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似本平安鬼  作者: ユナ
1/5

幸せな日々


闇に蠢くアヤカシ。

それが認知されていた時代を『平安』という。


きらびやか平安京。

ーーーではなく、美作という地方で、陰陽師として派遣された青年は、ふぅー、とため息をつく。


彼の名は石川行成。

陰陽寮の落ちこぼれで地方に飛ばされたーーー、と成っているが、事実は違う。

首席で陰陽寮を卒業したものの、講師の弱みを握って、地方行きになるように命じたのだ。


「行成さまー、じい様が怨霊退治の礼としてダイコンくれたよ♡」


「行成さま、向こうのおばあ様からはヤマイモを頂きました。」


行成の方に向かって走ってくる二人は、行成の式だ。

前者は、綾香。

紅色が混じった短髪で、この時代の美意識とはかけ離れているが、それでも愛らしいと思わせる顔立ちをしていた。

後者は、若葉。

典型的な和風美女と言った感じであり、黒髪をたなびかせ、目を細めるさまは、実に美しい。


「え、お代も頂いているのに…」


行成は少し困ったように眉根を寄せた。


「いーじゃん、私の愛くるしさに感謝だね!!」


綾香は、いつものようにふんぞり返る。

式なのに、こういう態度は如何なものだろうか?

行成はそう思わなくも無かったが、こういう所が綾香の長所でもあることも分かっていた。


「善意は有り難く頂くべきだと判断しました。」


若葉は若葉で、自分の信念があるらしい。

これに関しても行成が口を出すべきではないだろう。


行成は一つため息をつき、


「それじゃあ、今日はこの野菜たちで汁を作ってくれるかな?」


と、苦笑いを含ませながら言う。


「はーい」


「承知しました。」



講師を脅してまで手に入れた幸せな日々。

それが崩れるのは翌日のことだった。












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