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ルーナとレッド  作者: さくしゃ
7/26

国から追われる私は、本当はいけないのに、あなたを愛してしまった 7

あーん

 フィーナさんと私は、4人分の洗濯物を持って村の中心にある井戸まで向かっている。


 「フィーナさんは毎日この量を1人で持っていって洗っていたなんてすごいですね」

 「そんな大したことはないわよ!長年やってるから慣れちゃってるだけ」とフィーナさんは洗濯物がいっぱいに入った洗濯かごと洗濯板と桶を一緒に持っている。


 私は、情けないことに家から村の井戸までの半分くらいの距離のところまで洗濯かごを持っていたのだが、バテてしまい、フィーナさんが「フィーナお母さんに任せなさい!」と洗濯かごを持ってくれた。

 

 私は、息を切らしながら歩いているとやっと村の中心に近づいてきた。


 村の中心は、井戸の周りに木造の家が6軒建っていた。


 そんな村の中心にある井戸の周りでは、2人の三角巾にエプロン姿の女性2人が、楽しく話しながら、洗濯をしていた。


 「ハンナって最近肌艶がよくなってない?」

 「よく気づいたわね!メアリー。なぜだと思う?」

 「わからないわよ!姉妹なんだから秘密はなしよ!さっさと教えなさい!」

 「ええーーどうしようかな?」


 と大きな声で楽しそうに話す、2人の女性は、私とフィーナさんに気がつく。


 「フィーナ、おはよう!それと一緒にいる娘もおはよう!」とハンナと呼ばれた人が挨拶をしてくれる。


 メアリーと呼ばれた女性は、「おはよう!フィーナ!ちょっと聞いてよ!」とフィーナさんに話しかける。


 「ハンナったらね!最近肌艶がいいの!どうやったらそんなに肌艶が良くなるの?って聞いても、その秘訣を教えてくれないのよ!酷いと思わない?」

 「あら!確かに肌艶がいいわね!」とフィーナとメアリーと呼ばれた女性は話し始める。


 噂のハンナさんは、そんな2人はほっといて私の方を向く。


 私は、ハンナさんに緊張しながらも「おはようございます!」とお辞儀をする。


 「やーねぇ。そんなに畏まんなくてもいいわよ!わたしはハンナって言うの、よろしくね。あなたがアリシアちゃん?」

 「あ!はい。私が、アリシアです。」

 「フィーナから話は聞いてたの。可愛い娘ができたってね!それはもう、嬉しそうに村中にって言っても20人もいないようなところだけどみんなに自慢してたわよ。フィーナが言っていた通りに鼻筋が通っていて可愛い顔してるわね。」


 フィーナさんは洗濯物をしに村に出かけることがあった。まさか、その時に村中の人に娘ができたって話してたなんて……


 私は、嬉しかったが、恥ずかしくて顔を赤く染める。


 「赤くなるなんて素直なのね。顔も可愛いけど性格も可愛いのね!」

 「うぅ……そんなことないですよ」


と私とハンナさんが話していると、メアリーさんとの話が終わったフィーナさんは、「そうなのよ!全てが可愛いの!見目麗しい外見に、素直で思ってることが顔に出やすいところ、立てるようになったばかりなのに率先して家事を手伝ってくれる思いやりのある娘なの!もう、アメリアちゃんは最高なの!」


 とメアリーさんとハンナさんに私に関する演説を始める。


 嬉しいけど、恥ずかしい!こんなの耐えきれない!


 「フィーナさん!早く洗濯しないと他の家事が残ってますから!」とフィーナさんを説得する。


 「あら!やだわ!アリシアちゃんのことになるとうれしさのあまりについね。じゃあ、洗濯しちゃいましょうか!」


 と井戸から桶に水を汲み、石鹸で泡立てて、服を洗濯板で洗っていく。


 「あ!そうだわ!私たちも洗濯の続きをしなくちゃ!」

 「そうだったわね!」


 とメアリーさんとハンナさんも途中で止まっていた洗濯を始め

る。


 私は、フィーナさんに教わりながら生まれて初めての洗濯をする。侍女に変装して掃除とかはしたことあるけど、洗濯は侍女達が当番で担当してたから、変装中に手伝おうとしてバレそうになったから結局経験できなかったっけ……私は、経験したことがない洗濯ができてうきうきしていた。


 私がウキウキした気持ちで服を綺麗にしていると、「アリシアちゃん、一つ聞いてもいいかしら?」とメアリーさんが私に質問してくる。


 「何ですか?」

 「あなたってレッドに助けられたって聞いたけど、どうなの?

ときめいちゃったりしてる?」

 「へ?」

 「だって!倒れているところを救われるなんて運命的じゃない!それに、アメリアちゃんは記憶がないって言うじゃない?それって物語に出てくるヒロインみたいで素敵じゃない!これは、運命の赤い糸で結ばれた2人が苦難を乗り越えて最後に結ばれるパターンよ!」と私を置き去りにして語り出すメアリーさん。


 メアリーさんに言われて確かにと思った私はレッドについて自分がどう思っているのか考えてみる。


 うーむ。確かにレッドのことは、どこか身に纏う雰囲気がお父様に似ていて安心するけど、恋をしたことがないからよくわからないな……私は、レッドのことをどう思っているのだろう?


 「ごめんねーアメリアちゃん。メアリーって優しいんだけどかなり変わってるの。気にしないで」

 「そうそう。メアリーはこんな感じのところがあるけど悪い人じゃないからね」

 「想像力が豊かな人なんですね」と答えておいた。


 それからも、メアリーさんが暴走することもあったが、ハンナさん、メアリーさんと仲良くなることができた。


 次の日は、ハンナさん達の娘と普段は畑に遊びに行っている孫達が一緒に洗濯に来ていた。


 メアリーさんの娘さんが、エマさん。ハンナさんの娘さんがオリビアさん。


 2人とも母親に似て肌が白く、顔の整った美人さんだった。 


 「あなたがアリシアちゃんね。よろしく」

 「よろしくねー」 

 「よろしくお願いします」

 「そんなに畏まらなくてもいいのにー」とオリビアさんにハンナさんと同じことを言われてしまった。


 エマさんはメアリーさんと違い、しっかり者でメアリーさんが子供達と楽しく遊んでいると、「母さん!洗濯がまだ終わってないでしょ!」とメアリーさんに注意していた。


 メアリーさんはエマさんのことが怖いらしく「はい!しっかりやります!」と頭が上がらない様子だった。


 メアリーさんと遊んでいた子供達は、エマさんとオリビアさんの子供で、エヴァちゃん(5)、マーク(4)、イザベラ(3)と年が近い3人は、エヴァちゃんを先頭に1日中村の中を遊びまわるほど元気がいいのだとか。たまに森の外に出てくるウサギなどを3人で協力して捕まえてくるらしい。


 そんな子供達は、レッドの家にいる私の話を聞いてから興味津々だったらしく、私がその人物だとわかると、私の周りに走って集まってきた。


 「わぁ!お姉ちゃんてすごく綺麗な人なんだね!」

 「あたちも可愛い自信があったけど負けたわ……」

 とエヴァちゃんとイザベラちゃんが私を見て話す。


 マークくんは近くにくると私の顔を見て、頬を赤く染めて固まったようにじっと見てくる。


 私が、「どうしたの?」と話しかけると、「何でもないよ」と頬を赤くしながらも答えてくれる。


 「ねえねえ!メアリーおばあちゃんが言っていたんだけど、レッド兄ちゃんとお姉ちゃんは赤い糸で結ばれているって本当?」

 「え!そうなの!」


 メアリーさん!と心の中で思いながらもどう答えたらいいか困ってしまう私。


 「こーら!お姉ちゃんが困ってるでしょ!それは、メアリーおばあちゃんが勝手に言っているだけ!」


 エヴァさんが間に入ってくれる。


 「ごめんなさいね。アメリアちゃん。子供達に悪気はないの。ほら!あんた達も謝りなさい!」

 「「「お姉ちゃん、ごめんなさい。」」」

 

 怒られて下を向いてしまう子供達。


 「気にしてないので大丈夫ですよ。君たちもそこまで気にしてないからそんなに落ち込まないで」


 と私が笑いかけると子供達は顔を上げてくれる。


 そこから、子供達に懐かれてしまい、フィーナさんの許可を得て一日中子供達と遊んだ。


 子供達は疲れることがなく、ずっと遊ぶもんだから私はゼェゼェ言いながらなんとかついていった。


 夕方になり、子供達と村に戻ると村の男の人たちが、畑仕事から戻ってきていた。その中には、レッドとハウグストさんの姿も見られた。


 「こんばんわ」と村の男の人たちに挨拶してから、ハウグストさんとレッドに「お疲れ様」と声をかける。


 「お!アリシアじゃねえか!こんな時間にこんなところでどうした?」

 「何かあったの?」


 と2人が心配してくれる。


 「お昼前に、洗濯しに来た時に子供達と仲良くなってずっと遊んでいて、今、帰るところ」


 私たち3人が仲良く話していると周りにいる人たちが、

 「その子がレッドの言っていた、川で拾ってきたって言う嫁か?」

 「へえ。偉いべっぴんさんだねぇ」

 「レッドの野郎、うまいことやりやがったなぁ」

 「そうなんだよな。レッドのやつってよ。普段はそんなことに興味なさそうにしてるくせして、やる時は手が早えんだよ!」


 と男の人たちの話にハウグストさんまで混じりレッドをからかい始める。


 「お前らと一緒にすんな!そんな気持ちで助けたんじゃねえわ」と言い返すレッド。


 ハウグストさん達は、「照れなくていいんだぜぇ。レッドも男だったってだけの話なんだからなぁ」とニヤニヤしながらレッドをさらにからかう。


 そのやりとりがおかしくて、思わず笑ってしまった。


 その後、男の人たちは、メアリーさん達の旦那さん達と判明した。その中には村長もいて、村について説明してくれた。


 この村は、村長の一族と他の場所から来た村人達によって開墾してできた村らしく、今では、その子孫の20人未満の人たちが暮らしているだけらしい。


 村の男の人たちともうまく打ち解けることができた私は、レッドとハウグストさんと3人で今日子供達と遊んだ話をしながらフィーナさんの待つ、レッドの家へと帰った。


 そんな日々が1週間続いて村の人たちとすっかり普通に話せるようになった。


 楽しくて幸せな日々。自分が姫をしていたことは夢だったのではないかと錯覚してしまう。こんな日々がずっと続けばいいと思った。


 だが、神様は一時の幸せすらも許してくれなかった……


 村から2日の距離にあるが移動近くの森の中で2人の黒装束の男達が野営をしていた。


 「おい!お頭より情報が入った。どうやら姫を発見したらしい!」

 「さすがお頭だ!てことは、報酬はとらえた俺たちで山分けできるわけだな?」

 「そう言うことになるな!」

 「じゃあ、さっさと捕まえに行こうぜ!」


 つづく……


 


 


 


 

 

いーん

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