそれよりも

「あれはなんだったんですか」

「あれって?」

「火の塊の事ですよ。あんな風に火が山の中から飛んでくる事なんてあるんですか。そんな自然現象聞いた事ありません」

「そうだね……どこから説明したものか」

 そう言いながら男は下とセットのスーツに腕を通して変態から人になった。

 男は席に着くと懐からココアを取り出し私に差し出す。

「ひとまずこれを飲むと言い。温かくて甘い物は気分が落ち着く」

「ありがとう……ございます」

 缶に触れるとまだ熱い。どこから取り出したのだろうか。

 開けて一口飲んだ。舌や飲み込むときの喉が焼ける感覚を味わいながらお腹へと落ちていく。思っていたより体が冷えていたのだろうか。お腹にじんわりと温かさが広がって落ち着く。

「とりあえず自己紹介をしよう。僕は東雲しののめ 春眞はるま。この車盾くるまだて学園で教師をしている」

 大きな校舎だとは思ったがここが車盾学園なのか。

 といっても明日からここに通うという事と。二年前に共学化した元女子高という事しか知らない。

 それはそうと、これからも顔を合わせる可能性があるのかぁ。少し気まずい。

「……天宮あまみや 秋奈あきなです。一応明日からここの学園に転入予定です」

「あぁ、君が天宮秋奈さんか。僕は一年B組の担任でもあるんだ。よろしくね」

「……はい。よろしくお願いします」


 しかも担任だった!信じられない!これからどんな顔して会えばいいの!?

それにだ!あの炎はなんだったのか!明らかにこの人は知っている口ぶりだった。

「それであれは何だったんですか」

「さて」

 だが、そんなことは気にしてる様子もなく東雲先生は肘をテーブルにつき口の前で指を組みながら話し始めた。

「君は魔術というものを信じるかい?」



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