プロローグ
魔術。
そう聞いたあなたは何を思い浮かべますか?
派手な炎や雷を使った攻撃ですか?
それともどんな傷も癒す治療ですか?
もしくはどれでもなく、何か違うものを思い浮かべるかもしれません。
けれどどんな魔術も元をたどればすべて「願い」から生まれたものだと私は思います。
あんなことがしたい。恐ろしい相手を倒したい。異性にこっちを向いて欲しい。など人それぞれあるでしょう。
それらを自身で解決できる人はきっと強いのでしょう。
しかし、できない人もいる。
どうにもならない嘆き。苦しみ。そして怒り。
それら不条理な現実を超常をもって壊し解決するもの。弱者が進むための牙。それが魔術です。
では、願いがなければ魔術は使えないのか。
その通りです。けれど同時に願いを持たない人間など存在しない。
人間であるならどのような願いであれ持つものです。
大事な人を生き返らせたい。褒められたい。お金持ちになりたい。
もし願いがないと言うならそれはただ知らないだけ。
もし、願いを知らない人が魔術と出会ったなら。どうなるのでしょう。
これは「願い」を知らない少し不幸な少女が「願《魔術》い」を見つける始まりの物語。