表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/17

003 妖精の決意

11/4まで6話連投予定


11/1 18:00 プロローグ  

11/2 00:00 001

11/2 18:00 002

11/3 00:00 003

11/3 18:00 004

11/4 00:00 005


 貴己くんが出ていった後、わたしはしばらく放心したように食卓を眺めていました。


 ……出ていくときの貴己くんの顔、真っ赤でちょっと可愛かったかも。

 

 本人には流石に言えないですけど。

 ふふ、と笑みをこぼしつつ自分の頬に手を当ててみれば、びっくりするくらい熱くなっていました。

 どうやらわたしも貴己くんのことは言えないようです。


「……どうしちゃったんだろ、わたし」


 ホントに、どうしちゃったんだろう。


 ――――『わたしをこの部屋においてくれませんか』


「〜〜〜〜〜!!」


 思い出して、恥ずかしさのあまり食卓に突っ伏して唸ってしまいます。


 本当はもっと下手に出るつもりだったのに。

 当然の話です。

 だって、わたしはお願いする側で。


 貴己くんには何のメリットもなくて、むしろ迷惑でしかないはず。

 だからもっと言葉を尽くして、感情を込めて。

 言い方は悪いかもしれないけど、彼を籠絡(ろうらく)させるつもりでした。


 でも、気づけばあんなにまっすぐ切り出していた。

 受け入れてもらえたから良かったものの、突っぱねられてたらどうするつもりだったんだろう。

 なんて、他人事みたいにさっきの自分を責めてみるけど……無理です。

 椅子の上で膝を抱えれば、思わずため息が漏れ出ました。


「……無理ですよ、あんなの見ちゃったら」


 全てを手放してしまったかのような、あの瞳。


 ――――『それで死んだらそれまでっていうか、それが自分の運命だったんだなぁって割り切るしか……』


 思い出して、ぐ、と奥歯を噛みしめる。

 あんな表情と返答、間違っても十八歳の少年がしていいものじゃない。

 わたしが彼の年の頃なんて、周りの同級生は未来なんてその時考えればいいって楽観視しているか、その先を見据えて不安げになっているか、やりたいことがある子は使命を帯びたような顔つきをしていた。


 もちろん『死にたい』って希死念慮(きしねんりょ)に悩んでる子も、少数だけどいました。

 でも、貴己くんみたいに『死んだら仕方ない』なんて後ろ向きに笑ってる子は一人もいなかった。

 そもそも、あんなのは笑ってるなんて言わない。


 貴己くんはとても良い子だと思います。

 まだ触れ合った時間は本当に少ないけど、(自分で言うのも何だけど)初対面の怪しさ満載のわたしでも尊重してくれました。

 それも、一人の女性として。

 大人でもあそこまでできる人は多くありません。


 だからこそ、余計に胸が苦しくなります。

 あんなに人の良い彼が、なんであんな顔をしなくちゃいけないんだろう。

 いったい何が彼をああさせたんだろう。

 わたしにはわかりません。

 きっと、まだ知る資格もありません。


 けれど。


 いいえ、


 だからこそ、


 寄り添いたいと思った。


『なんとかしてあげたい』なんて、おこがましいことは言わない。


 ただ、崩れないように、隣で見守ってあげたい。

 

 崩れそうになったら、そっと抱きしめて、形を保ってあげたい。


 そう思ったんです。


 

連投はこれで最後になります。

できる限り高頻度で更新していこうと思っているので、よければまだまだ読んでいってください。

面白い、続きが読みたいと思ってもらえたらブクマや広告の下にある評価ポイントをポチってください。

ポチってもらえたら作品がランキングに乗り、沢山の人に読まれて作者がイケイケになります。

イケイケになったら筆がスルスルになります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ